仲介手数料無料のデメリット

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しばしば仲介手数料無料の業者に対してされる批判は、手数料有料でも起こりえる話をすり替えているだけです。デメリットらしいことをあえて言うなら、「利用できない物件」もあることくらいです。

むしろ、仲介手数料無料の業者は小規模の業者で、SNSなどを活用して積極的に情報発信をしていて、業者の顔が見えることで安心という声も聞くようになりました。

一方で、売却の手数料無料にはデメリットがあります。これの使い道は、「物件価格は安くてもいいから早く売りたい」という時だけです。デメリットを十分理解したうえで、利用を検討しましょう。

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「デメリット」は話のすり替え

仲介手数料無料はダメ!」「ゼロ円仲介なんて怪しいですよ!」という不動産営業マンのコメントがあることはお客様経由でお聞きします。しかし、誤解を利用した「営業トーク」のようですね。真剣に取り合うものでもないようです。営業トークの例とその誤りの点を以下にご紹介します。

手数料を払っても提携ローンなら低金利」⇒フェイク

フェイクです。金利は銀行が決定します。

いまは、安い金利を得る方法は多様で、実質の差別ポイントではありません。当社でも、同等以上の安い金利の提携があります。取引量の違いから、一部の大規模な仲介業者さんと提携する大手銀行では、優遇金利を提示できること自体は事実ですが、実質の差別ポイントではありません。

「ほかで回収」⇒フェイク

フェイクです。ほかでは回収していません。

札幌のガス爆発で話題になりましたが、賃貸ですと、「消毒料」「清掃料」「鍵交換料」等の名目で賃貸業者が回収しているといわれています。しかし、売買の場合は、売主から受領する手数料も相応になるため、当社は不明瞭な方法で費用の回収をする必要はありません。仲介手数料以外の諸費用とは「登記」「銀行」「精算」「保険」です。すべて明示されて再検証が可能です。すぐに不当ではないことが確認いただけると思います。

なお、正確に申しますと以下の2点について、お客様にご負担いただく機会があります。

当社は火災保険の代理店も営んでおり、ご用命をいただいた場合、母体となる損害保険会社(あいおいニッセイ同和損保)のルールにしたがって保険代理店の手数料を受領します。

他の不動産仲介業者と同様に、調査・ローン事務手数料を申し受けます。当社では32400円(2019年1月時点)です。このお金をもとに、重要事項説明のための調査などの費用の原資にしています。キャッシュバックなども行わず、お客様の利益に直結する部分は、お客様にもご負担をお願いするという思想です。当社は、売主とは異なる独自の不動産業者として、お客様への説明責任を果たていします。どうかご安心ください。

諸費用明細の例
必ず明細は明示しますのでご安心ください。

「当社を通すしか買えません」(新築戸建てに多い)

一部正しいかもしれません。売主様の販売戦略によりルートを絞った物件があるのも事実です。このタイプの物件が気に入られた場合は、残念ですが、その業者さんの言い分に従っていただくほかありません。

ただ、その会社限定だからといって、いい物件だとは限りません。割高な場合も多く、注意が必要です。当社限定とアピールすることで、他と比較させない作戦をとり、粘り強いセールスでじっくりと落とす作戦です。(未公開物件商法のデメリット)。

・販売を仲介業務を行う子会社が実施
・仲介会社に囲い込まれている状態
専任返し中の物件

さらに、まれに、口から出まかせで、「当社限定」という担当者もいます。モノはためし、気になる物件が手数料無料や半額で売買できるかどうか、ぜひお問い合わせ(⇒フォーム)をしてみてください。しつこい営業は致しませんのでご安心ください。

なお、「専任媒介」という用語がありますが、これは売主様側の窓口が「専任」となっただけで、買主様側の業者は専任ではありません。客付業者(買主側のエージェント)として、当社は共同仲介にて、手数料半額にて対応できます。

