販売図面・物件概要の情報の裏を読み、よい販売図面を知る

物件概要には、物件の情報を詰めた情報のエッセンスであり、必ず書かなければならないことが書いてあります。

物件概要に記載してあること、それ自体は「データ」の集まりですが、法律、建築、不動産取引の習慣を知ることで、「意味」を理解できます。

当社の物件説明、とくに「重要事項説明」においては、意味の掘り下げまでやります。「データ」を伝えるだけの業者さんも多いので、それが違いです。

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「販売図面」とは?

不動産業界では「図面」あるいは「マイソク」などと言ったりします。よく不動産業者さんに店頭でみかけるB4・A4の資料です。図面の作成能力は元付業者の能力が試されるときです。この「図面」ですが、外国の人によれば、日本的でコンパクトだそうですが、シンプルでわかりやすいそうです。

的確に情報を伝える図面は作り手側の能力も問われます。

販売図面を構成する要素

販売図面は、大きく分けて以下の4つの要素から構成されます。

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間取図
間取り図は物件情報のコアな部分です。
キャッチフレーズ
販売物件の売りとなる部分(セールスポイント)を示します。嘘が書かれることはありませんが、ここでデメリットが書かれることはありません。
物件概要
物件概要には、販売物件の基本的なデータが掲載されています。法律や公正取引規約により記述が必要なデメリットは、物件概要の備考に記述があります。
帯とは、販売図面の最下部の部分です。売却を受託した業者(元付業者)となる不動産業者の情報が記されています。横に帯状に長いので、帯と言います。業者間のメッセージはここに載せることが多いです。たとえば、広告の可・不可、手数料率などは帯に書いてあります。
帯というくらいですから、横長であることが基本です。凸型になっていたり、△になっている業者は、少し要注意です。

物件概要の事例

不動産の広告はいろんなタイプがあります。各社のホームページ、商業ウェブサイト、販売図面、チラシ、投函などはもちろん、違法なステ看などもあります。マンションポエムなどといいますが、大きな字で書いてある言葉はいいことしか書いてないので、読んでも読まなくてもかまいません。

しかし、物件概要には、物件の情報が詰まっていますから、面倒くさくても丹念に読まなければなりません。字は小さいですが、むしろこちらの方が重要です。「小さな文字だとしても必ず書かなければならないこと」が書いてあります。本来なら触れられたくないが、触れなければならない事項については、必ず物件概要に書いてあります。そのため不動産の取り扱いに慣れた人ほど、物件概要から読むようになると思います。

物件概要は情報の宝庫

下記に物件概要の例を挙げます。

事例の物件概要は某ポータルサイトの掲載事例を、項目はそのままに配置は少し変えて掲載していました。物件概要はどの広告でも大体このような感じになっていると思います。なお、事例として活用したこのサイトは少し詳しい部類です。

物件概要の例

物件種目 中古マンション
建物名・部屋番号(説明 サンプルマンション新宿
交通(説明 東京メトロ副都心線 / 東新宿駅 徒歩4分
所在地(説明 東京都新宿区大久保2丁目
価格(説明 4,280万円(税込)
管理費(説明 15,600円 修繕積立金 15,600円
間取り(説明 2DK+S
専有面積(説明 78.62m²(壁芯) バルコニー 11.30m²
階/ 階建(説明 7階 / 8階建 建物構造(説明 SRC
築年月(説明 1977年3月
(築43年3ヶ月)
総戸数(説明 28戸
土地権利(説明 所有権 敷地面積(説明
管理形態・方式(説明 自主管理 国土法届出(説明
リフォーム・リノベーション履歴(説明
借地期間・地代(月額) 権利金
敷金 / 保証金 - / - 維持費等
その他一時金 なし 条件等
駐車場 / バイク / 駐輪
ペット(説明 現況(説明 空家
設備・サービス(説明 給湯、都市ガス エレベーター 道路幅・方位(説明
備考(説明
主要採光面:東向き
施工会社:株式会社新工務所
用途地域:商業地域
自治会費月額200円
引渡し(説明 相談 取引態様(説明 専任媒介
物件番号(説明 1056024135
情報公開日(説明 2020年5月5日 次回更新予定日 2020年6月2日

物件概要の情報を掘り下げる(裏を読む)

データの裏にある「意味」を掘り下げていきます。

不動産の取引は金額が、高額で困ったことに変数が多いものです。そのため、心配ごとも増えそうですが、意味まで気を配るべき事項は、実際には、それほど多くはないかもしれません。

