投資用不動産ローンがある方の住宅ローン

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投資不動産ローンを有するお客様が、新規で住宅ローンを借り入れる場合、住宅ローンを利用した投資懸念がポイントになります。

既存の投資不動産ローンは、新規の住宅ローンの返済比率に合算して評価されます。

投資懸念(後述)が想定される場合には、当社の住宅ローンのリソースでは厳しいと思います。

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お客様属性と物件による判断

東京で活動する大手金融機関では、投資マンション転用の懸念を感じさせる背景があると、一気に金融機関の判断は厳しい方に傾きます。このような背景がある状況を「投資懸念がある」といいます。投資懸念を感じさせる背景とは、お客様属性と物件属性によって総合的に判断されます。「懸念」とは感覚的なものですし書面等では証明しようがないので、極めて厳しい評価ポイントかもしれません。投資懸念があると感じさせる項目が存在すれば、事実上、融資の門はシャットアウトとなります。

投資懸念について

投資懸念があるお客様の属性とはご年収、家族構成、ご購入動機などを見ています。単身者の方が、投資懸念があるとして、厳しく見られます。すでに投資マンションを所有されていることも、判定の重要なポイントです。

ご購入動機も重要で、購入を希望する物件を購入する蓋然性は必須です。たとえば、現在大宮に住んでいて、勤務地は赤羽で、買おうとする物件は蒲田だとすれば、通常の人間がとりえる行動パターンからすると、「少し奇妙」な話と評価されます。

物件属性は投資に向いたマンションであるかどうかを見られます。物件ブランド、物件管理会社、物件の間取り・面積、ローケーションなど、一般的に投資に向いた不動産の概要であれば、投資懸念として取り扱われます。たとえば、都心の1R、1DKなどの間取りで、築古のマンション(エリアの中で家賃に比べて低価格・PERが高い)であれば、格好の投資マンションのターゲットです。逆に、郊外の3LDK、4LDKで築浅などは、投資マンションとして取り扱いづらいとされます。こういう物件は投資懸念は低い物件であるとと言えます。

各金融機関ごとの対応

投資不動産ローンを抱えている方に対する住宅ローンの取り付けは、各銀行によって若干の差異があります。

ビジネスマン2

大手銀行の場合

名称 考え方 備考
三菱UFJ 1)本業年収から借入返済額を引いた額を想定所得とする。想定所得から返済比率を計算する。
2)ただし減価償却費、支払金利がある場合にはその金額を想定所得に加算できる。
減価償却も踏まえて計算したうえで赤字だと難しい
三井住友 1)既存の投資不動産ローンは住宅ローンと同じ金利の想定で計算し返済額に合算する 
2)運用している不動産のトラックレコードが3年以上あれば、収入として合算できる 
3)以上で収入返済比率を計算する
高収入でないと難しい
みずほ 顧客属性にかかわらず、投資懸念がある物件は謝絶
りそな 1)既存の投資不動産ローンは一定の想定金利で計算し、返済額を算出する。
2)確定申告の「家賃」を70%評価する 
3)既存ローンの返済額と評価家賃を比較して、返済額が上回る場合は、上回った分は新規の住宅ローン返済額に加算して収入返済比率を計算する

ネット銀行の場合

名称 考え方 備考
ソニー銀行 投資マンションを持っていると謝絶
住信SBIネット銀行 1)黒字などの状態にかかわらず、投資ローンの借入返済額を単純に返済比率に合算 
2)動機の整合性が明確であること。投資懸念がないこと
基本は厳しい

フラット35の場合

フラット35では、事業性のある借入は返済比率に組み入れないという特殊ルールがあります。このルールは本来は自営業者の事業性ローンを想定しています。たとえば、自営業者が自動車を業務用で買うなどが想定されます。

不動産投資においてもこのルールは適用されていましたが、「なんちゃってローン」などと言われ、2018年冬ごろより、このルールが悪用されて社会問題になったことがあります。すでに保有する住宅を見かけ上「投資マンション」として運用することで、新しい住宅を買いますものの、実はフラット35で取得した家も、投資運用されていたというようなことがありました。これは、場合により、書類の偽造を行うこともありました。このような背景から、投資用の区分所有マンションを所有のための借り入れでは、一切、返済比率から切り離すことができなくなりました(2020年4月より)。

ただ、筆者もまだ経験はありませんが、一棟のマンションの所有では事業性ローンと認識されるそうです。つまり従来のルール通りの運用となります。たしかに、一棟マンションの所有は金融機関の審査も厳しく、資産背景がなければ不可能で、事業といえるような規模となります。分けて考えるのは、筋が通っていると言えるかもしれません。

審査の必要書類

ご所有物件の謄本、3期分の確定申告の控え(本審査の時は納税証明を添付)、借入残高が確認できる書類、賃貸借契約書をご用意ください。

このなかで、簡単な相場調べ程度ですが、銀行はご所有物件の担保評価をしています。担保割れしていると、判断が悪いほうに傾きます。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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