「契約書・重要事項説明書が未熟」⇒フェイク

フェイクです。手数料の有無とは関係ありません。経験上、仲介手数料を取る会社でもスキルが劣る会社ああります。これなどは話のすり替えです

立場上、様々な会社の契約書類を見る機会がありますが、仲介手数料が有料の会社でもひどいところはあります。この問題は、担当者のスキル、実務経験や訓練です。

この問題は、むしろ、社員の出入りの激しいブラック企業か否かを警戒すべきです。ダメな不動産業者という記事を是非ご覧ください。「契約書」「重要事項説明」の作成スキルはリスクを想定力し、取材する力です。売買物件の説明事項は物件ごとのオーダーメイドとすべき、繊細なものです。経験がもの言うことがあります。

重要事項説明書は宅建の資格を持つ人が担当します。人材の訓練が行き届く大手が有利ですが、大手でも、扱っている件数が多くて担当者が忙しすぎる場合、担当者の目は行き届かなくなります。重要なのは「人を見る目」となってくるのかもしれません。意外と難しい問題です。

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重要事項説明書の表紙。当社ですとA4で15~20ページ弱です。お陰様で、詳しいと評していただいた売主業者さんもおられます。

「物件のデメリットを教えてくれません」⇒フェイク

たとえば、「マンションの修繕積立金の不足」。このような重要な情報を教えない営業マンは確かに存在しますが、これは仲介手数料無料だからというより、営業マンの資質の問題です。これも話のすり替えですね。ゴリゴリの営業マンなどは、手数料有料でも教えてくれない人はいます。

無料だからというより、資質の悪い営業マンを避けなければなりません。

むろん、当社で言えば、そのようなことはありません。会社の主である筆者が後味の悪い取引が嫌いというのもありますし、会社の危機を招くようなことは避けなければなりませんし、時間の浪費も避けなければなりません。

すべて、デメリットの相当することは「重要事項説明」に記載しなければなりません。いづれ重要事項説明を詳しく解説する中で不都合な事実をもとにお客様に物件の購入を断念されるのであれば、先に申し上げるようにしています。なにより時間の無駄です。

「アフターサービスの対応が不安」⇒フェイク

フェイクスです。アフターサービスは法的には売主業者に義務が生じますので、仲介手数料を払うことと、アフターサービスとは関係がありません。

むしろ、仲介手数料無料になる物件は、仕組上、売主は、不動産業者・リフォーム業者・工務店です。専門業者ですから、契約不適合責任を課されていて、規制が課されています。また業界でも品位の向上に努めていて、対応として適合リノベーション住宅など、業界水準向上の動きがみられています。無料の対象になりうる物件のほうが、アフターがしっかりしていると言えるかもしれませんね。

「新規顧客が獲得できず先行きがない」⇒フェイク

フェイクです。当社の場合でいえば、自社サイト・SNSを中心に処理能力を少し上回る顧客を獲得できています。

これは、このページをご覧いただいているお客様こそその証人かもしれません。このようなブログ。物件ページ、マンションカタログ、動画サイト、SNSなどを通して、会社規模に比べると、過分な新規顧客があります。

その証拠に、当社はしつこい営業をしないという印象だとそうです。むしろ手数料有料の業者さんのほうがしつこい営業だと感じたということでした。

ただ、これについては、他の手数料無料の業者さんの実情は当社も不明です。

「優秀な人がいない」⇒フェイク

フェイクです。何をもって優秀というかにもよるかと思います。

手数料無料の仲介業者でも、頭のいいひと、心の温かい人、責任感の高い人は多数います。

たしかに、ムリに売りつける才能は無い人が多いかもしれません。むしろ、一部ですが、有料の業者のほうには、ムリに売りつける才能が高い人には、「ギリギリのウソをつく人」「しつこい営業をする人」「チャラい人」「いい加減な人」もいることは、お客様が体験されていることがと思います。