基本的に重要な情報

建物名

マンションの場合、部屋番号が書いてあることはほとんどありません。公式には個人情報の保護とされていますが、ライバルの仲介業者が売主さんに直接飛び込んで「抜き」をされるのを防止する意図もあります。

ちなみに、建物名が書いてないケースは珍しいといえます。物件名すらわからなければ、お客様が検索エンジンやSNSなどで情報の補完をすることができません。そのような場合は不親切な広告と言えると思います。隠す意図を疑うべきです。

マンション名からブランドを想像できます。ブランドが想像できると管理体制などが想像できます。

徒歩分数

徒歩時間は1分=80mとなっています。施設に対して土地のもっとも近い部分から計算しています。横断歩道や踏切り等を横断するとき、信号待ちの時間は考慮していません。実生活の感覚では2、3分足す必要があります。

所在地

不動産の広告で所在地と書けば通常は住居表示です。住居表示とは住民票の住所です。地番と書いてある場合もあります。その場合には住居表示を別途確認しなければなりません。

価格

不動産広告の価格はすべて消費税込みの価格です。個人が売主の場合は非課税ですので、そのままの金額です。

ただし、課税か非課税かは書いてあることがほとんどありません。サンプルのように税込と表示されているケースがありますが、どちらかというと少数派です。

税込と書いてある情報は親切です。消費税が含む場合には売主は課税業者ということになります。ローン控除が特定取得になるかどうか、仲介手数料無料になる物件かどうか、重要なヒントになります。

専有部分に関する情報

間取り

Sの表示がある場合、その場合は納戸(strage=倉庫)といいます。実質は部屋として利用できます。建築基準法の基準に対して一日あたりの日照時間を満たさない場合、居室として表記ができないため、このような表現となります。

L(リビング)表示をすることができる部屋は、1室タイプなら8帖以上、2室タイプなら10帖です。それ以下のばあいには「DK」の表示になります。なお、1室タイプで4.5帖、2室タイプで6帖以下の場合には「K」の表示になります。

専有面積

不動産広告では、マンション・戸建てともに、通常は「壁芯」の面積が表示されます。マンションの場合はこのほかの計測基準として「内法(うちのり)」の面積が表示されている場合があります。

内法面積とは登記簿に記載している面積のことです。マンションの新築分譲時は、通常は壁芯の面積が表示されています。中古マンションの販売情報で内法面積が表示されている場合、壁芯面積を調べることができなかったということを意味します。

このような場合、新築時には、分譲マンションではなく、賃貸マンションとして建設された後、オーナーの以降で区分として小分けされたマンションの場合もあります。管理会社を確認して、管理体制を確認すべきフラグです。

階/ 階建

マンションの場合:

マンションの場合、所在階で眺望を想像します。低層階の場合には、グーグルマップなどで、周辺の見晴らしを確認しましょう。

マンションの総階数も気にすべきです。こちらもグーグルマップなどで、周辺のマンションと比較します。比較の対象は同じ道路のならびのマンションです。同じ道路に面するマンションの総階数と、狙っているマンションの総階数と比較して、他のマンションと比べ、著しい差の有無を検討します。周辺より高い場合は既存不適格の可能性を疑います。周辺より低い場合は容積率の余りの可能性を検討します。

一戸建ての場合

一戸建ての場合には、階高で、庭のゆったり感を想像します。2階建てならゆったりとした敷地利用を、3階建ての場合には、敷地は有効活用されたものとして想像します。

建物構造に関する情報

マンションの場合

マンションの構造では、S造(鉄骨造)かどうかを注目します。(タワマン以外の)S造は性能、税法上の耐用年数・資産性が若干下がるとされています。SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)、RC(鉄筋コンクリート)は厳密には違いがあるのですが、実務上は差はないため、気にしなくよいと思います。

なお、タワマンは全て構造ではS造です。コンクリート造で作ると自重が重くなりすぎて経済性、居住性が悪くなるためです。

一戸建ての場合

一戸建ての場合はほとんどが木造ですが、木造の中でも、「木造軸組工法」「木造枠組壁工法」の違いを見ます。木造枠組壁工法とはいわゆるツーバイフォー工法を指します。木造枠組壁工法ならば省令準耐火かどうかの資料を確認します。火災保険が安くなる場合があります。

築年月

築年月には竣工(完成)時期が出ています。

マンションの場合:

マンションの場合、新耐震(昭和56年6月以降の着工)、旧耐震(昭和56年6月より前の着工)、築25年以内(無条件で住宅ローン控除利用可)、昭和56年6月の竣工(取得税の軽減、火災保険の軽減)などを見ています。新耐震の場合で築25年超の場合には、耐震適合証明の取得を想定します。旧耐震の場合はローンの制限についての可能性を検討します。

