固定金利の住宅ローンの何がいいの?

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固定金利のメリットは、返済期間中には金利が変わらないことです。また、借入枠を増やす効果も期待できます。

通常は変動金利のほうが安いですので、金利が安いままだと高い金利で固定されるリスクがあります。

多くの金融機関では、変動と固定を混合して提供するサービスもあります。ミックス金利と言っています。金利変動のリスクが心配な人は検討できると思います。

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どんな人が固定金利の住宅ローンを利用したのか?

当社のケースでは、変動金利を選ぶ方は、肌感覚で9割5分くらいでしょうか。2020年代でいえば、固定金利の方は固定金利の方はゼロかもしれません。その中で、どのような方が固定金利を選択するのでしょうか。

心配がちな方

固定金利住宅ローンのメリットは、将来の利払い額が借入時点で確定する点ですので、住宅ローンの支払額を確定させたい人に向いています。心配ごとで気を取られたくない方にはにはぴったりです。

終身雇用制度が崩れつつあるとはいえ、まだまだ終身雇用の慣行は残っていますので、将来の給与収入の予測がつけやすいと思います。

ただ、事情がなく、丸ごと固定金利にしたいという人は少なくて、固定金利にしたいという方も。結局はミックス金利する方がほとんどです。

定年が近く退職金で一気に繰り上げ返済をしたい方

退職金で繰り上げ返済を想定されているお客様は期間限定の固定金利を選択されました。退職金を前提とする場合はある程度退職年に近づいているはずです。金利変動リスクを取りづらいはずです。残りの在職年数に期間を合わせた固定金利を選択されました。

10年固定の金利は変動に次いで競争がある分野で、銀行もサービスされた金利(客引き商品)を提示することが多いゾーンです。

年収が少なめな人

フラット35や、固定金利を借りると明確にした場合の一部の銀行では、固定金利で収入返済比率を計算してくれます。このことを利用すると借入額を増やせます。

ご年収が比較的少ない方は金利が安い変動金利を選びがちですが、所得が少なめということは、変動に対する許容度が低いということ。多少金利が高くなっても長期固定金利をご検討されるべきかもしれません。全期間固定ですと将来のマネープランがたてやすくなります。

借入枠を増やす効果

銀行では貸出の判断をするときに、収入条件に応じて、年収と返済の比率を設定しています。変動金利を利用する場合に、将来の金利上昇も見越して、金利が3~4%という想定金利で計算をしています。しかし、銀行の収入の計算は、課税上の年収をもとに計算します。

しかし、フラット35や一部の銀行では、全期間固定金利の利用では、将来金利が上がることがありませんので、実際の貸出金利で返済比率を計算するルールがあります。現実の固定金利は、返済比率計算の金利よりも安いので、借入上限が少し増やすこともできます。

ご収入に対して、銀行所定の返済比率が届かない場合、固定金利は有望な選択肢です。自営業の方や育児休暇の方など、本来のご収入よりも課税上の収入が低く抑えてられている方も、利用が考えられます。

消費者金融などで借入が多い方

上記の年収が少なめな人と類似する話として、フラット35の話ですが、消費者金融などの借入が多いお客さまも、利用していました。消費者金融の借入が年収に対する住宅ローンの借入可能額を潰してしまうため、借入枠を増やす効果のある固定金利を利用します。

非正規雇用の方

これはフラット35に特有の話ですが、非正規雇用といわれる、パートの社員の方もフラット35を利用したことがあります。

固定金利のデメリット

高い金利で固定されるリスク

固定金利のは金利上昇リスクがないので安心ですが、「安心」だからといって「おトク」だとは限りません。固定金利は一般的に変動金利よりも高い金利で提供されます。

固定金利型は銀行にとってもリスクがある取引であるため、銀行はリスクを見込んだ銀行側に有利な利率を設定します。逆にいうと、この先低金利が続くのであれば、金利が固定されることはリスクです。

