物件状況報告書・付帯設備表とは?

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物件状況報告書・付帯設備表とは、中古住宅売却に際して、売主にしかわからない情報について、買主に提供していただく情報を記載するための書類です。

書式は不動産業者が用意しますが、売主の言明責任を明確にするため、売主の名において作成されます。

いわゆる「言った・言わない」の基準になるものです。

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物件状況報告書・付帯設備表とは

物件状況報告書・付帯設備表とは、「告知書」ともいいますが、中古住宅の売却に際して、売主にしかわからない情報について、売主名義による作成により、買主に提供していただく情報を記載するための書類です。

物件状況報告書・付帯設備表の意義

告知書(物件状況報告書・付帯設備表)はこれを補うものです。いわば「言った・言わない」の大きな目安となります。

買主の物件理解のためには、不動産業者が作成する「販売図面」「重要事項説明書」だけでは、どうしても行き届かない部分があります。マンションや一戸建てなど、実際に物件を利用し、生活を行う売主と比べると、情報の非対称性があるからです。

なお、さらに物件状況の理解を深めるために、より正確性・客観性を期待できるものとして、「建物状況調査」(インスペクション)というものがあります。

告知責任

ほとんどの不動産契約では、契約不適合責任について、通常の不動産の契約では、『売主は知っても知らなくても責任を負わねばならないが、伝えたことについては免責される』という条項があるはずです。

告知書は契約不適合責任における、物件の種類、品質を明示する根拠となりえます。告知書に書いていない事項については、契約不適合責任に問われる可能性があるのです。これにより、契約の目的物(物件)の状態を正確に伝えるインセンティブが生まれます。

告知書は法定の書式ではないため、重要事項説明書と比べると軽く見てしまう業者もお客様もいますが、売主に対して不動産業者が本書の作成を正確に行うことを促すことで、不動産業者としての調査義務の一環をなしたと認めることができる判決は多くあります。このようなことがあることからも、軽く見てはいけない書類と言えるでしょう。

業者によっては、売買契約書と一体化させて、契約書の一部として位置づけている書式もあります。

告知すべきか迷ったとき

当社の売却仲介を依頼された場合には、告知すべきか迷う事項は記述したほうがいいと説明しています。

後出しじゃんけんは信用を失いますので、さっさと伝えておいた方がよいです。

そもそも、水漏れ、深刻な床の損傷、または反社会勢力の事務所、嫌悪施設などの情報を伝えずに販売した場合すれば、損害賠償の請求がされます。引渡し後でも契約により一定期間は契約不適合責任あり、欠陥の責任は前のオーナーの負担となります。これには心理的瑕疵も含まれます。建物自体の欠陥だけでなく、「自殺があった」または「殺人があった」などの情報もしっかり提供しなければなりません。

もしトラブルとなり裁判になった場合、裁判所が判断する重要なポイントは「契約目的に合致すること」です。居住用、投資用、業務用、倉庫用、駐車場用など、契約の目的は様々です。それらに応じて責任の度合いを判断されます。居住用だとはっきりしていたら、最大限の情報提供を心がけましょう。

なお、売主のプライバシーに関する情報は、個人の領域で物件の欠陥の問題とは無関係です。そのため、かならずしも全て報告する必要はないとされています。

仲介手数料無料の売却

「個人間売買」というのがポイントです。上述の「あえて一般媒介を勧める」の劣化版です。仲介手数料無料の仕組みはいろんなバリエーションがありますが、考えられる中で、最悪のものかもしれません。

仲介手数料が完全無料では業者は事業を続けることができませんから買主様に請求するわけですが、個人間売買で、売主の手数料を無料にしてしまうと、囲い込む必要が出てきます。つまり、他の業者からの客付けを受け付けることが出来ません。これをもう少し(仲介業者にとって上手に)行うのであれば、たとえば、他に買いたい人がいるのに売主にそれを言わないで、後日になり自ら買ったり、買取業者に横流しして、再販を受託するのを目的とする会社があると聞きます。

当社も仲介手数料無料の売却を取り組んでいますが、あえて売主様にも買主様にも不利になるアプローチは実施しません。うまい話はないと警告したいと思います。

作成時期

告知書・状況報告書の書面の趣旨としては、あくまでも「売主の知りうる範囲の目的物の状況を正しく告知」することですから、契約締結日の状態を告知して買主に判断させるということになります。したがって、告知書・状況報告書の作成日は契約締結日からさかのぼっても、さほど間をおかない前の日付です。

しかし、告知書・状況報告書に記載している内容は、買主にとってみると、非常に重要な関心事項です。売却準備の初期の段階から作成して、販売開始をしたら、すぐ提示できるように準備をしておくべきと思います。

当社の売却仲介の活動の場合は、委託早期に告知書・状況報告書の依頼を行っています。客付の業社経由で、購入検討者に早々に提示をすることで、スムーズな検討を促すことが狙いです。早く伝えることで、なにか隠してることはないかという心配点を払拭できますからね。

物件状況報告書・付帯設備表の例

当社が利用している全日本不動産協会の書式の例をもとに解説します。

物件状況報告書の例

状況報告書は、主に気になる事項を記述します。

「これは書くべきか」など、ネガティブな情報の記入に迷った場合には、原則、すべて書いてください。細かければ細かいほど良く、細かくて悪いことは、一切ありません。

書くべきかと迷った事項については、他の誰かも気になるものです。裁判が発生した場合、そこが穴となり負けます。「世間一般ではこれは気になるか」など、実際のところ曖昧な部分です。一定の方程式を定立することはできません。曖昧であるがゆえ、裁判では毎度のごとく論点になり、告知義務者の側にとって穴となります。

状況報告

付帯設備表の例

付帯設備表、設備の残置、故障の状況についての事項を記述します。

設備についてては、細かいところをつつくと、異音がするなど、論点となりやすい部分です。現状有姿として販売をしています。

ただ、劣化があれば劣化があると正確に記述することが重要です。当該部分についての劣化を伝えることができるほか、築年に応じた劣化が存在していることを推測させることができます。劣化の状況を十分に推測させることができることにより、他の部分についても「現状有姿」という表現が生きてきます。

付帯設備

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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