【経験から感じた】ネット銀行の住宅ローンのメリットとデメリット

ネット銀行の住宅ローンは踏み込んだ低金利などのメリットを提供します。

デメリットは、事前審査の精度、審査のハードルの高さ、手続きの煩雑さ、手数料型の諸費用です。

代理店により営業チャネルを増やしていますので、手続きの煩雑さについては対応を改善しています。

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ネット銀行の住宅ローンの違い

ネット銀行とは、営業上最小限必要な店舗のみを有し、インターネットなどの通信で取引を行う銀行です。ネット銀行でも、多くの銀行が住宅ローンを提供しています。

ネット銀行は、「新たな形態の銀行」のなかの一つで、伝統的な手法の銀行とは異なるタイプの銀行です。金利が安い等のメリットや伝統的な手法の銀行とは違う、斬新なサービスを提供する傾向にあります。ただ、メリットを生かすためには、商品の特徴を把握する必要もあります。

オンラインでの業務

ネット銀行は、口座開設をはじめ、手続きはすべてオンラインです。キャッシュカードの授受は郵送で行います。通帳はありません。

住宅ローンを利用する場合には、手はじめの事前審査もネット上で申込を行います。ただ、後述するように、この審査では信頼しないでください。多くの銀行で「オンライン事前審査」と言っているものは、まじめな審査ではないようですです。あくまで年収と返済額のバランスの確認程度です。

選択肢は手数料タイプのみ

ネット銀行は保証料は無料ですが、「手数料」という名目の費用が必要です。手数料は借入額の2%(消費税別)が相場です。

これに対して、伝統的な銀行では「保証料」というものを選択できる場合があります。例えば、メガバンク4グループでは、三井住友銀行を除き、保証料タイプと手数料タイプの選択肢があります。

保証料も、借入期間35年では、借入額の2%くらいです。35年返済で総コストを比較するとネット銀行の手数料と伝統的な銀行の保証料とほぼ同等であるため、金利の安いネット銀行が有利となります

お手続きはすべてお客様自身で

後述のように、ネット銀行のシステムでは代理店による人手を経るケースもありますが、お客様が自主的に行うタイプもあります。

お客様が自主的に進めるタイプでは、本審査完了までは不動産業者が一切関与しません。不動産業者が窓口にできないということは、書類の手配やチェックもご自身で対応しなければなりません。不動産業者が代行したり、窓口にできるタイプならば、不動産関連の資料は不動産業者が動けますので、このあたりのサポートは楽なはずです。

困惑

全ての作業を自分で、締め切りを守りながらやる必要があります。融通が利く売主ならよいのですが、そうでない場合、困惑することも

ネット銀行の住宅ローンのメリット

リアル店舗を持たずネットのみで営業するネット銀行は挑戦的なサービスを展開する市場の旗手です。

低金利

伝統的な銀行ではりそな銀行が0.47%、三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行が0.475%と頑張っていますが、ネット銀行の住宅ローンの金利はさらに低金利になっています。

住宅ローンを提供する主なネット銀行は、以下のブランドをよく拝見します。他業種参入型の銀行が多いようです。リンク先のようにもう少し低金利になっています。時期によって変動する可能性もありますので、ここでは詳しく記しませんが、リンク先にてご確認ください。

多様なサービス

伝統的な銀行の団体信用生命保険(団信)は基本コース(死亡&1級高度障害)のみが無料です。それ以上のサービスは有料です。一方、ネット銀行では、すでに、プラスアルファの部分で競争をしています。

たとえば、住信SBIネット銀行の「全疾病保障」、じぶん銀行の「がん50%保障」、楽天銀行の「全疾病特約」などをよく聞きます。

団信以外でも、イオン銀行のイオンのサービスとの連動など、銀行の母体のサービスとの連動があります。

来店不要

すべてネット・メール・電話・郵送でやりますので来店は不要です。さらに、銀行によっては、ローン契約書の作成・署名・捺印を不要にしてしまった銀行もあります。

決済も同様です。ネット銀行を活用した住宅ローンでは決済時に店頭の活用がありません。すべてをオンラインで活用させます。決済時に集合するのも不動産業者の店頭などとなり、時間は非常にスムーズに進みます。オンラインを利用した不動産決済については、リンク先をご覧ください。

写真は当社の例ですが、なんどかネット銀行の決済でも、関係者の皆様に足を運んでいただいたことがあります。買主様のほか、司法書士、売主が全員集合し、書類の点検を行うと、司法書士(銀行指定)が銀行に電話をすれば、資金が振り込まれます。