こうなってくると、見るべきは「人」であり、手数料の有無は関係ないかもしれませんね。

「値引き交渉ができません」⇒フェイク

フェイクです。価格交渉の対応は可能です。

売主さんが価格交渉に応じることは、買主さんの手数料と無関係です。手数料無料でも価格交渉は可能であり、当社でも事例はたくさんあり、しっかり対応いたします。

しかし、手数料有料の業者が交渉できる範囲は、売主が仲介業者に支払うべき範囲です。これをは主側との間での調整なので、「手数料調整」といいます。つまり実際のところ、「行ってこい」という話ですね。

ただ、どのようなタイプでも、どのような仲介業者を使っても、人気物件は値引きは困難です。いい物件は価格交渉をしていると逃げることがあります。つまり他で決まるということです。これも率直に申しあげます。

不動産購入申込書ひな形
不動産購入の商談は申込書があって初めてスタートです。一声だけでは値引きは難しいのもたしか。

「仲介責任を果たせません」⇒フェイク

フェイクです。仲介料責任とは説明責任です。正しい情報を提供する責任です。

仲介契約とは法律的には準委任契約とされています。適切な判断材料を提供して、購入や売却をサポートする責任です。事務の遂行のため、事実を説明する責任(善管注意義務)負います。この責任は業者や担当者の業務スキルと密接に関係します。手数料のことより、むしろ、話法3で説明した通り、出入りの激しい会社のほうがリスクが高いくなります。

当社の場合では、まず重要事項説明を重視しています。さらに、不可抗力による過失で調査・説明が誤ってしまった場合に備えて、宅地建物取引士賠償責任保険に加入しています。また、調査により最新の情報を提供して業務責任は絶対に果たしたいので、そのための調査にかかる費用のため「調査事務手数料(ローン含む)」として、32400円(現金購入の場合は21600円)のご負担をお客様にお願いしています。

このトークの狙いは不安を煽る話法です。手数料無料の物件は、上述の通り、瑕疵担保の責任は売主さんが責任が負います(契約不適合責任)。契約不適合責任と仲介責任をごちゃ混ぜにして説明しています。むしろ、嘘の説明で不安を煽る営業マンとのお付き合いは、見直しをお勧めしたいと思います。

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デメリットらしいことを「あえて」言うなら

デメリットというわけではありませんが、すべての物件が対象にはなりません。

専任返しの物件

本来ならば手数料無料になるタイプの物件でも、売主業者の施策により、手数料無料にならない物件もあります。専任返しと呼ばれる物件は顕著です。

これと似たパターンでは、売主関連会社が販売している物件もあります。たとえば(株)オープンハウスデベロップメント様が販売している戸建て物件は、(株)オープンハウス様に販売ルートを限定しています。同社は他の業者に対して物件をオープンにしないためです。

個人が売主の物件

たとえば個人が売主さんとなる物件は適用されません。物件により差が生じますので、手数料無料で対応できない物件は全て、当社でも手数料をいただいています(手数料半額)。

手数料云々はもちろん大切ですが、最も大切なのは、お客様が気に入った物件を購入されるのが重要と考えています。このような場合、無理に物件の欠点を挙げることはせず、対応外である旨を静かにお伝えします。通常、手数料無料外の物件は当社では手数料半額にて対応しています。

当社の取扱いエリアはあまり手を広げず23区で城南は手控えていますが、他社様のなかには、「一都三県」「関東」など、大きなエリア設定をしている業者さんもいます。地元密着と言い切るにはいささか広いため、ご質問やご要望は、お早めに投げかけていただくと準備よく進むでしょう。

購入の手数料無料でデメリットはない

売却の仲介手数料割引には無視できないデメリットがありますが、購入で仲介手数料割引は物件によって利用できる・できないがあるだけです。デメリットはありません。購入で仲介手数料割引が利用できる物件ならば、利用すべきです。

仲介手数料の割引は単なる企業努力

仲介手数料無料のカラクリにて詳しくご説明をしていますが、仲介手数料無料や割引は、企業努力とお客様の協力によるものでしかありません。カラクリはいたってシンプルです。