物件概要の築年数は完成時期が表示されているため、新旧耐震を分析する場合には、そのままのデータでは不適切です。マンションは1フロアあたり建設に1か月程度かかりますから、時期的に近接する場合には、資料で精査をする必要があります。

昭和49年ごろ建築基準法の変更により、用途地域・建蔽率・容積率・車線規制の制度が大きく変わりました。これ以前の以前の建物は、既存不適格の可能性を疑います。前述の階高の部分も併読をお願いします。

一戸建ての場合:

一戸建ての場合でも、新耐震・旧耐震、昭和56年6月の竣工(取得税の軽減、火災保険の軽減)に注目するのは同じですが、ローン控除の区分けは築20年以内となります。

戸建てに特有な注目事項としては、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の施行前後かどうかも注目しています。平成12年4月1日から施行された法律で、事業者に建物の10年保証をつけることを義務付けられました。一戸建ての場合、これ以前の建物には、検査済証がなかったり、既存不適格だったりすることも多いため、要着目点となっています。

総戸数

小規模マンションの場合、管理体制を気にすべきポイントです。築年数が古かったり、ブランドがないようなマンションの場合には、内容を確認するため、ゆくゆくは修繕積立金の残高と長期修繕計画の有無を確認したいところです。

さらに、10戸を下回るマンションの場合には、住宅ローンの可否を確認する必要があります。

なお、小・中・大の規模の具体的な定義はありませんが、おおむね30戸以下を小規模、100戸以上を大規模と言っているようです。

敷地に関連する情報

土地権利

所有権であれば気にすべきポイントはありません。

借地権の場合には、1)賃借権・地上権の別 2)旧法・新法の別 3)普通・定期の別を確認します。この書式では後述で期間、権利金などの情報を記載すべきものとなっていますが、通常の広告では出ていません。ゆくゆくは資料で確認する必要があると思います。

敷地面積

マンションの場合は気にする場面は、ほとんど無いでしょう。

一戸建ての場合、40㎡を下回ると利用できる住宅ローンが著しく減ります。3階建ての狭小邸宅の場合には、気にすべきポイントです。

国土法届出

広大な敷地の取引の場合に届け出を要するという法律があるのですが、住宅の場合はまず関係がない項目です。

管理状況に関する情報(マンションの場合)

管理費

マンションの場合には、管理費・修繕積立金などの課金があります。物件概要に記されている管理費などのデータは広告時点の情報です。将来の値上がりの予定は、別途確認をしなければなりません。

管理費以外の課金(例:組合費、自治会費)などの場合は、「備考」に記載がある場合があります。

管理形態・方式

管理形態とは、「巡回」「通勤」「常駐」「住込」の違いがあります。住込は管理人さんがそのマンションに住んでいるケースです。常駐と混同されている場合があります。

管理方式では、「全部委託」「一部委託」「自主管理」の3タイプがあります。自主管理の場合に管理状況、管理規約の有無を気にしましょう。

ペット

ペット可のマンションはそれだけで付加価値となります。そのためペット可マンションであれば、その旨の表示があることがほとんどで、表示がない場合には、そういうことだと言えます。

現況に関する情報

リフォーム・リノベーション履歴

一般的にはリフォーム:小修繕、リノベーション:価値向上のためのリフォーム。。。とされていようですが、リフォームとリノベーションの用語の使い方の差は、まだ定義がなされていません。簡単なリフォームでもリノベーションと言っている場合があります。言葉よりも具体的な施工項目を確認しましょう。

現況

現況は主に次の4種類です。それは「空室」「居住中」「賃貸中」「工事中」です。

内見の注意

居住中はオーナーが住んでいるということですから、数日前からの予約が必要です。冷やかしは遠慮すべきと言えます。原則として、購入を前提とした見学が望ましく、断りの場合も断り理由を明示するのがマナーと言えます。

賃貸中は投資マンションという意味です。ご自身が居住するための住宅としては購入できませんので、住宅ローンの利用ができません。

設備・サービス

マンションの共用設備や公共インフラ(給・排水・ガスの関係)が書いてあります。マンションの場合は全部を書ききれるものではないので、見てから確かめることも大切です。

生活インフラの状況は、一戸建ての場合にはQOLに直結しますので、しっかり確認が必要です。配管が着ていない場合には思わぬ追加出費が発生する場合があります。なお排水については、高低差の関係からして、排水経路が確保されるのかは重要です。

