マンションを空室で売却すると高く売れる?

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内見者の要望に迅速に対応できることでじっくり内見させることで物件の魅力を最大限にアピールできること、これらが空室の利点です。

スムーズな売却につなげるには、空室という利点を生かすことも重要です。ビジュアルなアピール、滞在時間を長くさせる施策が望ましいと言えます。

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空室での売却するメリット

内見者への要望にすぐに対応できることが空室のよさで、それゆえスムーズな売却につながる可能性が高くなります。また、じっくり内見できることで購入者に十分な情報を提供することができるため、物件の魅力を最大限にアピールすることができます。

内見時間をいつでもセッティングできる

内見を希望する購入者は、仕事や生活スタイルの都合によって、平日の昼間や週末など、様々な時間帯に内見を希望することがあります。内見時間が固定されている場合、購入者の希望に合わせた内見を行うことができず、物件の魅力を見逃す可能性があります。

内見時間をいつでもセッティングできる場合、潜在的な購入者が柔軟に内見を希望する時間帯を選ぶことができ、物件の魅力を最大限にアピールすることができます。

可能性を高める

内見時間を柔軟に設定することができおると、すぐに物件を見学することができますが、そのようななかには、購入意欲の高い人がいる場合もあります。例えば、急に転居する必要がある場合や、早急に住宅を探している場合など、すぐに物件を見学する必要がある人もいます。

内見時間が固定されている場合、そのような購入者が物件を見学することができない場合があります。

内見者が細かい点を確認できる

購入者は、物件を購入する際には、多くの情報を収集する必要があります。部屋の間取りや設備、周辺環境など、多くの要素を考慮する必要があります。

例えば、設備などの情報は、購入者が物件を判断する上で、本来は重要な要素です。居住者に遠慮をすることがなく細かい点を確認できるようにすることで、購入者は物件に関する十分な情報を得ることができます。滞在時間が短い場合、購入者が物件の細かい点を見逃す可能性があります。

内見者が細かい点を確認できるということは、購入者が物件についてより詳細に理解し、購入者が物件に関する十分な情報を得ることができれば、購入意欲が高まる可能性があります。

虫眼鏡

細かい点にも注意を払うことで、物件の魅力や特徴を見つけることができ、購入者が物件に対する興味を持つことができます。

滞在時間を長くすると親しみを感じる

前述の通り、空室であれば購入者は購入者は細かい点まで見逃すことなく確認できますが、このメリットは一歩踏み込んだ形で発展してきます。

ザイアンスの法則と言うそうですが、物、サービスに何度も触れることで警戒心が薄れていき、関心や好意を持ちやすくなるという心理的な効果があります。これは物件についても同じで、接触期間が長いほど、親しみを感じるようになるのが人間心理があります。

現実の接客シーンを想定してみても、滞在時間が長い場合、購入者は物件の雰囲気や魅力をより深く感じることができます。物件を見学する際には、単にスペックだけでなく、住み心地や気分の良さなどの雰囲気も重要な要素です。空室での販売は、購入者は物件に対する印象をより深く持つことができます。

テーブル

キャンプ用の簡易テーブルを設置した例。ここで商談や説明をすることも可能です。着席することができますので、滞在時間の長期間につながります。

空室環境を有効活用する施策

売却活動の施策において、まずは内見の誘引のためのアピールが重要です。そして、空間でのアピールも重要です。まずは建物そのものと、その家の空間も重要な商品ですから、これらをフル活用したアピールをすべきです。

動画・画像を用いた施策

空室での販売はビジュアルを用いてアピールすることができます。とくに、インターネットでの情報発信を行うことで、より多くの人々にアピールすることができます。具体的には、物件の写真や動画を掲載したウェブサイトを作成し、SNSや不動産ポータルサイトに掲載することが効果的です。

最近の購入客は、ネットであらかじめ十分に吟味し、最終確認のような位置づけで内見活動を行うお客様も多いです。

居住中の物件だと個人のプライバシーとも密接なかかわりがありますので、室内の写真を乗せることも難しくなります。十分なビジュアル素材を提供できないと、購入客の検討の俎上に上がらない場合も出てきます。。

商談しやすい環境の整備

接客用のテーブルを置いて着席をできるようにして、在室時間を長くすることで対応をします。商談しやすくすることで、ローンの話や物件自体の説明の機会が増えます。滞在時間を長くすることで、親和性を感じるようになります。