ただ、購入での仲介手数料割引は物件によって利用できる・できないがありますが、利用できる物件であれば、圧倒的に有利です。

売主からのよこやり

手数料無料を掲げていると、「ほかの不動産業者さんが営業しづらくなるので、手数料無料で広告はおやめください」と、売主さんが言うこともあります。大手を除けば、従来型の手数料有料の業者さんは、環境が厳しくなっているのでしょう。

手数料無料業者の増加ににより、手数料無料サービスが普通になってきており、従来型の業者はデメリットを強く「口撃」せざるを得ない事情があります。一般化した分、従来型の業者にとっては、何故手数料を払う必要があるのかと、意義を厳しく問われることになります。つまり環境が厳しくなっています。

「仲介手数料無料」は増える一方

当社は、2010年に創業して、すぐこのビジネスモデルを開始しました。しかし、最近は「手数料無料」を掲げる不動産屋さんも増えており、多種多様になっています。以前はなぜ仲介手数料無料になるかの理由を聞かれることも多かったですが、いまはほとんどありません。。それだけ一般化したものと見ています。

仲介手数料無料のサービス説明と見積もり

今後は業者の質の低下の可能性

その一方で、手数料無料の業者でも、業者選びは以前にも増して、重要になっているかもしれません。後述のように、以前は志のある人(業者)も多かったのですが、手数料無料を掲げる業者でも、悪質な業者が出るのかもしれません。

当社は、実にありがたいことですが、サイトの物件情報やブログなど、「オウンドメディア」から集客できます。ライバル業者のなかには当社と同様の強みを持つ会社さんもあります。しかし、厳しい集客の環境では、不動産業者は販売力で生き延びようとします。集客に強みがないところは、信頼性が低い広告はもちろん、しつこい営業に頼るようになるかもしれません。

売却での仲介手数料無料のデメリット

翻って、今度は売却の仲介照す料無料について考えてみましょう。当社でも手数料無料・割引の売却サービスを用意していますが、メリットだけでなく、デメリットを理解していただいたうえ、取り組むことにしています。

これの使い道は、「物件価格は安くてもいいから早く売りたい」という時だけです。

売却で仲介手数料無料・割引にする方法

売主に対して仲介手数料無料とするには、仲介業者は買主から仲介手数料を請求しないとなりません。売却時に仲介手数料無料を実現するには囲い込みを許容するしかありません。

通常、仲介業者は売り物件をレインズに掲載する義務があります。ただ、レインズ掲載の義務があるのは専任媒介、専属専任媒介だけで、一般媒介にはレインズに掲載する義務がありません。この方法なら、他の業者に売却物件の情報を開示することなく、仲介業者は物件情報をコントロールできます。

仲介手数料無料の売却には売却のスキームに制約があります。成約をなくして自由な売却をしつつ、手数料の低減を求めるなら、割引にならざるを得ません。ただ、経験的にはこれも囲い込みのリスクが生じます。いかにそれを説明します。

仲介業者に選ばれる競争

売却の仲介手数料を割引(物件価格の0.7%)して、A物件の売却を受託している業者がいるとします。この業者が取り扱える物件では、同じような条件(金額・立地・内装程度)で、手数料を3%取れるB物件が存在したとしましょう。

「価格がめちゃくちゃ安い」「今度数年は出ることがない希少立地」のような、物件自体に競争力があり、買主がA物件を買いたいと迷うことなく申し出れば、仲介業者もA物件の購入をサポートします。しかし2物件で迷うような状況で、アテンドする仲介業者はどちらを推薦するかという話です。

わずかな差のようですが、このわずかな差が影響を及ぼすことがあります。買主が迷っている状況においては、3%を取れるB物件が推薦されて、そちらに流れていく可能性を否定できません。

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営業マンの善意に依存して適切な活動をさせることはできるのかという問題です