不動産店の例

写真は当社の例です。

差がなくなったメリットも

以前は、伝統的な手法の銀行では繰り上げ返済の手数料がバカになりませんでしたが、今は、ネット対応を進めた結果、伝統的な手法の銀行でもネット経由なら無料です。

「他行口座からの資金移動無料」「ATM利用料無料」等のサービスの展開がありますが、未来永劫続くかどうかは不明です。クレバーでドライな分、サービスを見きる場合があります。たとえば、新生銀行では、2018年10月7日より引き出し手数料は変わりました。

https://www.shinseibank.com/info/news180423_atm.html

ハードルの高さがデメリット

netbank

審査基準のハードルが高い

対面が一切介在しない分、ハードルが少し高くなっていますので要注意です。ハードルのポイントは銀行にもよります。例としてあげられるのは、以下のようなものです。

自己資金率、勤続年数、雇用形態、旧耐震不可

7、8年くらい前の以前ですと、どのネット銀行も自己資金2割となっていましたが、いまはファミリータイプですと、そこまでは言わないようです。しかし、シングルの方では、自己資金が2~3割くらいは必要とされるようです。投資マンションにするという懸念があるようです。

手続きの時間を要する

郵送やメールでのやり取りが基本ですので、上記の通り事前審査で時間がかかります。手続きの不備があると、送付の往復で時間が過ぎていきます。いい物件は先に別の誰かが買うので、これは新規で使うネット住宅ローンのハードルの一つです。

審査のための人員の体制も発展途上であるため、案件が多い春・秋の時期は、スピードが遅くなる傾向があります。

また、本審査では担保評価が加わってきます。担保評価を専門とする不動産鑑定士を現地まで派遣する銀行もあります。このように、さまざまなプロセスが重なって、手続きが遅くなります。

ネット銀行の手続き

ネット銀行の手続きはオンラインと郵送を用いるため意外と時間がかかる

対応できない物件がある

多くのネット銀行では借地権の対応はしていません。同様に、多くの銀行は、築年数は65年までに完済しなければならず、築古の物件では35年の利用ができないことがあります。なお、一部の銀行では対応している銀行もあります。

事前審査の精度が低い

お客様の手で応募して行うネット銀行の事前審査は、名称こそ「事前審査」ではありますが、審査とは似て非なるもので、たいへん簡単なものです。伝統的な銀行の事前審査と同義ではありません。通常、住宅ローンの審査では、収入情報、個人情報、物件情報、の3つの観点から行います。このとき、物件情報は担保価値を確認します。そのための基本として、登記簿謄本が必要です。謄本を見ることで物件の正しい情報が確認できますので、担保価値について評価をすることができます。

ネット銀行の場合、お客様が自ら行う事前審査では、謄本を送信するインターフェイスはありません。また、謄本はお客様自ら取りに行くこともできますが、日常生活ではなじみがないため、不動産業者から出させるものです。このような事情があるため、お客様ご自身で対応する事前審査が重きを置かることはありません。

後述しますが、ネット銀行であっても、代理店等の人の手を介した審査であれば、登記簿情報も的確に提供して行います。そのため、銀行ブランドにもよりますが、ネット銀行の事前でも、信頼されることがあります。

このような事情から、お客様が自ら行うネット銀行の事前審査では契約を受け付ける不動産業者はありません。本審査での承認が基本となります。前述の通り、自己申告だけの情報で「審査」という場合、ネット銀行の事前審査はあまり真剣ではなく、注意が必要です。ネット銀行によっては「数分で出せます」とアピールする銀行もありますが、これは自己申告による年収と借入の比率を計算でみているだけです。

事前審査といっても、単なる集客のツールです。問題なのが、これを鵜呑みにしてしまうと、本審査で覆ってしまうことがあります。このようなケースを多く不動産業者は経験していますので、基本は信頼していませません。この段階での審査に通ったといっても、契約を受け付けることはできませんので、お願いいたします。

本審査に進むと住宅ローン審査として機能するようになっています。書類のやりとりは郵送、スキャンした画像、写真等を通して書類のやり取りを行う流れが多いようです。住宅ローンで必要な審査は本人確認の資料、収入の資料、物件の登記簿謄本、物件の販売図面です。これらをもとに信用情報、担保評価等を確定する必要があります。適切な事前審査はデータが豊富な大銀行でも3日くらいはかかります。データ基盤がまだ豊富ではないネット銀行では、1週間かそれ以上はかかります。