道路幅・方位

マンションの場合は道路状況は影響ないと思います。

一戸建ての場合は道路状況は建物の資産価値、生活の質に大きく影響を及ぼします。4m未満の道路幅は狭苦しい道路と感じるはずです。4.5m以上あれば、車の行き違いは可能です。6m以上あれば、ゆったりして落ち着いた環境と感じるはずです。

道路の方位は南に向けば、どの部屋も日あたりもよくなるでしょう。

備考

不動産広告における備考の意味は極めて重要です。備考から読み始めてもいいくらいで、プロフェッショナルほどそうするでしょう。

備考には「大きな字では書けない微妙な事項だが、必ず書いた方がいい、念のため書いた方がいい事項が記入されます。上記の事例では大したことは書いていませんが、お客様の判断を変更してしまうほど重要なことが書かれる場合もあります。たとえば、「告知事項あり」「瑕疵担保免責」などはここに記入されます。

取引情報

引渡し

「即時」「相談」との内容であれば、代金を払えばすぐ引渡を受けることができると思います。ときどきあるのが「契約後○か月」「決済後○日の引渡猶予」などです。

「契約後○か月」との記述があれば、売主さんは買替えのためこれから家探しを開始することが読み取れます。

「決済後○日の引渡猶予」との記述があれば、引っ越す余裕が少し必要な場合です。代金を用いて現在のローンを一括返済をして、別のローンで新しく新居を買うをすることが予想されます。

取引態様

取引態様とは、不動産業者が取引に関与する契約形態を指します。通常は「仲介」が多いと思います。「媒介」と書いてある場合は仲介と同じです。たまにあるのが「代理」です。

媒介には3種類のタイプがあります。「一般」「専任」「専属専任」です。単に「仲介」「媒介」と書いてある場合は3種類のタイプのどれかは不明です。仲介業者と売主さんとの関係性が予測される情報なので、あると大変助かるはずなのですが、suumoなどは、この情報を明示しません。

物件番号

サイト運営会社の管理番号ですので、これ自体は深い意味はありません。

情報公開日

情報公開日とは売り出し開始日のことです。しかし、不動産会社側で再入力をしている場合があるので、鵜呑みにはできません。

よい販売図面とは?

不動産のよい「図面」では、【詳しさ】と【コンパクトさ】という相互に矛盾する両面を両立させたものです。これは、買主にとっても売主にとっても同じといえます。販売図面は必要な情報が的確に出ていることが重要です。販売図面はおしゃれである必要はありません。必要な情報がなければ意味は薄くなります。

販売図面の詳しさ

物件の資料は、質問を受ける事柄を事前に予測し、ストレスなく、スムーズに答えている内容が理想です。造るだけなら難しくないのですが、いいものを作ろうとするならば知恵、知識、経験が必要な領域です。詳しい販売図面を作成する能力は、試行錯誤・トライ・アンド・エラーも重要で、向上心がない人には向かないかもしれません。

たとえば、以下のような点は多くの方が関心を抱く点ですから、図面のなかで他業者から問い合わされる前に表現されているとよいでしょう。

  • ペットの可・不可
  • 大規模修繕の履歴
  • 修繕積立金の残高
  • 耐震適合の可否
  • 消費税の課税
  • 検査済証の有無
  • 家屋番号・地番
  • フラット35の可否

中小零細の不動産業者は、人的なリソースは少なく、まだ勉強不足な面が存在することは否めません。作成する図面は間取と簡単な概要だけで、データの記入が少なく、スカスカな図面も多い傾向があります。スカスカな図面を書く人は、デメリットな部分の記述からは逃げてしまうことも多いので、信頼や共感を得られないこともしばしばです。

図面を読むユーザーはお客様だけとは限りません。客付けを行っていただく仲介業者様など、実際に物件を紹介してくれる方々にとっても使いやすいものであることが必要です。自分が案内をする場合にはどのような情報があるといいか、そういう視点で作るとよいのではないかと思います。

コンパクトさ

コンパクトさは、情報を素直に伝えるために必要です。ご購入を検討されるお客様はもちろんのこと、検討段階が初期のお客様にも伝わるよう工夫することで、ご商談進展の可能性を少しでも高めます。ロータス不動産は必要で的確な情報を提供して販売を促進します。

コンパクトでわかりやすいことは大切ですが、おしゃれである必要はないと考えています。不動産の広告では、高い頻度で意味を持たない画像や写真、わかりそうでわからないコピー(マンションポエム)を入れ込んでくるタイプもあるのですが、限られたスペースしかない販売図面では不要です。

おしゃれさを追求したい場合はウェブに重点を置き、ウェブとの連携を重視すべきでしょう。紙ベースとなる図面では、購入者の意思決定の助けになるように、的確な情報を提供することが大切です。

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