管理良好なマンションを見極める

マンションは管理を買え

「マンションは管理を買え」とは、昭和40年代、50年代に多くのマンションが売り出された「秀和」マンションシリーズで、当時の秀和レジデンスの広告に打ち出されていたフレーズだそうです。実際にマンション暮らしをしたり、マンション販売をしたりすると、そう感じさせる場面が多くあります。このフレーズには得心することは多く、不動産業者も一般消費者の方も多くの方が頭の片隅に残っているフレーズです

中古マンションの販売チラシ、販売情報でも、しばしば「管理体制が良好なマンション」というフレーズを見ることがあります。使い古されたバズワード(人気のフレーズ)として、なんとなく使われているようにも思えます。では、どうすれば管理の良好なマンションを見極めることができるのでしょうか。この記事では、経験に基づき考えてみたいと思います。

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管理体制の良好なマンションとは

まずは、管理体制が良好なマンションを考えてみたいと思います。

的確な維持・管理が管理良好なマンション

形あるものは壊れますが、維持で劣化のスピードを食い止め、リノベーションで価値を回復し、建物の維持管理ができているマンションが管理良好なマンションです。つまり、管理良好なマンションとは、どうすれば的確な維持・管理ができているマンションになるのか、ということです。

財政状況がしっかりしている

まずは、先立つものがないと始まりません。財政状況がよいということが前提となります。財政状況とは修繕積立金の状況のことです。持続的な収支を継続するには適正な修繕積立金でなければなりません。管理費も徴収対象でありますが、管理費は必要経費のことですので、ここでは割愛します。

管理費と修繕積立金の違い

管理費と修繕積立金は混同されてしま士そうですが、管理費は運営費、修繕積立金は貯金です。管理費は電気代などにも使われます。管理会社への業務委託料にも使われます。お金の面で言うと、修繕積立金の状況に注目しましょう。

管理費

管理費とは、集合住宅やビル等における当該マンション・ビル等の建物の維持管理に充当される金銭。管理組合、管理会社その他の管理者に対して払い込む形式が広く一般的。管理人の人件費、管理会社への事務委託手数料、設備の保守点検費用や清掃委託費、共用部分の水道光熱費・損害保険料や管理組合運営費などに充てられます。

修繕積立金

共用部分の計画的な修繕、臨時的な修繕を実施するために、徴収した金銭を積み立てたもの。通常は毎月の徴収で積み立てていきますが、区分所有物件を購入した時に「修繕一時金」や「修繕基金」等の名目で定期の積立金とは別に一定の金額を納めている例もあります。

適正水準の修繕積立金であること

国土交通省の提示するガイドラインによれば、以下の目安が提示されています。修繕積立金は管理会社への支払いではなく、組合としての貯金です。高くて悪いことはないのですが、高すぎても負担です。一方で、安すぎると、将来への負担の先送りとなります。分譲したばかりのころは、分譲会社が売りやすくするため修繕積立金を安く設定して提示することが多いようです。バブル崩壊以降の分譲物件ではそれが顕著です。入居後に適切に設定するかどうかは、管理組合の手腕といえます。

専有床面積当たりの修繕積立金の額
階数/建築延床面積 平均値 事例の 3分の2 が包含される幅
【15階未満】 5,000 ㎡未満 218 円/㎡・月 165 円~250 円/㎡・月
5,000~10,000 ㎡ 202 円/㎡・月 140 円~265 円/㎡・月
10,000 ㎡以上 178 円/㎡・月 135 円~220 円/㎡・月
【20階以上】 206 円/㎡・月 170 円~245 円/㎡・月

参考:⇒平成23年「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(国土交通省)

滞納率が低いこと

滞納率については、ほとんどの場合、管理の重要事項調査にて確認することができます。滞納が0円であれば望ましいですが、滞納率0%というマンションも、現実には選択肢としては難しいですので、比較的少ないマンションを選びましょう。筆者の経験では、全積立金額の1~2%を超えると、ちょっと気になります。実際に、後述の部分での「荒れ」が目立ち始める気がします。

自主性がある

管理は管理組合で決めることです。管理組合がうまく管理会社を使いこなす「責任」があると言えます。最大限の理想は住民の資産維持の意識が高く、積極的に関与する姿勢があることが望ましいと思います。ただ、高い住民意識はあれば最高ですが、住民意識に依存しても一部の方々の負担になるだけですし、現実にはそのようなマンションはほとんどありません。

