現金で住宅(マンション・一戸建て)購入する流れ

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現金のご購入の手続き日数は、一般的には10日から2週間です。

段取りよく行い、売主の抵当権の解除が対応できれば、即日引渡も可能です。慌ただしくなりますが、夜逃げ的な対応も可能です。

現金取得の場合、諸費用はローン利用の場合と比べていくらか安くなります。

現金取得だから価格交渉で有利ということはありません。

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現金による不動産の一括購入の概要

現金により住宅を取得する場合、大まかには以下のような流れになるでしょう。居住用不動産であれば、マイホームに限らず、基本的にはマンションも土地も一戸建ても同じ流れです。

現金購入のおおまかな流れ
項目 内容 準備期間
購入申し込み・契約準備 購入申込が入ると重要事項説明書、売買契約書の作成を行います。
売買契約 売買契約を締結以後は、約束をたがえるとペナルティが生じます。手付金を支払います。 1週間(契約準備)
決済 代金支払いと引渡て、鍵と権利証をもらいます。使用収益が可能になります。 1~2週間(引渡準備)

「残代金の支払い」と「鍵・権利証の引き渡し」は同日に行います。これを「決済」といいます。

残代金は振込送金を行います。決済は司法書士の立会いのもと行います。司法書士は書類の点検を行う責任を負担します。

売主は権利証(登記識別情報)を司法書士に預けて、司法書士はすぐに登記手続きに入ります。鍵はその場で引き渡されます。買主はその日から取得した不動産の利用ができます。

名義変更は決済日の日付にて行われます。登記済みの権利証は後日郵送で送られてきます。

現金取得な流れ

それでは、各ステップの細かい内容を確認しましょう。

申し込み・契約準備

現金だとしても見学・内見のときの注意事項は変わるものではありません。後悔なきよう慎重に検討してください。

物件が気に入れば、購入の意思表示を書面で表した購入申込書(買付証明書ともいいます)を提示して交渉開始となります。購入申込書には日程、価格など、購入に関する諸条件を記載しますが、このとき、売主に対して現金で取得する旨を宣言します。

通常は、契約のための準備がありますので、申し込み後の1週間くらいで売買契約となるでしょうか。この間、不動産業者は重要事項説明書などの作成を行います。

ただ、現金でのご購入の場合はローンの審査がありません。そのため、ご希望・ご都合が合えば、すぐに売買契約が可能です。物件を押さえること自体は難なく進むと思います。現金の強みは、スピード対応ができることです。

売買契約

売買契約においては、、宅地建物取引士により重要事項の説明を聞きます。法的・物理的に重要な事柄を有資格者が説明します。疑問点は明確に聞くことをお勧めします。取引に関係する不動産業者が本人確認を行います。その後契約条項の説明を受けて押印により契約を交わします。

不動産の売買契約は契約書への記名捺印と手付金の交付により成立します。

手付金の支払い方法

現金の場合、手付金を多めに要求される場合があります。売買契約の記名捺印のときに現金での交付が多いので、運搬時には注意しましょう。振込による手付金の授受も検討すべきでしょう。

現金の決済・引渡

引き渡しは決済とも言います。残金決済と同時にカギと権利証を引き渡すことが原則です。決済では買主、売主、仲介業者、司法書士の四者が集まります。

住宅ローンなどがないため、決済会場は銀行のブースではなく、不動産業者の事務所などで行うことが多いでしょう。

司法書士は書類のチェックをした後、代金を振り込みます。その場で鍵と権利証を引き渡します。司法書士は一連の作業を見届出、登記所に向い登記手続きを行います。

鍵の引渡しをもって物理的な引渡しとなります。引き渡しを受けた物件はその日から利用が可能です。

現金による一括売買の手続き期間

手続き期間の設定に決まったルールはありません。ただし、実務においては、売主さんの側に抵当権の抹消がある場合がほとんどです。そのための経験的には、現金の決済の場合の決済時期は、売買契約の記名捺印から1~2週間ほど後に設定します。売主側の抵当権が抹消できれば、すぐに引渡しが可能です。

