再建築不可の土地と資産性について

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再建築不可とは建築をできる法的な要件を満たしていない状態であり、そのような土地です。文字通り、建物を建築できなません。

建物の敷地として利用ができない土地ですから、銀行も担保にできず、したがって銀行ローンが付きません。

ローンがつかないこということは売りづらいということです。つまり、市場価値は極端に下がります。

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再建築不可とは?

法令の規定

再建築不可とは、土地に関する言葉です。中古住宅などで建築基準法等の求める条件に満たされておらず、建物を合法的に新増改築できない状態のことを指します。

たとえば、建築基準法の規定する「接道要件」に合致しない状況などはこれにあたります。建築基準法では建物が建てるためには、その敷地は復員4m以上の道路に、幅2m以上の幅で接している必要がありますが、これに合致していない状態です。このように、建物を建築できる土地として建築基準法等の求める条件を満たしていない状態のことを指して「再建築不可」言うのです。再建不可<サイケンフカ>などと言ったりもします。

再建築不可旗竿

建築基準法の規定以下の間口の土地に建物を建てることはできない。

土地の利用価値とは、建物を建築できることで発揮されます。そのため、再建不可の土地は、著しく資産価値が低いと見られます。

公正取引規約

建て替えや増改築のできない不動産については「再建築不可」「建築不可」と表示することが不動産公取協の表示規約で義務づけられています。

「既存不適格」との違い

既存不適格と再建築不可は違います。

既存不適格とは

「既存不適格」とは、建築はできるけれども、昔の法制度の変更等の影響により、同等規模の建物を再建築できない場合を指します。「再建築不可」と「既存不適格」は分けて考えられています。

建て替え時のサイズダウン

既存不適格の場合は、再建築する場合の建物は、サイズダウンはしますが、それにとどまるだけです。再建築自体は可能です。これは大きな違いです。また建築当時は建築基準法等の条件を満たしていた物件です。不適格の度合いにもよりますが、なによりも、既存不適格の程度が軽微であれば、住宅ローンの取扱いが可能です。住宅ローンの取り扱いが可能であれば売却(換金)の可能性が高まりますので、資産価値は高めになります。

甚大な既存不適格

もっとも、既存不適格でも、サイズダウンの量が甚大な場合には、大幅な既存不適格となります。サイズダウンが軽微の範囲を超えてしまうと、銀行も担保価値を満たさないと考えます。土地の利用価値とは、建物を建築できることで発揮されるからであり、サイズダウンの量が甚大ならば、事実上、再建不可と相違がありません。

このように考えると、再建築不可の土地は著しく利用価値が低いですし、既存不適格でも、甚大なものは資産性が大きく下がると言えます。

再建築不可物件の資産性

住宅ローン

再建築不可の土地は利用価値が低いとされます。利用価値が低いということは売りづらいということです。売りづらいということは、銀行の判断で担保価値が著しく低いと評価されます。担保評価が低いということは、「銀行」と名がつく低金利の金融機関での住宅ローンは不可能とご承知おきください。

ローンが付かないということは、売る窓口が著しく狭くなるので、売りづらい、売れないということを意味します。売れない物件ということは、つまり、資産価値がないというわけです。

建築不可物件は、再住宅ローンが不可能ですと、買う方法は現金か高金利のローンしかありません。このような物件に通暁したノンバンクにお願いするのが基本です。そして金利は変動で3%以上で、頭金は2割です。また、買主さんとのパイプが太い、信用金庫・信用組合・地方銀行など、地元金融機関なら取り上げてくれるかもしれません。これらも銀行にお願いするよりは金利は高くなります。

京町家ローン他

最近筆者も知るようになりましたが、京都の町家住宅などのように、全国基準では再建築不可に該当するようなものでも、地域で独自の流通性があれば、一般的な住宅ローンと同等の金利で取り扱うローン商品があるそうです。たしかに京町家は観光向けの建物としても活用できそうです。観光となると住宅ローンの範疇外かも知れませんが、関東的な視点では存じ上げませんでした。見聞する限り、ほかに長浜町家住宅ローンなどがあるようです。このコラムの読者の皆さんで、他にご存知のものがあれば、ぜひ情報をお寄せください。

安い土地・不動産の利用価値

不動産においては、理由もなく安い物件はありません。必ず背景に事情があります。実需の需要としては、再度の売却はそれなりに困難と考えておく必要があります。「安物買いの銭失い」といいますが、不動産においては、その法則はよく成り立ちます。買主も安く買いたいのと同じくらい、売主も必死ですから、本来、売主に自信があれば、それなりの価格になるはずなのに、安い不動産なわけです。

住むには、自分が納得できればそれでよい

再建築不可もかようなリスクを承知の上で、場所など重視すべき事項を満たしておるのであれば、悪い物件ではありません。再建築不可は安い物件がほとんどです。建物の利用価値(使える建物ということ。残存価値とか資産価値ではありません)と環境に納得できれば掘り出し物になるかもしれません。

ただし、売ろうと思ってもいつでも売れるものでもありませんので、一生住み続けることができるのであれば、ということになるでしょう。それでも少し将来の売却の可能性あがるのでしたら、ローンが付かないのですから、現金で買ってくれる人を探すことになります。都内でなら、千万円・二千万円台の比較的手ごろな価格帯なら可能性はあるかもしれません。

ボロ戸投資

また、プロ・セミプロの領域かもしれませんが、再建築不可物件ばかりに投資を行い、高利回りでパフォーマンスを上げている投資家もいます。「ボロ戸投資」といって、高利回りの投資の領域です。20%程度の利回りを目標に、5~10年で回収します。そして買った値段で、プロ・セミプロの現金投資家に売却するのです。

その手の投資をする人いわく、「坪単価とかじゃない。一やま幾らの世界だ。本来値が付かないものに対して、不動産に対する敬意として一応の値をつけるだけだ」という感覚で、都内で300万円とかで戸建てをかうのだそうです。

それに対し、「再建築不可」のキーワードだけを頼りに、市場価格より若干安いくらいの物件を、プロ風の投資としてすすめる業者さんもいるようですね。投資経験の入口としては、少し怖い気がします。多くの場合、自分だけが圧勝したと思い込んでいるだけで、いざ出口となった段階で安物買いの銭失いをしていることに気づいた・・・ということが多いので、気をつけなければなりません。

ボロや

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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