仲介手数料無料・不動産会社のランキングは信頼できるか

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不動産仲介関連のランキング・情報は、送客が目的のアフィリエイト記事、ライディングページばかりで、実際には信頼しにくいと感じます。

送客が目的のページは、制作者の連絡先、筆者の氏名、情報の根拠がないため、信頼性に乏しくなっています。

制作者の連絡先、筆者の氏名、情報の根拠がないサイトは信頼性に乏しいというのは、インターネット共通の現象かもしれません。

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仲介手数料無料のランキング

信頼しにくい仲介手数料無料のランキング

仲介手数料無料のランキングサイトを観察すると、その実態は広告だと推測することができます。さらに客観的にランキングを特徴づける根拠もないため、仲介手数料無料のランキングは信頼でないのではないかと考えています。

広告と感じさせるようなサイトの特徴・根拠は後述の通りですが、体験にもとづく根拠もあります。実は、当社もこのようなサイトを製作している業者からの営業電話を受けたことがあります。これは不動産業者を運営していないとわかりません。

このようなランキングサイトでは当社も下位に甘んじて(?)いますが、おそらく当社はそのような営業活動に応じなかったので、残念ながらランキングが下位にされたものだと考えています。微妙ですが、むしろ被害者と言えるかもしれません。

信頼できないと考える理由

信頼できないと断言できる理由は、ランキングの根拠づけが希薄だからです。うそはうそであるとか見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しいともいわれます。

情報の根拠が重要なのは、あらゆるネットの情報にいえることかもしれません。具体的には以下の通りです。

作者名と連絡先が不明

これらのサイトでは、サイト運営者の連絡先が見当たりません。そもそも、内容的に個人が趣味でやるようなものでもありませんので、よく考えると変な話です(個人であればハンドルネームとともに投稿フォームなどが設置してあるはずです)。運営者の連絡先がないのは、連絡が来ると困ると考えるほうが妥当です。

文章の作成者が明示されている記事は、その人やその会社が責任を負っている分、最も信頼性があるとされます。いわゆる署名記事とか「文責」といいます。

ランク付けの根拠が不明

データとして提示する場合には、出展の根拠が明示されなければなりません。他の情報源から引用する場合にはその引用元を、自らデータを構築した場合にはその集計方法が明示されていなければなりません。

仲介手数料無料の業態について根拠となるデータを集めた第三者はいませんので、当然と言えばそうかもしれません。

信頼

情報の信頼は情報に対する責任によって保たれる。

ランキングサイトの狙い

ではなぜこのようなサイトが存在するのでしょうか。

サイトを運営する真の狙いは、特定の社名をグーグルで検索した人のアクセスを「抜き取る」こと目的としています。”ランキング下位”とされる会社の社名が狙い目です。このような導線を作ることで、他社へのアクセスを、”ランキング上位”とされる会社のホームページにアクセスを送ることができます。こういうページをランディングページといいます。

たとえば、下記のように当社(旧社名)を検索すると、いくつかのランキングサイトにおける当社の解説記事が出ています。

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当社の社名を検索したスクリーンショット(なぜか旧社名)。当社の社名を検索すると、各ランディングページで当社の情報が表示されます。そこから「ランキング上位」の会社のページに誘導します。

おすすめの仲介業者は?

ランキングを観察してみると、傾向として、”ランキング下位”とされてしまった企業(アクセスを抜かれる側の企業)のほうが、ホームページの露出度が多いようです。おそらく、サイトのアクセス数も多いかもしれません。他者の社名を検索することで誘導するという目的から、そうなるのも当然かもしれません。

そのように考えると、むしろ、ランキングの上位と下位の順位を逆に読むと見ると、意外と信頼ができるかもしれません。

アフィリエイトのランキング

アフィリエイトとはインターネットを利用した成果報酬型の広告手法です。広告主がウェブサイトやブログの運営者と提携しています。掲載された広告からのアクセスで資料請求されると、サイト運営者に対し広告料が支払われる仕組みです。有名なのはAmazonアフィリエイト、楽天アフィリエイトなどです。

仲介業者・不動産売却のランキング

「仲介業者」や「不動産売却業者」のランキングを紹介する記事を見ると、この順位付けは、公益社団法人不動産流通推進センター発表の情報など、仲介業者の売上高や成約件数をもとにしていることがわかります。この団体は不動産業者ならだれでも知る業界関連の公益団体です。その団体の集計データで、明確な根拠があるので、ランキング自体は信頼できると思います。