抵当権の抹消がないのであれば、契約即日決済も理論的には可能です(事前に準備が必要)。

お急ぎになる事情がなければ、ご契約後1か月前後の設定することもあります。通常の不動産売買は決済までに1か月~2か月くらいが普通ですので、この水準ならば交渉は可能だと思います。

名義変更と鍵の引き渡しは当日付けですが、変更した登記簿謄本が届くのは3週間後くらいです。登記簿謄本は権利状況の証明書であり、名義変更が行われたことを確認できます。

代金の支払い方法

一般的に多いのは決済の会場から銀行の店頭に移動して、振込用紙を用いて、カウンターから送金依頼をかけます。

振込依頼書

振込用紙(振込依頼書)の例

最近ではオンラインバンキングを利用した決済も多くなっています。オンラインバンキングならば、銀行に移動することもなく進められますので、手続きも簡単です。時間的にも大変に手短に完了できます。現金決済の場合は、重要なツールといえます。

代理店経由のネット銀行

ネット銀行の例

なお、法律的には現金をそのまま決済会場に持ち込むことも可能ですが、売主買主とも危険を伴いますので、このような方法は極めてまれです。

振込の至急扱い

不動産決済では、売主側の着金確認もありますので、「至急扱い」の振り込みが原則です。店舗カウンターの方は不動産取引の事情は一切知りませんので、口頭で明確に「至急扱いでお願いします」と伝達し
、確認しましょう。不動産取引に伴う送金である旨を伝えると、理解が深まる場合があります。

振込の至急扱いとは、銀行ではお金の送金を行なう専門部署(センター)を通さず、支店窓口から直接、振込先視点の相手方口座へ送金することです。「直接打電」「センター経由なし」ということもあります。不動産取引の決済では着金の確認が取れるまで全員部屋で待機していることが多く、迅速な処理が大切です。

センター経由で振込を行うと1時間以上かかることもありますが、至急扱いにすると15分くらいで完了します。オンラインバンキングなどの振込送金では、振込確認の画面に送金先の名称が表示されますが、このイメージです。

inside_bank_branch

カウンターから送金する場合には至急扱いかどうかを確認しましょう。

即日決済について

即日決済とは、契約に関する手続きを終えた後、その日に決済することをいいます。少し慌ただしくなりますが、手際よくやれば、見学の当日の契約、あるいは契約の翌日の引渡というのも可能です。ただ、売主様も対応が必要ですので、どの物件でも可能ということではありません。また、準備も必要ですので、事前の打ち合わせ、確認などが必要です。

その意味では、見学を思いついた日に契約をして、そのまま即日というのは、実際はできません。名義変更のための準備、売主の抵当権の抹消の手続きで、お急ぎでも、手続きは1週間くらいの前提が望ましいと思います。

即日で処理するには、抵当権のついていない物件を選定する必要があります。物件の選定の幅が狭くなります。

登記(所有権移転・保存登記)

登記は司法書士に依頼します。決済・引渡の項目で申し上げた通り、司法書士は「決済」の場に立会い、法的なチェックを行ないます。売主買主の本人確認をおこないます。売主が代金を受領し、買主が鍵を受領したのを見届けて、司法書士はただちに登記の申請(所有権移転・所有権保存・担保設定)をします。

このように司法書士は取引の安全の貢献します。ときどき、登記費用の節約のため自分でやりたいというお客様がいますものの、詳細は後述しますが、ご希望には沿えないものとお考え下さい。