例えば、窓からの眺めが良い場合は、窓際に椅子を置いて、眺めを楽しめるようにすることができます。リビングが広い場合には、リビングの空間を活用するのもよいでしょう。

当社の場合だと、前述のように現地に簡易的なキャンプ用のテーブルを置いていることが多いです。簡単に4人掛けの空間を作ることができます。お客様が捨てる予定のリビングテーブルを活用したこともありました。

ただ、この手法は古い家だと使いづらい場合もあります。汚れや傷みがあると、購入者の印象が悪くなり、商談が難しくなる可能性があります

説明資料

不動産の紹介ツールは一般にはA4で渡される「販売図面」から始まります。これは元付業者が作成したものを使用することがほとんどです。独自の資料を作成する客付け業者も存在しますが、元付が提供する以上の情報を記載することはありません。

優れた不動産営業マンであれば、現地から多くの情報を顧客に分析して提供することができますが、初動の案内では、必ずしも優れた営業マンが案内に来るわけではありません。

そこで、販売図面に記載できない詳細情報も元付業者が十分に提供する姿勢が重要となります。そのためには、追加のチラシやパンフレットを用いて、「販売図面」では伝えきれない不十分な要素をアピールする作業が有効です。

資料を設置した例

資料を設置した例。当社はこのようなリングが多いのですが、ファイルに資料を入れている流派もあります。

資料として現地に備え付けておく対応は、元付業者が偶然の確率を高める作業として有効な施策と言えます。

ホームステージング

楽しそうなグッズ、きれいな装飾品、目を優しい草木を用いて、現地の室内空間を和ませる施策も有効です。

もちろん、論理的に考えると、このようなアイテムがお客様の判断に影響を与えるはずはありません。しかし、「家」というアイテムは感情に訴えかける商品です。論理以上の意味を持つことがあります。そのため、感情に訴えかける姿勢も、販売業者が実施する施策としては、経験的には無視はできない要素です。

たとえば、キッチン周辺は感度が上がりやすいため、注目されるような演出をすることが重要です。

キッチン周辺

キッチン周辺。もう少しかわいくできるといいのですが。

各室は緑の色のコーディネーションを配置して雰囲気を和らげることができます。

グリーン

グリーンの装飾を設置して空間を演出した例。造花です。

また、物件の特徴的な部分を強調するようなデザインやアートを飾ったり、おしゃれな家具を配置することで、内見者の興味を引きやすくなります。
アートの例

コーディネーションの例

なお、トイレには必ず「使用禁止」の標章を掲示してください。まずは使用をさせないことが重要ですが、くわえて、しっかりと運営をしていることを印象付ける必要があります。

使用禁止

使用禁止と表示した例

空室売却での注意ポイント

空室での売却は、税金の損得、長期化・短期決戦の損得を考えて、を総合的に判断する必要があります。

控除制度の利用

売却でよく利用されている控除制度が「3,000万円特別控除」という制度です。この制度を利用すると、自宅を売却し売却益が出た場合に、最大で3,000万円の特別控除(非課税)を受けることができます。

ただし、この制度を利用するためには、「住まなくなってから3年目の年末までに売却」する必要があります。もし長期間にわたって空室だったり、一度住んだ後に一時的に親族に貸していたりして、自宅を離れてからしばらく時間が経っている場合は、期限に気を付ける必要があります。

経費の件

空室の間でも部屋を所有している限り、維持に費用がかかります。管理費や修繕費の支払い、ローンの支払いが必要です。月々の費用がどれくらいかを把握しなければなりません。引っ越しをする場合は、新しい住居でも費用がかかります。

全体の費用がどれくらいになるのか、売却までにどれくらいの費用がかかるのか、事前にできるだけ把握しましょう。

室内の程度による判断

不動産業者が直接買取をする「買取保証制度」や「直接買取」などのサービスがあります。これらは売買価格の低下につながります。室内の使用程度が良好で、リフォームが不要だったり、簡素なリフォーム程度で済む場合には、空室で十分に市場性があります。あえて買取を利用する筋合いはないといえます。

しかし、一定の築年数を超えると、中古市場では検討者数の減少傾向があります。マンションで築30年くらい、一戸建てならば築20年くらいです。築年数が古くても美室なら十分に戦えるのですが、経年に伴う使用感などが顕著な場合には、空室でも難易度があがります。著しい長期化を勘案して販売をするか、買取業者に売却するか、自主的なリフォームをして売り出すことも検討すべもしれません。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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