空室で高く売却する!(ロータス不動産流の空室売却の施策)
空室売却のメリットは、滞在時間を長く、物件をしっかり確認できることで、物件の親和感を高めるように誘導できることです。
ロータス不動産の売却施策は、内見者の要望に迅速に対応できること。じっくり内見させることで物件の内容をしっかり確認しできることを重視します。派手ではありませんが、基本に忠実な施策であるといえます。
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author:春日秀典
目次
空室での売却するメリット
内見者への要望にすぐに対応できることが空室のよさで、それゆえスムーズな売却につながる可能性が高くなります。また、じっくり内見できることで購入者に十分な情報を提供することができるため、物件の魅力を最大限にアピールすることができます。
ロータス不動産の空室売却の施策は、派手でわかりやすい施策ではありません。しかし、上記の空室のメリットを生かす施策を実行します。
内見時間をいつでもセッティングできる
内見を希望する購入者は、仕事や生活スタイルの都合によって、平日の昼間や週末など、様々な時間帯に内見を希望することがあります。内見時間が固定されている場合、購入者の希望に合わせた内見を行うことができず、物件の魅力を見逃す可能性があります。
物件への親しみが増す
空室であれば購入者は細かい点を長い時間、くまなく確認できますが、このメリットは一歩踏み込んだ形で発展してきます。
「ザイアンスの法則」(単純接触公課)と言うそうですが、物、サービスに何度も触れることで警戒心が薄れていき、関心や好意を持ちやすくなるという心理的な効果があります。はじめのうちは興味がなかったものも、何度も見たり聞いたりするうち、次第に良い感情が芽生えてくるという効果です。
これは物件についても同じで、接触期間が長いほど、親しみを感じるようになるのが人間心理があります。
現実の接客シーンを観察してみても、滞在時間が長い場合、購入者は物件の雰囲気や魅力をより深く感じることができます。物件を見学する際には、単にスペックだけでなく、住み心地や気分の良さなどの雰囲気も重要な要素です。空室での販売は、購入者は物件に対する印象をより深く持つことができます。
可能性が縁となる
内見時間をいつでもセッティングできる場合、潜在的な購入者が柔軟に内見を希望する時間帯を選ぶことができます。しかし、内見時間が固定されている場合、そのような購入者が物件を見学することができません。
今すぐ見たいという人は、冷やかしも一定数存在するのは事実です。しかし、冷やかしが後々めぐって縁となる場合もあります。この可能性を無視しては、高い売却をすることはできません。
空室で売る施策
売却活動の施策において、まずは内見の誘引のためのアピールが重要です。そして、空間でのアピールも重要です。まずは建物そのものと、その家の空間も重要な商品ですから、これらをフル活用したアピールをすべきです。
動画・画像を用いた施策
空室での販売はビジュアルを用いてアピールすることができます。とくに、インターネットでの情報発信を行うことで、より多くの人々にアピールすることができます。具体的には、物件の写真や動画を掲載したウェブサイトを作成し、SNSや不動産ポータルサイトに掲載することが効果的です。
最近の購入客は、ネットであらかじめ十分に吟味し、最終確認のような位置づけで内見活動を行うお客様も多いです。
居住中の物件だと個人のプライバシーとも密接なかかわりがありますので、室内の写真を乗せることも難しくなります。十分なビジュアル素材を提供できないと、購入客の検討の俎上に上がらない場合も出てきます。。
商談しやすい環境の整備
接客用のテーブルを置いて着席をできるようにして、在室時間を長くすることで対応をします。商談しやすくすることで、ローンの話や物件自体の説明の機会が増えます。滞在時間を長くすることで、親和性を感じるようになります。
例えば、窓からの眺めが良い場合は、窓際に椅子を置いて、眺めを楽しめるようにすることができます。リビングが広い場合には、リビングの空間を活用するのもよいでしょう。