物件の競争力

物件の競争力とは、割安な価格設定、物件独自の希少性(ペントハウス、ルーフバルコニー付きなど)のようなものを指します。

さらし物件

悪いほうに少し頭が回転する不動産営業マンならば、割引手数料で売却を受託して、自らの営業に有利な活用をすることを考えるかもしれません。その例を紹介します。

さらし物件とは、高い物件を「さらしもの」にして、比較対象にさせることです。「あて物」ともいいます。売却委託を切られない限り、別に存在する決めたい物件のための引き立て役の物件となります。あて物として案内されることで、他の物件の契約率のアップに貢献させられるわけです。

このとき、物件自体に競争力があるのであれば、すぐ決まってしまいますので、あて物にさせられることはありません。

引き物

引き物とは集客用の低価格物件のことです。

ネガティブ要素を抱えた物件であるため価格を安く設定していますが、ネガティブ要素を抱えているために、非常に売りづらい物件です。ただ、低価格ゆえに見せ方さえ上手に展開すれば、非常に多くの反響を期待することができます。

安くても、物件に少しでも隙があれば、競争力がその分下がります。安いから競争力があるとは言えないんですね。そのような物件は、引き物として温存されることになります。

売価が下がる

売却手数料無料は手数料無料にできるメリットがあるものの、販売手法ルートが絞り込まれることがデメリットです。ルートが絞られることは、自ら物件が囲い込まれに行くの同じです。買取業者への売却ですが、当然、買取価格が通常相場より下がるというデメリットがあります。買取業者の利益・経費がありますので、これはイメージしやすいと思います。

しかし買取ならば即決・後くされなしで売却できるメリットがあります。売却期間や売却条件を重視して、早く売る必要性がある状況ならば、有利な選択肢ともいえます。当社もサービスのラインナップとして仲介手数料無料の売却サービスもサポートしていますので、ぜひご相談くださればと思います。

また、一般媒介を活用して、仲介手数料無料で売り出すことに、デメリットはあるのでしょうか。結論からいうと、売却価格が下がります。

なぜなら、レインズに掲載しないで販売を行うとなると、他業者からの助力は望めません。安く設定することができれば、売出の初動で安さで売ることができます。普通の価格設定で売っていると、販売期間が長期化します。別の言い方をすると、総合的な販売力は著しく低下しているにもかかわらず、初動で2~3割の物件が売れるのは、価格設定が割安だからという可能性が高いです。

データから読み取れる販売傾向を分析してみたいと思います。

メリット・デメリットの結論

当社でも、かつて購入と同じく売却でも1.5%で受託していた時期がありました。いまは売却では3%をいただくことを原則にしています。1.5%の時代には少し心が苦しかったからです。

それでも当社は社長一人の実質自営業の会社なので、心意気で1.5%を強く売ることはできました。会社員なら、1.5%の物件を丁寧に売る理由はありません。しかし、十分な報酬をいただいていれば、堂々とお預かりしている物件をお勧めすることができます。

物件の販売手法が限定されることは、売却活動の柔軟性が低下します。おのずと売却価格は低めになる傾向があります。このことは不動産の基礎知識として認識しておいてもよいでしょう。

高額の売出しは期待できない手法です。相場並みの普通の価格で売りに出すのであれば、突如として売れなくなります。物件価格は値こなしにより下げらますので、手数料を下げた分よりも売買価格下がってしまうのであれば本末転倒です。けっきょく時間だけがロスされるだけとなります。

しかし、売出価格を安く設定して早く売る必要性があれば、経費を削減することになります。下げた売値を手数料削減で帳尻をあわせることができますので、合理性がある手法かもしれません。

【参考データ】一般媒介による手数料無料の販売状況

「一般個人に向けて売り出すて売却活動を仲介手数料無料にて受託する」と明示的に広告活動をして表明している2社を対象に、2022年9月時点にておいて販売をしている物件について、各物件がいつ頃から売り出されているかを調査しました。どの程度販売期間を必要としたかを推測することができます。

