住宅売買の登記と登記費用

登記費用とは大きく分けて以下の2つに分けれます。
①司法書士報酬 ②登録免許税
司法書士は法務局(登記所)になり替わって、申請書類の真正さを確認する役割も果たしています。仕事は「書類の作成」なのですが、それ以前の付随する仕事が重要で、大きな役割があります。

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登記実務にあたるのは司法書士や土地家屋調査士です。これらの資格者は弁護士とくらべて目にすることは少ないですが、その資格は最難関の国家資格の一つとされています。特定の分野においては、司法試験よりも難易度が高いそうです。そのため、司法書士や土地家屋調査士は慣例として「先生」と呼称されます。これらは一般消費者の皆様は普段はご縁が少ない職業だと思います。特にご縁がなければ、不動産業者が斡旋いたします。

日本の法律ですと、実は、登記はしてもしなくてもいいとされています。しかし、二重売買などがあると、登記された者が優先されます(民法177条)。そのため実務上では登記をしないで放っておくことは、あり得ません。

なお、この記事においては「仲介の対象となる物件(中古住宅や小規模な新築一戸建て)」における実務を記しています。新築マンションでの流れは、こちらではわかりかねますので、当該物件の販売員などにお聞きください。

権利証

住宅の登記について

住宅の売買で登場する登記は以下の6項目です。イメージしにくいと思いますので、謄本の例と合わせてご覧ください。

所有権移転 名義の変更です。「移転」といいます。
所有権保存 新規の建物を作った場合には最初の所有権登記はされていませんので、初代の所有権の記述を「所有権保存」といいます。略して「保存」といいます。
抵当権設定 抵当権を設定します。住宅ローンなどで担保に提供された物件は、新買主には重要な情報です。そのため、その旨を外部に表示が義務付けられています。「設定」といいます。
表題表示 建物の概要を記した部分を表題部といいますが、新築一戸建て住宅など、新規の建物を作った場合、その記録はありません。表題部を登記して、建物登記の表示枠をつくります。これを表示登記といい、略して「表示」といいます。
住所変更 引越しなどで所有者の現住所が異なる場合、住所変更することができます。ただ、放っておく方々が多いも実情です。しかし、売るときには必ず最新の情報を記述することが必要です。後述しますが、売却の本人確認に印鑑証明が必要であるため、一致させるため、住所を記述が必須となります。
抵当権抹消 抵当権を削除するための登記です。「抹消」といいます。実務上は抵当権を付けたまま不動産を売ることはできません。そのため、抵当権がついている不動産は抵当権を抹消する登記が必要です。通常、ローンや借入の一括返済をすると抵当権を抹消できる書類が金融機関から返却されます。

権利に関する業務は司法書士が行います。表示登記は測量などの実務が付随するため、土地家屋調査士が行います。

登記簿謄本の例と見方

この記事では登記簿の専門用語がでてきます。登記簿にはこのようなことが記述されています。

項目 説明
表題登記 表題部には物件の概要を記述します。事例マンションの建物1室(区分所有)です。建物全体と1室の概要がそれぞれ記されています。
甲区 物件に関係する権利のうち、所有権に関する事項を記したものです。過去の所有者も含めて、ヒストリーが把握できます。最新の所有者の名義は最後列に記述されています。住所とお名前が記入されています。
乙区 物件に関係する権利のうち、所有権に以外の事項を記したものです。画像は抵当権を事例としていますが、借地権なども乙区に記述します。権利の内容、権利者、義務者の住所とお名前が記入されています。
下線を引かれた内容は過去の情報で、現在は終了した内容です。例えば抵当権が抹消されていれば、抹消した抵当権には下線が惹かれます。最新の所有者の名義は最後列に記述されています。

なお、登記の情報は現在はコンピュータ化されています。しかしコンピュータ化される以前の紙で記録した情報は移植されていません。それ以前の、現在生きていない情報は「閉鎖謄本」といって、過去の閉じ込んだ記録を引っ張り出すと追いかけることができます(東京で言えばコンピュータ化は平成 4年10月22日)。

登記費用について

登記費用は「登録免許税(国税)」「登記報酬(手間賃)」に分かれます。住宅売買の実務では、登記費用は便益を受ける方が支払うものとされています。買主・売主の負担は下記に記載のように割り振ることが多いです。

買主(新所有者)が負担する登記費用

  • 移転
  • 保存
  • 設定
  • 表示

売主が負担する登記

  • 住所変更
  • 抵当権抹消

※売主側の住所変更登記、抵当権抹消登記は、実施の必要性がある場合に対応すします。

登録免許税

登録免許税とは、国の税金です。政府の政策での割引の施策(耐震・省エネなど優良な住宅)はありますものの、税金ですので、どの業者が対応しても請求額は同じです。

登録免許税は従量制のものと定額制のものがあります。

従量制の登録免許税

従量制の税金の登録免許税は名義移転登記、抵当権設定登記、所有権の保存登記です。

名義移転、所有権の保存は固定資産税の登録免許税は課税評価額に基づいて計算されます。

抵当権の設定の登録免許税は、抵当権の金額(借入金額)によります。

土地の所有権の移転登記

課税標準 税率 軽減税率 備考
売買 固定資産税評価額 2.0% 1.5% 平成31年3月31日まで
相続 0.4%
贈与 2.0%

建物の登記

課税標準 税率 軽減税率 備考
所有権の保存 固定資産税評価額又は登記官認定価格 0.4% 0.15% 平成32年3月3日まで※諸条件あり
売買による
所有権の移転
固定資産税評価額 2.0% 0.3% 平成32年3月3日まで※諸条件あり
相続 0.4%
贈与 2.0%