当社の場合だと、前述のように現地に簡易的なキャンプ用のテーブルを置いていることが多いです。簡単に4人掛けの空間を作ることができます。お客様が捨てる予定のリビングテーブルを活用したこともありました。
ただ、この手法は古い家だと使いづらい場合もあります。汚れや傷みがあると、購入者の印象が悪くなり、商談が難しくなる可能性があります
新人でも説明できる資料を現地に設置する
不動産の紹介ツールは一般にはA4で渡される「販売図面」から始まります。これは元付業者が作成したものを使用することがほとんどです。独自の資料を作成する客付け業者も存在しますが、元付が提供する以上の情報を記載することはありません。ここが検討の第1ラウンドですね。
内見が第2ラウンドです。ここで嫌われたら物件は終わりです。準備不足でも、優秀な不動産営業マンであれば、現地から多くの情報を顧客に分析して提供することができますが、初動の案内では、必ずしも優れた営業マンが案内に来るわけではありません。むしろ新人が案内していると想定したほうが適切です。
そこで、販売図面に記載できない詳細情報も元付業者が十分に提供する姿勢が重要となります。そのためには、追加のチラシやパンフレットを用いて、「販売図面」では伝えきれない不十分な要素をアピールする作業が有効です。
資料として現地に備え付けておく対応は、元付業者が偶然の確率を高める作業として有効な施策と言えます。
ホームステージング
楽しそうなグッズ、きれいな装飾品、目を優しい草木を用いて、現地の室内空間を和ませる施策も有効です。
もちろん、論理的に考えると、このようなアイテムがお客様の判断に影響を与えるはずはありません。しかし、「家」というアイテムは感情に訴えかける商品です。論理以上の意味を持つことがあります。そのため、感情に訴えかける姿勢も、販売業者が実施する施策としては、経験的には無視はできない要素です。
たとえば、キッチン周辺は感度が上がりやすいため、注目されるような演出をすることが重要です。
各室は緑の色のコーディネーションを配置して雰囲気を和らげることができます。
また、物件の特徴的な部分を強調するようなデザインやアートを飾ったり、おしゃれな家具を配置することで、内見者の興味を引きやすくなります。
なお、トイレには必ず「使用禁止」の標章を掲示します。まずは使用をさせないことが重要ですが、くわえて、しっかりと運営をしていることを印象付けることもできます。
内見者に細かい点を確認させる
購入者は、物件を購入する際には、多くの情報を収集する必要があります。部屋の間取りや設備、周辺環境など、多くの要素を考慮する必要があります。
例えば、設備などの情報は、購入者が物件を判断する上で、本来は重要な要素です。居住者に遠慮をすることがなく細かい点を確認できるようにすることで、購入者は物件に関する十分な情報を得ることができます。滞在時間が短い場合、購入者が物件の細かい点を見逃す可能性があります。
そのためには、現地に蛍光灯を設置することもあります。
内見者が細かい点を確認できるということは、購入者が物件についてより詳細に理解し、購入者が物件に関する十分な情報を得ることができれば、購入意欲が高まる可能性があります。
勝負は内見の前に始まっている
「内見前に勝負が始まっている」という考え方は、これは、ほとんどの会社が持たない考え方かもしれません。なぜなら、客付け業者に十分に理解をしてもらうための活動がないからです。
十分な情報の共有
内見前の施策の1つは、十分な情報共有です。不動産の売買に資料は欠かせません。紙かデータかは別にして、物件の説明からスタートして、商談、意思決定、ローンの取り付けに至るまで、不動産の検討は資料の山です。
たとえば、資料としては「登記簿謄本」「修繕積立金の残高」「長期修繕計画の有無」「ハザードマップ」「建築確認」「施工図面」などが挙げられます。メタ情報としては、「売却の背景」「近隣情報」などです。これらの情報は買う人なら必ず気になるところです。しかし事前に情報共有をされることはありません。
「調べておきます」「多分○○です」などと、他社の営業マンに言わせれば、言わせた分だけ勝負の分が悪くなります。情報共有をしておけば、このようなことはありません。