住民の質が良好

滞納者が少ない、きれいに保たれている、これらは住民の質が大きく影響します。そこで、高い住民意識がなくても、維持管理に協力的な住民が多ければ、管理会社との協力で維持管理は適切に進めることはできます。三人寄れば文殊の知恵ともいいますが、専門的な知識を持つ人がいれば、より順調に進めることができます。大きなマンションはこの点は有利です。ただ、大きなマンションですと意思決定が困難になるリスクもあります。中には変わった人がいることもあるわけです。

良質な管理会社が入る

大規模修繕の工事費でぼったくりをしない。管理費・修繕積立金の回収がはかどっている。報告がしっかりしている。これらが良い管理会社です。必ずしも大きな管理会社が良いというわけではありません。

ところで、管理会社とは若干ことなりますが、区分所有法の改正で、弁護士、司法書士等の法律の専門家、会計士等の財務の専門家、建築士等の建物の専門家の関与が容易になりました。これらの関与があればいい兆候と見られます。

管理良好なマンションの兆候

管理良好なマンションであると把握するにはどうしたらいいでしょうか。外部の方でも迫れるように、外形的な特徴から考えてみましょう。

管理会社から提供される資料から把握する

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多くマンションでは
管理の重要調査報告という資料を
管理会社から入手できます(有料)。

管理の重要調査報告書の閲覧は調査の第一歩です。管理会社が入らない自主管理のマンションでも心配はいりません。良好な管理状況のマンションでは、管理組合の理事長、理事、会計の方々がしっかりと状況を把握されていることが多く、優良な状況のマンションなら、明瞭な情報が記載された資料を入手することができます。この資料からは以下のような事項を把握できます。

  1. 共用部分関係(駐車場、自転車置場、バイク置場等の設置状況及び月額使用料等)
  2. 管理費、修繕積立金、専用使用料その他売却依頼主の負担額及び支払に関する事項
  3. 管理組合収支関係(直近決算時の総滞納額、修繕積立金積立総額、管理組合の金融機関からの借入金額)
  4. 大規模修繕計画関係(過去及び今後の大規模修繕実施時期及びその内容)
  5. 管理員の勤務形態及び勤務日時等
  6. 専有部分の利用制限に関する事項(フローリング・ペット・変動費等)
  7. その他事項(石綿調査・耐震関係・インターネット環境等)

この資料は物件の売主についている仲介会社、あるいは売主会社が適切な情報収集をしていれば入手することができますが、ほとんどの場合で有料です。5000~13000円と、最近は少しお高くなってきたようですね。

報告に内容がしっかりしてるかどうかは、管理会社の実力が把握できます。

滞納率

滞納率が低いことは、住民の質が良好であるということの目安になります。滞納0円のマンションも時々ありますが、実際には選定することは困難です。規模にもよりますが、2桁万円前半~1%弱程度なら世間並みと考えられ、このレベルであればそこそこ優良なのではないでしょうか。

管理規約・長期修繕計画

管理規約・長期修繕計画の有無や改定状況は、管理会社の提案力や住民の関心の度合いを感じることができます。自主管理のマンションでも、良好な管理状況のマンションでは、棟内で知識がある人がいればその人を中心に進めています。知識のある方が不在でも、マンション管理士、建築士などといった外部の専門家を活用して更新を進めているところもあります。

物件の様子から把握する。

物件・建物の様子からも管理の良しあしを感じることができます。

エントランスの様子

コンドミニアム上井草 エントランス

清掃状況:適切に清掃されているか

張り紙の内容:内容的に気になる事項はないか。

筆者の経験では、一番強烈な印象が残ったのは、管理費滞納の事実をエレベータ前に掲示して、「エレベータの利用を禁止します」との掲示があったマンションです。

建物の劣化

鉄部のさび:

配筋の露出:これはかなり厳しいです。

気にしなくていいもの:コンクリートの割れ:コンクリートの割れは実はよくある現象です。あまりに大きなものでなければ、あまり気にすることはないと思います。

評判から把握する

「○○マンション 管理組合」「○○マンション 理事長」「○○マンション 管理会社」。まずは、このようなワードで検索してみましょう。マンションの戸数は20~数百。大きなコミュニティではないため、普通の管理状況であれば、ネットでの評判は、通常は出てきません。

まれに、何かしらの評判が出てくる場合があります。いい評判であれば、気にすることはありません。悪評の場合にはしっかり注目しましょう。このようなことも、極めてまれにあり、ネットで書かれていることは、重要事項調査、不動産調査で感じた印象と意外と軌を一にするもので、なにかの手掛かりを得られる場合もあります。