伝統タイプの銀行の方が安い場合もある

多くネット銀行では、銀行費用として請求される費用として「ローン手数料」があります。相場は借入金額の2%です。これに対して大手銀行では保証料タイプというものを選択できます。保証料は保証人になってもらう手数料です。抽象的で恐縮ですが、保証を消費するという考え方です。

実は、保証料タイプは、借入期間が短いと、保証料が安くなるという特徴があります。つまり、借入期間が短かい場合などでは、保証料のほうが安くなることもあります。

保証料は、例えば15年だと借入額の1.2%くらいです。10年だと借入額の0.8%くらいです。これが影響し、期間が短い住宅ローンでは保証料タイプのほうが総コストが安くなりますので、伝統的な銀行のほうが有利な場合があります。

これについては、「住宅ローンの保証料型と手数料型のメリット・デメリット」という記事で詳しくご案内しています。

金利上昇時のリスク

ネット銀行では独自の金ぎ優遇設定なので、金利上昇局面では、先に優遇幅が縮小される可能性を捨てきれません。

通常の住宅ローン金利は以下の式で決まります。

適用金利 = 基準金利 - 金利優遇分 + (付帯費用)

基準金利はどのお客様も変わりません。低金利の影響でこの20年、ほとんど変わっていません。多くの銀行では、短期プライムレートと連動させています。割引優遇は銀行の営業方針によりかわります。まずお客様の顧客ランクで変動します。また、割引水準は、時期によって変化します。銀行間の競争と政府・日銀の政策により、優遇幅がどんどん増大することで、現在の低金利は進んできました。

たとえば、2019年3月末の現在における、最大手の三菱UFJ銀行と人気のソニー銀行の競争状況は、以下の通りです。

mufjlogo
最優遇の金利:0.525% = 基準金利2.475% - 金利優遇 1.95%

 

sonylogo
最優遇の金利:0.475% = 基準金利1.807% - 金利優遇 1.35%

 

大銀行はどこの銀行も基準金利は横並びです。三菱UFJの優良顧客への金利の最優遇は▼2.0%です。その結果、最優遇のお客様に変動0.475%を提示できます。ネット銀行は、基準金利を高く、割引幅の設定を少なく設定します。ソニー銀行だと、変動金利の基準金利を1.807として、金利の最優遇を▼1.35%としています。その結果、最優遇のお客様に変動0.475%を提示てきます。

このような仕組みを理解すると、金利が上昇局面が心配になります。金利が上昇し始めると、銀行は優遇幅の縮小から手を付けるかもしれません。競争がありますので、横並びで上がっていきます。金利上昇が始まると、優遇幅のフトコロが少ないため、基準金利の変動を行うのはネット銀行です。これは、変動金利が金利上昇に弱いということを意味します。

なお、全期間固定金利では、一般的に資金調達力のある大銀行有利で、メガバンクが優勢です。ネット銀行では、全期間固定にもかかわらず、大変動が発生すれば、「やむを得ず金利を変更する」という規定がある銀行もあります。みずほ銀行の例を紹介します。

上昇局面

金利の上昇局面ではどのように動くか読めないことも

代理店による利便性の向上

全部をネット経由で行うのがネット銀行ですが、一部のネット銀行では、貸金業の免許をもった銀行代理店を窓口に不動産業者とのコミュニケーションチャネルを持つ銀行があります。上記のデメリットのいくつかは解消されます。

2019年1月現在では、SBI住信ネット銀行、ソニー銀行、新生銀行などが該当します。

代理店経由のネット銀行

代理店経由の申し込みを受け付けるネット銀行の例

人間によるコミュニケーション

画一的な審査基準は変わらないのですが、証明書では伝わらない事項について、「報告書」「稟議書」等の事項で審査部門へ伝えることが可能ですので、有利な運用をすることができます。

また、書類の手配やチェックは代理店の担当者が行いますので、精度があがります。代理店によっては、「お住まい」「ご近所」「ご勤務先」「不動産業者の店頭」などに出向いてくれますので、負担も軽減されます。

agent

エージェントを使ったほうが楽

スケジュールが早い

ローン審査部門を代理店サポートすることで、一体で作業を行うことができます。急ぎなので、案件をねじ込むなどの対応ができる場合もあります。そのため、ネット経由より代理店経由のほうが若干早くなります。

柔軟な審査対応

オンライン経由だと画一性がある審査では柔軟な対応ができなませんが、代理店経由だと、審査の基準は柔軟に運用されることもあります。たとえば勤続年数については表では半年となっていても、実態は3か月で儲けてくれる場合もあります。このケースですと、お客様の属性や背景を担当者が確認することで、アピールに加えることができるからです。

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