当社では、物件資料・情報を、パスワードでの管理のもと、他業者ともオンラインで共有します。これは、ほとんどの会社がやらない施策です。
キーボックス対応と清掃
これは打ち合わせになりますが、当社の場合は、現地キーボックスによる鍵の授受を基本にお願いをしています。お客様と客付け業者以外の第三者(当社を含む)による影響を避けて、スムーズに内見に導くことができます。キーボックス対応というだけで好かれることもあります。
キーボックス対応で状況をしっかり管理するため、原則として、内見があった後の週末・週頭には、現地で清掃活動を行います。現地に出向くのは室内管理をするためです。
しかし、毎週のように通っていると、セールスの問題点・改善点を発見することができます。発見された改善点は、前の段落で示した「室内で売る施策」にフィードバックされていきます。
これも、手間がかかるので、ほとんどの仲介会社がやらない施策ですね。当社が「都心通勤圏」に物件を絞っているのも、これが理由です。
空室の売却で確認してほしいこと
高く売るための空室の売却ですが、時間の余裕を見た戦い方にもなります。しかし空室での売却は、税金の損得、長期・短期の損得を考えて、総合的に判断する必要があります。
時間をかける覚悟
不動産売却の期間は通常3か月程度が望ましいとされます。おおむね1週間に1組に内見いただき、相場の真ん中、下限であれば、1~3月で売却できます。しかし、相場の上限、相場の極大上で売る方策は、時間に余裕を要する戦い方でもあります。
高く売ろうする場合は6~9か月の時間を想定してください。おおむね1週間に1組に内見いただく集客スピード感は同じなのですが、高く売却するということは、気に入っていただく確率が低くなる戦い((価値を認めていただく方が少なくなる戦い)でもあります。
控除制度の利用
売却でよく利用されている控除制度が「3,000万円特別控除」という制度です。この制度を利用すると、自宅を売却し売却益が出た場合に、最大で3,000万円の特別控除(非課税)を受けることができます。
ただし、この制度を利用するためには、「住まなくなってから3年目の年末までに売却」する必要があります。もし長期間にわたって空室だったり、一度住んだ後に一時的に親族に貸していたりして、自宅を離れてからしばらく時間が経っている場合は、期限に気を付ける必要があります。
物件の実力が見定める目が腐る
ご自身が余裕する物件は、金銭欲とプライドで、「我が子かわいい」の心理が働きます。冷静に見ることができません。それに輪をかけて不動産業者は「おべんちゃら」を使ってきます。物件の売却の受託をしたいためです。筆者自身も経験があります。どの不動産業者でも経験はあるでしょう。
実力以上の高い査定が出たとして、それに売却をスタートしても、損失はありません。少しづつ下げていけばいいだけです。しかし売れるものだと思っていたのに売れないという現象は、不快感・不信感は残り心が傷つけられます。売却にかかった経費もあります。
経費の件
空室の間でも部屋を所有している限り、維持に費用がかかります。管理費や修繕費の支払い、ローンの支払いが必要です。月々の費用がどれくらいかを把握しなければなりません。引っ越しをする場合は、新しい住居でも費用がかかります。
全体の費用がどれくらいになるのか、売却までにどれくらいの費用がかかるのか、事前にできるだけ把握しましょう。
室内の状態を考慮する
しかし、それとはお構いなく、一定の築年数を超えると、中古市場では検討者数の減少傾向があります。マンションで築30年くらい、一戸建てならば築20年くらいです。
室内の使用程度が良好でリフォームが不要だったり、簡素なリフォーム程度で済む場合には、空室で十分に市場性があります。
しかし、経年に伴う使用感などが顕著な場合には、空室でも難易度があがります。市場性が低い物件の売却は、言い換えれば、住める状態にする手間を買主側に移転する売却です。やはり、購入者の出現確率は下がります。
そのような物件は、買取も検討せねばならないかもしれません。買取だと売買価格が低下しますが、著しい長期化を許容するか比較です。買取価格との通常の市場価格との中間を狙ったり、自主的なリフォームをして売り出すことものも、作戦の選択肢だと思います。