【参考】仲介業者ランキング

No. 企業名 取扱高 (百万円) 手数料収入 (百万円) 手数料率 (%) 仲介件数 (件)
1 三井不動産リアルティグループ 1783232 84985 4.8% 42818
2 住友不動産販売 1287508 67063 5.2% 37715
3 東急リバブル 1315942 62261 4.7% 26437
4 野村不動産グループ 872337 35156 4% 9515
5 センチュリー21 636396 31088 4.9% 25902
6 三井住友トラスト不動産 472426 20221 4.3% 7684
7 三菱UFJ不動産販売 405969 16349 4% 5127
8 みずほ不動産販売 407804 16001 3.9% 4043
9 積水ハウスグループ 243231 12028 4.9% 8241
10 オープンハウス 236422 10979 4.6% 5695

しかし、グーグル検索でランキングサイトを検索すると、仲介業者・不動産売却のランキングを紹介する記事は例外なくアフィリエイトサイトでした。送客する先は、いわゆる「一括査定サイト」です。

このような場合には、会社評、論評、口コミなど、ランキング以外の記述内容で、信用には乏しいと判断すべきと思われます。なぜなら、もし低評価の記事を書けば、スポンサーから記事の削除を指示されることになるので、公正な評価をしづらいからです。いわゆる提灯記事とも言えます。

仲介業者ランキングのスクリーンショット
【仲介業者 ランキング】の検索画面スクリーンショット(令和3年11月9日)

不動産一括査定のランキング

不動産一括査定サイトとはインターネット上で複数の不動産会社に査定を依頼できるインターネットサービスです。不動産会社をスポンサーとして、一括査定サイトは「不動産を売りたい」と考えている人の個人情報を送信します。不動産会社は、応募をしてくれた人に対して、査定金額をアピールすることで、売却受託を取り付けようと努力します。

「引っ越し見積」「中古車買い取り金額見積」などを利用した方ならば、しくみは非常にイメージしやすいと思います。ただ、少し違うのは査定金額は売れる金額とは違うことです。「予想」であり、「がんばり(願望)」に他なりません。

このような不動産一括査定サイトのランキングを紹介する記事は、もれなく例外なくアフィリエイトサイトだでした。スポンサーは各不動産一括査定サイトです。不動産会社に売却希望客を紹介するサイトもネットビジネスですが、そのサイトを紹介する記事もネットビジネスという二重の構造になっています。

アフィリエイトの場合、報酬率が高い会社から高い順位を付けられる傾向があります。内容についても、報酬率が高い会社から順位を掲載されているだけですので、信頼性が確保されているとは言いづらいと思います。

一括査定のランキング
【不動産 一括査定 ランキング】の検索画面スクリーンショット(令和3年11月9日)

アフィリエイトの信頼性

アフィリエイト記事については、しばしば誇大広告があるので、記事の信頼性については内容を疑うべきであるとは、消費者庁も警告を発しています。

アフィリエイト記事の見分け方は、記事内のURLをチェックするとわかります。記事のリンク先が【直リンク】でないことから判断できます。いったんアフィリエイト会社のサーバーを経由してそのまま転送される仕組みになっています。そうすることで【送客】の事実を計測ができます。

その話、本当?」(消費者庁のサイトにリンクしています)

アフィリエイトの情報がすべてが悪質な記事ではありません。また、提供される記事に問題がある場合であっても、アフィリエイトのリンク先の商品が悪いというわけではありません。誇大広告があるので、記事の信頼性については内容を疑うべきというだけです。

フェイクニュース

2016年ころ、DeNAのキュレーションメディアの記事が捏造で氾濫していると社会問題になったことがありました。大手でも検索目的で信頼性の乏しい記事をアップすることはあります。その後、グーグルの検索も進化し、信用性に乏しいサイトは著しく検索エンジンから排除されるようになりました。

ただ、信頼性の乏しい情報が完全に駆除されたわけではありません。いまでも、海外も含め、フェイクニュースが社会を騒がしているという話は見聞きすることがあります。見た感じがキレイだからという理由はサイトの信頼性を確認する根拠にはならないと思います。

あくまでも、情報源は、「制作者の連絡先」「筆者の氏名」「情報の根拠」が明示されているかということ、そしてその情報が「検証可能」かどうかということで考えないといけません。不動産関連のランキングサイトはまずこのような情報源を明示することはありませんので、信頼性に乏しいと言えると思います。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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