データから読み取れる販売傾向

販売受任期間の平均は3~4か月以上、値下げ幅は2~3%、1か月の平均下落率は0.5%となっていました。

データを見ると、売出し初月もしくは翌月で、受任した物件の2~3割が売れます。経験的に初月に売れる物件が価格が安かった可能性が大きいです。しかし、売出開始の時期にタイミングを逃すと売れ行きは減速します。

3か月目もしくは4か月目に大幅値下げを行うことがあります。これは初回の媒介契約更新時期に、大きく値こなしを行ったことが背景にあると見られます。

6か月目に相当数の売り物件が消滅します。これは、いくらか売れるのもあるでしょうが、2回目の媒介契約更新を行わなかったことが背景とみられます。

長期化

売出にしくじると長期化します。

【参考データ】販売成績

A社の販売成績

売出時期 経過月数 販売物件数 下落率 下落幅
2021年9月 12か月 0
2021年10月 11か月 0
2021年11月 10か月 0
2021年12月 9か月 0
2022年1月 8か月 0
2022年2月 7か月 3 -8.74% -95.75
2022年3月 6か月 1 -7.1% -81.52
2022年4月 5か月 2 -3.1% -19.60
2022年5月 4か月 0
2022年6月 3か月 3 -5.34% -161.95
2022年7月 2か月 4 0 0
2022年8月 1か月 4 0 0
2022年9月 0か月 3 0 0

B社の販売成績

売出時期 経過月数 販売物件数 下落率 下落幅
2021年9月 12か月 0 #DIV/0! #DIV/0!
2021年10月 11か月 1 -3.72 -17.91
2021年11月 10か月 0 #DIV/0! #DIV/0!
2021年12月 9か月 1 -6.99 -39.42
2022年1月 8か月 1 -10.92 -61.73
2022年2月 7か月 0 #DIV/0! #DIV/0!
2022年3月 6か月 3 -3.25 -27.17
2022年4月 5か月 2 -1.39 -19.61
2022年5月 4か月 1 0 0
2022年6月 3か月 3 -2.75 -71.74
2022年7月 2か月 3 -2.09 -80.65
2022年8月 1か月 5 0 0
2022年9月 0か月 2 0 0

