成約済み・商談中・販売終了の物件が売り出されている理由

この記事の筆者:春日秀典
物件情報を最新の状態にするのは広告掲載業者の仕事ですが、法令では2週間に一回のペースでチェックを指導されているため、業者が広告停止処理をするのに、タイムラグが生じます。
このタイムラグが、終了した物件が売りに出されていると感じる理由です。
極めてまれに、広告の削除を意図的に遅らせることで、おとり広告として利用する業者もいますので注意です。
公開日: 更新日:
複数業者による物件掲載
売出し情報のリリース
一般に販売物件の情報は売り側の不動産業者(売主業者や売却を委託された仲介業者。「元付業者」)が、レインズなどの業者間情報ネットワーク(サイト)に掲載し、他の不動産業者に対して、購入希望者の紹介を広く呼びかけます。
これに対して、買主の対応をする不動産業者を「客付業者」といいます。客付け業者は売主に買主を紹介する活動をしています。活動のために、元付けより許可をとって広告で物件情報を公開したり、手持ちの顧客リストにある買主のお客様をに物件を紹介して誘引し、
このように、現在の不動産流通の流れは、物元の業者さんと客付けの業者さんがこのようなネットワークから物件情報を交換することで交流し、物件をお客様に紹介しています。売主さんは、広く販売情報を拡散させることができます。

各不動産業者は、レインズのような一般の消費者の目に触れないサイト(ネットワーク)を通して業者間で情報交換をしています。
複数業者による広告
当社もそのうちの1社ですが、元付け業者のなかでは、客付け業者による物件広告を許可するポリシーの業者もいます。そうすると買主に広く紹介が進むようになり、売りやすくなります。
物元業者の呼びかけに応じた客付け業者は、手持ちのリストの中にいるお客様に、販売物件を紹介します。
しかし、客付け業者は新規の検討者を促すため、各社が保有する媒体(サイトやチラシなど)に掲載します。客付け業者は自己負担で物件広告を掲載してくれます。売り側の業者は売却可能性が高まりますが、客付けにもメリットがあります。業者は新規の集客ができるからです。
いわばwinwinの関係とも言えます。このような流れで、同じ物件情報が複数の不動産業者から掲載されます。
どこの不動産屋さんに行っても、同じ条件、同じ時期に問い合わせをすると、同じ物件が出てくるのは、ほとんど全ての業者がこのネットワークを利用しているためです。詳しくは「同じ物件が複数の不動産屋で出る理由」のページにて説明をしております。
販売終了物件の削除
販売終了による物件削除のタイムラグ
消費者の皆さんが困惑するので、売り情報を最新の正しい状況にしなければならないとされています。
販売物件の売却が終わると元付け業者はレインズなどに掲載していた売出し情報を削除します。しかし、終了したなどとして、客付け業者に対する個別の通知はありません。レインズなどで物件情報を削除したことが「販売終了の告知」に相当します。
あくまでも広告をしている不動産業者の自発的な動きですので、客付けの各仲介業者は売却状況を日常的に確認しなければなりません。あくまでも、広告を出している行為自体は、広告の削除も客付け業者の負担になります。
削除のタイムラグ
このように、時期により、客付け業者が販売終了を確認したタイムラグが生じます。同じ物件でも、一時的に削除前、削除済みの物件に分かれます。これが、「販売終了の物件が売り出されている」ように見える原因です。ときどき、当社でもこのような状況があります。
ただし、いづれは売買終了の情報が伝達されていきますので、売り情報は消えていきます。
おとり広告
極めてまれですが、販売物件の削除を意図的に遅らせることで、おとり広告として利用する業者がいます。
販売を終了した物件は、いわば、条件がすぐれた「売れるタイミングにある物件」です。そのため、集客をできる条件が整っています。そのうえで他業者が削除していきますので、まさに買い得・未公開・限定物件のようにみえてくるわけです。このようにして、おとり広告として戦略的に利用されます。
このような手法は悪質ですので、お付き合い先としてはお勧めできません。
著者:春日秀典
2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。
不動産取引の知識
不動産セールスの裏側





(株)ロータス不動産について
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ロータス不動産は2010年創業で着実に実績を重ねてきました。「ロータス」とは英語で「蓮の花」のことで、良い水先案内人として、美しい花を咲かせる存在でありたいという思いを重ねています。
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