低金利が続けば続くほど損失

固定金利住宅ローンは金利上昇時に利息返済額を増加を避ける効果(リスク回避)はありますが、現在の日本のように、低迷した景気環境が続く状況では低金利がこの先も続かないとは言い切れません。過去20年の実績はそうなっていました。ネット銀行を中心に低金利競争が続いています。長く不動産をやってきたものの感覚からすれば、狂気ともいえる状態です。

期間限定固定金利に特有のリスク

全期間固定以外のタイプでは、契約の固定期間が終了すると、終了時点での金利が適応されます。つまり金利が上がればそれだけ即座に毎月返済額も上昇します。返済額の変動に対しての変動幅の上限が設定されていません(※変動金利の場合は、その幅が設定されており、激変を緩和するようにできています)

金利で固定してしまうことは金利固定リスクが伴い、結果的に損をすることもありえます。金利の予想とともに、毎月返済額の予想されるアップに耐えられるのかどうかをよく検討することが大切です。

インフレと住宅ローン

いま、当社のお客様でみてみても、固定金利を選ぶ人はほとんどいません。それが危ういとなるとすれば、インフレがドンドン進んでいく場合です。

インフレとは?

インフレとはかいつまんで言いますと、物価があがる状態です。まず、株、不動産から上がっていき、次第に生活物資まで上がります。つまり、インフレでは、資産をお金で持っているよりも、モノで持っていたほうがよい事態となります。

いよいよ物価も上がる事態になると、まず、安定資産である預金、債権、国債は目を向かれなくなります。国債の価格が下がれば国債の実質利回りは上がります。住宅ローンに限らず、預金や諸々の金利は国債の利回りと連動しています。インフレで金利が上がるのはこのよう流れです。

インフレ時の住宅ローン金利の変化

マーケットの金利が上がりますと、いよいよ住宅ローン金利も上がる可能性を考えなければなりません。国債の金利が上がるときには、まず長期金利から上がり始めます。住宅ローンで言えば、10年固定以上の金利が先に上がりはじめます。超長期の固定金利は銀行にとってリスクが高いので、10年固定以上の超長期の住宅ローンから、敏感に反応しはじめます

さらに金利上昇が進むと、普通預金の金利が上がります。普通預金の金利が上がるくらいの段階では短期プライムレートが変化を起こし始めます。短期プライムレートが上昇を開始すると、いよいよ変動金利が上がっていきます。

このようにして住宅ローンの金利が上がっていきます。

固定金利の商品の種類

ひとえに「固定金利」といっても、いくつかの異なった形態があります。それぞれ特性があります。

全期間固定金利型

全期間固定金利型は借入期間中金利が最初から最後まで変わらないタイプです。

段階的な全期間固定金利型

借入期間中の金利が最初から確定している固定金利型ですが、全期間と異なる点は、取り決めた年数から金利が切り替えられることです。かつ当初より高い金利になる仕組みとなっています。フラット35S等がこのタイプといえます。2段階とはいえ、最初から全期間分の金利が確定しているので、全期間固定金利型と同様に安心感は大きいと言えます。

固定金利選択型(期間限定固定金利)

一定期間の金利が固定される特約の住宅ローンです。多くの金融機関でこのタイプが扱われています。借入後、金利が固定される期間には、2年、3年、5年、10年などがあります。その固定金利期間終了後は、その時点の金利で改めて変動金利型や固定金利選択型を選びます(一部の金融機関には、一度変動金利型を選ぶと、再び固定金利型を選べないという商品もあるので、あらかじめ確認することが必要です)。

なお、固定期間終了後は、その時点での店頭表示金利に対し、契約時に当初取り決めた優遇幅が適用されて金利が決まります。

優遇幅は金融機関やお客様の与信状況によってさまざまです。固定金利期間終了後の金利について、どの程度の金利引き下げ(優遇)が続くのかどうかをチェックしておくことが大切です。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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