【参考データ】販売事例

A社の販売情報

番号 住所 交通 徒歩 現在の価格 面積 売出時期 売出価格 経過日数 経過月数 値下幅 下落率 値下額/月 値下率/月
1 江戸川区中葛西4丁目 東京メトロ東西線 「西葛西」駅 徒歩8分 8分 2980 58.27m² 2022年04月 3180 153 5.1 -200 -6.29% -39.22 -1.23%
2 江東区有明1丁目 新交通ゆりかもめ 「有明テニスの森」駅 徒歩3分 3分 5980 55.68m² 2022年06月 6180 92 3.1 -200 -3.24% -65.22 -1.06%
3 江東区有明1丁目 新交通ゆりかもめ 「有明テニスの森」駅 徒歩8分 8分 6580 55.94m² 2022年08月 6580 31 1 0 0% 0 0%
4 江東区有明1丁目 新交通ゆりかもめ 「有明テニスの森」駅 徒歩3分 3分 7580 73.88m² 2022年07月 7580 62 2.1 0 0% 0 0%
5 江東区有明1丁目 新交通ゆりかもめ 「有明テニスの森」駅 徒歩5分 5分 8280 75.58m² 2022年08月 8280 31 1 0 0% 0 0%
6 江東区有明1丁目 新交通ゆりかもめ 「有明テニスの森」駅 徒歩3分 3分 12200 91.01m² 2022年07月 12200 62 2.1 0 0% 0 0%
7 江東区有明1丁目 新交通ゆりかもめ 「有明テニスの森」駅 徒歩3分 3分 17000 122.41m² 2021年07月 19800 427 14.2 -2800 -14.14% -196.72 -0.99%
8 江東区大島1丁目 都営新宿線 「西大島」駅 徒歩6分 6分 6780 90.13m² 2022年02月 7280 212 7.1 -500 -6.87% -70.75 -0.97%
9 江東区東雲1丁目 東京メトロ有楽町線 「豊洲」駅 徒歩10分 10分 6680 60.86m² 2022年02月 7980 212 7.1 -1300 -16.29% -183.96 -2.31%
10 江東区東雲2丁目 りんかい線 「東雲」駅 徒歩3分 3分 7180 71.26m² 2022年07月 7180 62 2.1 0 0% 0 0%
11 江東区豊洲1丁目 東京メトロ有楽町線 「豊洲」駅 徒歩10分 10分 5580 56.92m² 2022年09月 5580 0 0 0 0% 0 0%
12 江東区豊洲4丁目 東京メトロ有楽町線 「豊洲」駅 徒歩4分 4分 5280 56.02m² 2022年08月 5280 31 1 0 0% 0 0%
13 江東区豊洲6丁目 東京メトロ有楽町線 「豊洲」駅 徒歩12分 12分 7480 60.67m² 2022年07月 7480 62 2.1 0 0% 0 0%
14 品川区東品川3丁目 りんかい線 「天王洲アイル」駅 徒歩7分 7分 9980 98.27m² 2022年04月 9980 132 4.4 0 0% 0 0%
15 品川区南品川1丁目 京急本線 「新馬場」駅 徒歩6分 6分 10480 100.43m² 2022年06月 10980 92 3.1 -500 -4.55% -163.04 -1.48%
16 世田谷区上用賀4丁目 東急田園都市線 「用賀」駅 徒歩20分 20分 6480 82.08m² 2022年03月 6980 184 6.1 -500 -7.16% -81.52 -1.17%
17 中央区晴海2丁目 都営大江戸線 「勝どき」駅 徒歩11分 11分 6810 66.18m² 2022年08月 6810 31 1 0 0% 0 0%
18 中央区晴海3丁目 都営大江戸線 「勝どき」駅 徒歩10分 10分 7250 55.28m² 2022年02月 7480 212 7.1 -230 -3.07% -32.55 -0.44%
19 豊島区高田1丁目 都電荒川線 「面影橋」駅 徒歩1分 1分 8790 72.17m² 2022年06月 9580 92 3.1 -790 -8.25% -257.61 -2.69%
20 港区赤坂4丁目 東京メトロ千代田線 「赤坂」駅 徒歩8分 8分 30000 105.00m² 2020年10月 30000 700 23.3 0 0% 0 0%
21 港区港南4丁目 JR山手線 「品川」駅 徒歩13分 13分 9980 80.96m² 2022年04月 9980 153 5.1 0 0% 0 0%
22 川崎市高津区下作延3丁目 東急田園都市線 「梶が谷」駅 徒歩10分 10分 1480 49.50m² 2022年09月 1480 0 0 0 0% 0 0%
23 横浜市西区みなとみらい5丁目 横浜高速鉄道みなとみらい線 「みなとみらい」駅 徒歩5分 5分 14500 93.00m² 2022年09月 14500 0 0 0 0% 0 0%

