不動産の取引態様の「代理」とは?

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取引態様における「代理」とは、まさに民法で規定する代理と同じです。一定の与えられた権限の範囲内で、法律行為を進めることができます。

代理の報酬額の法定上限は、1取引における全体で媒介の場合の2倍です。つまり売買価格の6%+12万円+消費税です。

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代理という取引態様

宅地建物取引業法では媒介という委託類型(専任媒介・専属専任媒介・一般媒介)のほかに、「代理」という委託契約も想定しています。

代理とは?

代理とは民法で規定する代理です。民法における「代理」とは、本人以外の人が意思の表示を行うことによって、その意思表示の結果が本人に帰属します。つまり、本人が意思表示したことと同じ効果をもつことになります。

第99条(代理行為の要件及び効果)

第1項 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

第2項 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。

よく親権者のこと法定代理人といいますが、あれは契約する本人の意思に基づかずに発生する代理権です。もちろん不動産会社は親戚ではありませんが・・・一定の与えられた権限の範囲内で、みずから判断を行い業務を進めることができます。

代理人が越権行為をしてしまったら?

代理人として越権行為をした場合にはどうなるでしょうか?そのような状態を「無権代理」といいます。無権代理の契約は追認をすることができますし、追認をしないこともできます。

第113条(無権代理)

第1項 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

第2項 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

不動産販売で代理の立場で販売する業者は、追認を拒絶されてしまうと営業努力が無駄になります。基本は売主に対して報告を密接に行い、意思を確認しながら進めることになります。

不動産販売における代理の位置づけ

代理はマンションなどを販売するのに用いられる形態です。おもにプロが使うものとされてきました。

よく使われる場合

マンションなどを販売するのに用いられる形態です。よく、デベロッパー(不動産開発を専業とする会社)で、直接の販売チームを持たない会社が利用します。たとえば、(株)長谷工コーポレーションに対する(株)長谷工アーベスト、東急電鉄(株)や東急不動産(株)に対する東急リバブル(株)などです。

住宅の不動産営業というのは最終消費者であるお客様(エンドユーザー)あってのものなので、デベロッパーと販売会社では勤務体系が全く違います。土日勤務が必須だったり、歩合が多かったりなど、です。そこで、大手ではあえて分社化してしまうことがよくあります。

系列会社によらずとも、販売チームを持たない副業デベロッパーは代理を利用して販売している場合もあります。なお、プロ間における代理の代理の報酬は、取扱戸数が数十~数百になりますので、相談して決めているようです。筆者も建売業者にきむしていたときに代理で依頼をしたことがありますが、そのときも相談をして決めたの覚えています。

個人売主の代理の活用

代理が利用できるのは業者間だけと決まっているわけではありません。個人が利用することもできます。売主は不動産会社に販売報酬として、代理手数料を支払います。

後述のように代理による販売活動の報酬の6%を与えることにより、買主には仲介手数料無料での物件取得を促すことができます。これにより、販売ルートが予想以上に広がりますので、売却の成功確率を高めることができます。

通常の相場より高額での売却や、一般的な販売スピードよりも速く売却を成功させる期待値を上げることができます。当社でもそのようなサービスを提案しています。

個人売主の代理報酬

代理は報酬額の制限に違いがあります。代理の報酬額の法定上限は媒介の場合の2倍です。つまり(売買価格の3%+6万円+消費税)×2です。

宅地建物取引業法では、第34条の2、第34条の3ならびに「昭和四十五年十月二十三日建設省告示第1552号 三」に記載しています。告知1552号の中に、「代理の場合は1社の業者が受領できる手数料は媒介の二倍以内とすべし」との記述があります。このため仲介(媒介)の手数料3%+6万+消費税を超えて、6%の授受が可能です。

上記の通り、業者が受け取る手数料は倍です。このため新築マンションは仲介手数料がない契約が一般的です。

個人に対する代理の報告義務

専任媒介や専属専任媒介とことなり、業務処理状況の報告等に関する定めはありませんが、事案の性質や追認の有無の関係から、専任媒介以上の義務を課すのが相当だと思います。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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