未成年者の不動産購入と売却
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ロータス不動産
春日
このページでは未成年者の不動産購入と売却についてご案内します。
内容
未成年者の売買
結論から言いますと未成年者も不動産売買はできます。ただ未成年者は単独で法律行為ができませんので、親権者が売買に同意するか、親権者が法定代理人となって手続きをします。
売買の手続き
売買契約においては、未成年者に法律行為の効果を帰属をさせるには、本人である子の名前を署名して掲示しつつ、親権者が法定代理人として、記名・捺印を行います。あるいは未成年者が署名をして、法定代理人の同意人として親権者も連署をするという形態もありえます。
つまり、不動産に当てはめて言えば、売ったり買ったりして権利を移転することは親の関与があれば、未成年者でも可能です。
なお所有権の移転にともない登記を行う場合、登記においては戸籍謄本を提出します。法定代理人として有効な親権者の行為であることを示します。
売買の当事者
未成年者
未成年者とは民法上の成年に達していない人です。成年とは2019年時点では20歳となりますので、19歳以下の人が未成年です。
なお、結婚経験があると成年擬制といい、成年になったものとして取り扱われます。この場合、親の代理や同意は不要となります。結婚をすると、法律行為を行う上では、大人とみなされるわけです。
ちなみに平成30年6月13日に成立した「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)」によって、2022年4月1日より18歳が成人となります。2022年4月1日以降、18歳~19歳11か月の方は、その日に直ちに成年として取り扱われます。例えば、2022年3月31日までは、19歳の方は、未成年となります。
親権者
「親権者」とは親のことです。両親がいる場合は、同意又は代理は、「父」「母」が共同しておこないます。片親が亡くなった場合や、離婚をして一方にのみ親権がある場合には、一方の親が同意または代理を行います。
登記の必要書類
売買の結果として子供に法律効果を帰属されますが、対抗力を生じさせて権利を安全な状態にするには、もちろん登記が必要です。登記を行うには、とくに親の法定代理人としての行為が重要となりますので、親子関係を明示する証明書類が必要となります。具体的には戸籍謄本です。
両親がいる場合
子の親権者(法定代理人)ということを証明するために、「子」と親権者「父」と「母」の戸籍が必要です。
片親の場合
片親の場合には、片親の一方のみに親権があることを証明する書類等が必要です。亡くなられた記載のある除籍や親権の記載がある戸籍等を指します。
両親とも不在の場合
事情により両親ともいない場合があるかもしれません。その場合は未成年後見人を指定して、後見人を付して、親権者と同様の役割を行ってもらうことが出来ます。指定の方法としては遺言書によるものと、裁判所に申し立てるものがあります。詳しくは司法書士・弁護士等の専門化の範疇です。
未成年者の子と親の間の売買
未成年者の不動産売買が、親権者と子の間での不動産売買の場合には利益相反取引となり、事情が少し特殊です。この場合は、原則家庭裁判所にて特別代理人を選任する必要があります。なお、親権者と子が共同の売買や場合や、親から子へ単なる贈与(負担のない贈与)をする場合には利益相反取引には該当しません。
未成年者の住宅ローン
まず、未成年者が住宅ローンを組むには、金融機関の内規が適合しても、法律上、未成年は単独で法律行為(契約の重要な判断と意思表示など)をできませんので、記述の通り、「成年擬制」により成年と見なされるか、親権者による承諾が必要です。
フラット35
そのうえで、まずフラット35は有望といえるでしょう。フラット35は、「申込時の年齢が満70歳未満の方」とされており、ルール上、年齢制限の下限が設定されていません。そのため、原則においては、20歳未満の年齢者でもフラット35を借入することは可能です。もちろん、審査はありますので、収入の継続性・安定性などの審査で否認される場合はあります。
一般的な銀行
例として大手銀行の商品概要を確認してみましょう。各銀行の商品概要の該当の部分を抜き出しますと、以下の通りでした。各銀行とも20歳以上を明記していますので、一般銀行では難しそうです。
三菱UFJ銀行 | 年齢が借入時に20歳以上70歳の誕生日まで、完済時満80歳の誕生日まで |
---|---|
三井住友銀行 | お借入時満20歳以上満70歳の誕生日までの方で、完済時満80歳の誕生日まで |
みずほ銀行 | 満20歳以上満71歳未満で、最終ご返済時の年齢が満81歳未満の方 |
りそな銀行 | 借入時の年齢が満20歳以上満70歳未満の方で、最終ご返済時の年齢が満80歳未満の方 |
未成年者の不動産売買に関係する法令
未成年者の不動産売買に関係する主な法令を参考として記します。
- 第5条(未成年者の法律行為)
- 1 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
- 753条(婚姻による成年擬制)
- 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。
- 第818条(親権者)
-
- 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
- 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
- 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
- 第824条(財産の管理及び代表)
- 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
- 第826条(利益相反行為)
- 1項 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
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