B社の販売情報

番号 住所 交通 徒歩 現在の価格 面積 売出時期 売出価格 経過日数 経過月数 値下幅 下落率 値下額/月 値下率/月
1 さいたま市浦和区常盤1丁目 JR京浜東北線 「浦和」駅 徒歩7分 7分 4790 54.83m² 2021年12月 5150 274 9.1 -360 -6.99% -39.42 -0.77%
2 さいたま市浦和区東仲町 JR京浜東北線 「浦和」駅 徒歩4分 4分 7180 66.15m² 2022年03月 7200 184 6.1 -20 -0.28% -3.26 -0.05%
3 草加市神明2丁目 東武伊勢崎線 「草加」駅 徒歩14分 14分 2680 75.55m² 2022年07月 2680 62 2.1 0 0% 0 0%
4 足立区梅田8丁目 東武伊勢崎線 「梅島」駅 徒歩4分 4分 2400 61.60m² 2022年08月 2400 31 1 0 0% 0 0%
5 板橋区前野町2丁目 東武東上線 「ときわ台」駅 徒歩15分 15分 4490 60.79m² 2022年04月 4490 153 5.1 0 0% 0 0%
6 江戸川区篠崎町2丁目 都営新宿線 「篠崎」駅 徒歩6分 6分 5330 70.02m² 2022年06月 5480 92 3.1 -150 -2.74% -48.91 -0.89%
7 大田区山王3丁目 JR京浜東北線 「大森」駅 徒歩6分 6分 6480 45.75m² 2022年09月 6480 0 0 0 0% 0 0%
8 北区志茂3丁目 東京メトロ南北線 「志茂」駅 徒歩6分 6分 5890 67.82m² 2022年05月 5890 123 4.1 0 0% 0 0%
9 江東区豊洲4丁目 東京メトロ有楽町線 「豊洲」駅 徒歩8分 8分 6580 70.11m² 2022年06月 6580 92 3.1 0 0% 0 0%
10 江東区東砂8丁目 東京メトロ東西線 「南砂町」駅 徒歩16分 16分 4990 71.23m² 2022年09月 4990 0 0 0 0% 0 0%
11 品川区東品川3丁目 りんかい線 「天王洲アイル」駅 徒歩7分 7分 5980 55.65m² 2022年08月 5980 31 1 0 0% 0 0%
12 品川区東品川5丁目 りんかい線 「天王洲アイル」駅 徒歩4分 4分 7940 67.02m² 2022年08月 7940 31 1 0 0% 0 0%
13 新宿区赤城下町 東京メトロ東西線 「神楽坂」駅 徒歩2分 2分 8750 53.90m² 2022年06月 9260 92 3.1 -510 -5.51% -166.3 -1.8%
14 新宿区高田馬場1丁目 JR山手線 「高田馬場」駅 徒歩4分 4分 2280 26.11m² 2022年08月 2280 31 1 0 0% 0 0%
15 新宿区西新宿4丁目 都営大江戸線 「都庁前」駅 徒歩4分 4分 3900 36.26m² 2022年03月 4180 184 6.1 -280 -6.7% -45.65 -1.09%
16 世田谷区喜多見9丁目 小田急小田原線 「喜多見」駅 徒歩3分 3分 6980 61.08m² 2022年04月 7180 153 5.1 -200 -2.79% -39.22 -0.55%
17 世田谷区野毛3丁目 東急田園都市線 「二子玉川」駅 徒歩15分 15分 7480 66.35m² 2022年07月 7980 62 2.1 -500 -6.27% -241.94 -3.03%
18 千代田区神田多町2丁目 東京メトロ銀座線 「神田」駅 徒歩2分 2分 6980 55.15m² 2022年03月 7180 184 6.1 -200 -2.79% -32.61 -0.45%
19 豊島区高田2丁目 東京メトロ副都心線 「雑司が谷」駅 徒歩8分 8分 6980 88.84m² 2022年08月 6980 31 1 0 0% 0 0%
20 文京区小石川4丁目 東京メトロ丸ノ内線 「茗荷谷」駅 徒歩8分 8分 5980 45.57m² 2022年08月 5980 31 1 0 0% 0 0%
21 文京区本郷1丁目 都営大江戸線 「春日」駅 徒歩2分 2分 5180 32.46m² 2021年10月 5380 335 11.2 -200 -3.72% -17.91 -0.33%
22 港区芝浦4丁目 JR山手線 「田町」駅 徒歩8分 8分 9380 68.71m² 2022年07月 9380 62 2.1 0 0% 0 0%
23 藤沢市本町1丁目 JR東海道本線 「藤沢」駅 徒歩10分 10分 4080 55.85m² 2022年01月 4580 243 8.1 -500 -10.92% -61.73 -1.35%

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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