独身の方の住宅ローン

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独身者の住宅ローンの利用について、厳しい対応をする金融機関が2019年くらいから出てきました。「投資懸念」「賃貸懸念」があるためです。

投資懸念とは、住宅ローンを利用して投資マンションの取得する行為に対する懸念です。銀行はこのような行為を契約書で禁止しています。

金融機関は常に目を光らせていて、住宅ローンの対象物件が投資用賃貸マンションになっていることがわかると、一括返済を迫られる場合があります(期限の利益の喪失)。

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投資懸念とは?

銀行は、住宅ローンを利用して投資マンションを購入する行為に対する懸念を考慮しています。これが独身の方の住宅ローンを検討する上でのカギとなります。

なんちゃって住宅ローン

「なんちゃって住宅ローン」とは住宅ローンを利用して賃貸マンションの購入することを言います。2019年後半に言われるようになりました。住宅ローンを利用して賃貸向けの投資マンションを購入することは、銀行は禁止しています。このような肝心な情報を伝えないで営業する悪質な業者が跋扈していたようです。お客様側でも手軽な資産形成や資金取得の誘惑に負けてしまい、双方の利害が合致して、大きな問題となっていました。

住宅が投資マンションなってしまうと、「利回り物件」としてしか評価されず、住宅としての評価とは金額が異なります。査定評価が上がればいいですが、ほとんどの場合投資用賃貸マンションになると物件価格が下がってしまいます。この事態は金融機関は受け入れることはありません。

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ライフスタイルの変化の懸念

意図的な悪意で投資マンションを買う意思はなくても、ライフスタイルの変化で結果として所有物件が投資用マンションになってしまう場合があります。例えば結婚のような場合です。

独身時代に購入した1R・1K・1DKの家は結婚すると手狭になることがあります。女性※1)の場合は旦那さんの自宅に転居する場合もあります。このとき、所有する家をどうするかを検討するときに、売るか賃貸に回すかと漠然と考えている方がほとんどです。

しかし、実際の状況になると、賃貸に回すこともありえます。このような状況を金融機関は懸念することがあります。

もちろん、ライフステージの変化には対して、リロケーションなどの一時貸しの行為には、基本的に金融機関は適切に対応します。例えば転勤などの場合です。正式に銀行に相談することをお勧めししたいと思います。

期限の利益の喪失

適切に対応しないと一括返済を迫られることがあります。これを「期限の利益の喪失」といいます。

フラット35は特に期限の利益の喪失に対しては厳しく対応してきます。悪質な業者では「フラット35は公的な融資ですので優しく対応してくれるから大丈夫です」など甘言しているようですね。実態は逆です。公的資金が母体であるフラット35は規則や法律通りにしか対応しません。なんちゃってローンの露見は直ちに一括返済を迫られることになります。

悪質業者

悪質業者からの勧誘

2019年以前には、意図的に住宅ローンを利用して投資マンションを勧誘する業者もいました。LINEの投資コミュニティの勧誘や、セミナーの勧誘などで、大々的に宣伝している業者もいました。まっとうな業者は眉をひそめていたものです。

ただ、残念なことですが、境界線上の悪質行為として、このような肝心な情報を曖昧にして伝えないで営業する業者もいるようです。

30代前半くらいの女性のお客様側などは、将来の可能性の心配に対して、「貸せばいいんですよ!」などと対応している業者もいたりして、お客様に対して「住宅ローン利用中に賃貸に出したらいけませんよ」と筆者が申し上げると、「本当ですか?大丈夫ってきいたんですけど!」と驚かれることが何回かありました。

悪質行為は対応しません

当社では、なんちゃって住宅ローンンには、リスクがある行為として、業者からの誘いも、お客様からの誘いも一切対応してきませんでした。モグリの業者も多く、免許のない業者からの客付け行為で、なんちゃってローンをお断りしたこともあります。

当社はお客さまにも、銀行にも、悪質業者とは睨まれたくないので、重要事項説明書に「住宅ローンは自らの居住のためだけの利用です。やむを得ず賃貸に出す場合には銀行等に相談してください」という趣旨の文言を書いてあります。

一部では不動産業者だけでなく、お客様でも「普通じゃん」ということをいう方もいましたが、対応していなくて、非常に良かったです。

各金融機関の対応

「なんちゃってローン」と言われるものが世間で言われるようになってから、独身の方向けの住宅ローンに対して、金融機関の対応が厳しくなってきたとされてます。

従来型銀行の対応

従来型の銀行では、銀行により濃淡があります※2※3。お客様の属性にもよるものの、基本的には対応はしています。

一部の銀行(*3)では具体的な対応を決めている銀行もあります。独身の方が1LDK以下のタイプの物件では、貸出額が担保評価以上の場合には1割以上の自己資金を要求したりなどの状況があります。これなどは、金融機関の担保評価はつねに実勢価格よりも低目に見ていますので、事実上、自己資金が必須となっています。

ネット銀行

ネット銀行においては、独身男性においては、いづれも投資懸念ありとの判断により対応はしなくなりました。独身女性の場合は、投資懸念というよりも、将来の結婚などにより結果として賃貸マンションになってしまうことを懸念して、対応が弱くなっています。逆に言いますと、中高年となり、結婚により物件が不要となって賃貸マンションに回される懸念が弱くなれば、対応することがあります。※4)

なお、ネット銀行においてはご勤務先属性を強くみる傾向があります。資本金1億円以上など、大・企業だと有利になります。

フラット35

従来の銀行など新興金融機関では、以前よりは厳しくなっていますが、対応はしています。ネット銀行等でも間取り、ご年齢などを総合的に判断しますものの、独身者の「投資懸念」により、ほぼダメになりました。

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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