現金取得の必要書類

必要書類

現金による購入の場合は必要書類は複雑ではありません。買主様の場合は、実印も不要です。基本は以下の通りです。

  • 住民票(個人番号不要、原則本籍不要。)
  • 印鑑(認印可)
  • 写真つきの身分証明書

住民票は登記所が購入者の本人性を確認するために使用します。身分証は司法書士が購入者の本人確認をするために使用する書類です。なお実務的には、ご決済時のは振込送金とすることが多く、送金元となる口座が必要となります。そのため、代金送金手続きに必要な書類として、通帳・身分証明・金融機関のキャッシュカードをご準備ください。金融機関のキャッシュカードあh本人認証ツールとなります。

購入諸費用

現金購入の場合では、ローン・金融に関する費用が不要です。具体的には銀行費用の印紙、銀行手数料や抵当権設定の登記手数料・登録免許税は不要です。参考ですが中古マンション購入の諸費用の記事も併せてご覧ください。

引渡後・不動産取得税

不動産取得税は現金取得・ローン取得関係なく請求されます。不動産取得税の通知書が都県庁から送付されます。マンションの場合、築25年以内で登記簿面積が50㎡以上、自己居住なら軽減措置が受けられます。共有者の一部が自己居住でも課税が減免されますので、居住者と購入者が異なる場合はご検討ください。課税を通知されても、都県税事務所に申告に行きます。

現金購入の場合の注意事項

現金で価格交渉で有利になることはない

現金による購入なので価格交渉が有利になることはありません。前述の通り、現金の強みは決済のスピード感です。競合の購入者が現れたとき、現金の強みは出ます。

しかし、現金が「優れたお金」というわけではなく、審査に通れば、ローンも現金も同じ「お金」です。同じお金である以上、売主にとって有利なほうに商談は流れます。

ネットバンキングの振込送金

もし可能でしたら、金融機関に移動することなく決済ができるので作業が楽になります。お勧めではあります。オンラインによる決済は「送金限度額の解除」が重要です。解除が可能かどうか、スムーズに進められるか、確認をしましょう。

オンラインバンキングでは、事故に備え、送金額の限度を設けていることがほとんどです。100万だったり、50万円だったり、各お客様それぞれの額が設定されているはずです。

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本人による所有権移転(名義変更)の登記について

買主が本人による所有権移転登記を希望しても、受け入れられないことはありません。というのも、所有権移転の売主との共同作業ですので、素人仕事による不具合が生じるリスクを売主が受け入れないことがほとんどだからです。

住民票の注意

住民票は法務局(登記所)への提出書類です。お名前と住所の部分写真画像、ファックス画像などの方法で、を不動産業者を経由して司法書士に送ることを強く推奨します。住民票に記載する字形が、そのまま登記簿の記載事項となるため、事前に確認ができると、誤字・脱字を避けることができます。なお事前に画像をお送りいただくのは住民票の氏名・住所の部分だけでけっこうです。

住民票の取得は区役所の者が望ましいとされますので、コンビニ取得の住民票は事前に確認をお願いします。当日だと受け取らない司法書士もいますので、事情によりコンビニの住民票を利用する場合、事前に真正書類かどうかの確認・認証が必要なため、事前にお申し出をお願いします。

住民票

現金で取得する買主に対する売主側の注意

スピード感があることが現金の特徴です。早期の決済を求められる場合がありますので、遅滞なく抵当権の抹消の準備などを行わねばなりません。

それ以外では、現金購入者に対する売主側の注意は特にありません。現金だから立派なお金というわけでもありませんので、価格交渉などでは動揺しないようにしましょう。当社の売却サービスならば、両手の手数料を重視しているわけではありませんので、売主側のアドバイスに注力できます。

不動産の「売る」「買う」の正しい判断をお助けするため正しい情報を提供するブログです。不動産屋の社長が2010年の創業から運営しています。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

気軽な不動産のコンサルタント

ブログのほかに、不動産の売買の知識をメールでもお伝えしています。これまで数千名の方に購入・売却の知識を提供してきました。メールで返信することで、いつでも質問を重ねることができます。さながら不動産のかかりつけの医師のごとしです。ご興味があれば応募ください。

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