抵当権の設定登記

課税標準 税率 軽減税率 備考
抵当権の設定 債権金額 0.4% 0.1% 平成32年3月31日まで※諸条件あり

軽減措置を受ける場合には、登記の申請書に市区町村長の証明書を添付し、新築または取得後1年以内に登記しなければなりません。証明書は、床面積50m2以上など一定要件を満たすことを証明しています。なお、特定認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の保存登記の場合、軽減税率は0.1%となります。

耐震基準適合証明瑕疵保証保険の付保があると、ごそっと税金が太く減税されます。

定額制の登録免許税

抵当権抹消、住所移転が定額制の税金です。2018年現在では、1件の登記で1000円の課税となっています。1件の登記とは建物1つにつき1件、土地1筆につき1件です。筆がいくつか分かれると、数件に及びます。

司法書士報酬

司法書士報酬には以前は司法書士会という業界団体が決めた「標準報酬」というものがありました。今は自由化されていて、各司法書士事務所が自由に設定しています。登記書類の作成費用のほかに、立会料、郵送代などの名目で請求されます。

前述の通り、税金は誰がやっても同じです。そのため、登記費用の比較は、名目の如何はありるものの、報酬の部分丸々含めたもの(つまり、税金以外の部分です)で検証を行わなければなりません。従来の「標準報酬」においては「移転」「保存」「設定」では別々の手間賃があったのですが、わかりづらいので、中古の場合は「移転」+「設定」、新築の場合は「保存」+「設定」というように、ほとんどの場合、「ひとまとめでナンボ」で比較されているのが実情です。

買主側の報酬の相場

「移転」+「設定」でいうと、買主側の報酬は、金融機関で指定がある場合(ネット銀行などで多い)や、小規模・零細不動産業者に出入りする先生では、12~13万円くらいのようです。ネット集客の激安設定の先生や、大手や地元の有力な不動産業者から紹介される先生では税込み8~9万円くらいに落ちついているようです。大手は数があるためでしょう。

これ以上の金額、つまり報酬だけで14万円台に突入すると、少しお高いかもしれません。なかには、16万、17万・・・20万という見積もりを見ることがあります。そうなると当社では交渉をするようにしています。高額の場合は、ぼったくりか、担当者がバックを受けている可能性も考えなければなりません。

売主側の報酬の相場

抵当権抹消、住所移転はそれぞれ、2~3万の設定をする先生が多いようです。両方ある場合は、ひとまとめの見積もりをしてくれるところもあります。

登記で気にすべき留意事項

その他の、消費者の皆様が登記で気にすべき留意事項を記します。

司法書士の指定

個人間売買の場合は買主が指定することが多いです。ネット銀行、一部のフラット35業者、特殊な銀行の場合は、金融機関の指定があります。取引によっては売主の指定がある場合があります。
司法書士を売主、買主それぞれ別々に司法書士を立てることも可能です。しかし、抵当権の抹消と所有権の移転、抵当権の設定の進行がバラバラになるのは、お取引を預かる不動産屋としては少し怖いお話です。実務上は避けたほうがいいと思います。

司法書士の紹介

冒頭のように、特にご縁がなければ、不動産業者が斡旋いたします。

基本的に司法書士の先生は厳しい資格をお持ちなので、しっかりされた方が多いです。しかしmまれに「おっちょこちょい」の先生にぶつかることもあります。そうなると我々不動産屋もハラハラです。筆者が経験した例ですと、「登録免許税の計算を間違えた」などがあります。見積もり段階ならまだよかったのですが、お取引が終わって解散した後ですと、訂正は大変です。率直に申しますと、新規の先生を探し回るよりも、ホンネは慣れた先生の方がいいかなと感じます。

登記の必要書類

買主

現金で購入する場合は住民票1枚でご対応が可能です。印鑑証明も不要です。しかし、ローンを用いて購入される場合は住民票と印鑑証明が必要です。これらは金融機関の指定に従います。

住所変更、抵当権抹消がない場合は印鑑証明とご実印が必要です。住所変更がある場合は新住民票(旧住所が記載されたもの)、抵当権の抹消がある場合は金融機関から交付をうけた「抹消書類」が必要です。

在外邦人の方々

海外に居住の方々は住民票、印鑑証明のシステムがありません。印鑑証明の部分をサイン証明、住民票の部分を在留証明に読み替えていただければ、在外邦人にも対応できます。

登記費用の支払期日

決済日の当日に行うことがほとんどです。決済業務は、多くの場合は銀行で決済をしますから、その場で支払うことになりまます。

買主様の登記費用は、頭金やその他の諸費用とともにm一括して銀行の預金に保管しておいていただいて、ローンの実行とともに現金で引き出せば楽です。売主様の登記費用は、一部を振込、登記費用部分を現金で支払ってもらって、そのまま先生に回すと、実務は楽となり、それぞれ現金の持ち運びの必要がありません。

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