大手の施工業者なら安心か??

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大手ゼネコンならば施工管理の体制はしっかりしていることがあり、いくらか安心の可能性は高まるかもしれません。

品質の責任を負うのは分譲業者ですし、いづれアフターサービス期間は終了はしますので、施工業者を気にする人は少ないと思います。

中古マンションの販売実務では、施工業者を気にする人は少数派であるように感じます。

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分譲業者と施工業者は違う

責任を負うのは分譲会社

日本の住宅分譲のシステムは、まず不動産会社というのがいて分譲を企画・実行します。その会社が発注する先として施工会社がいて、下請けとして位置づけられます。品質の確保を促進する法律では、新築や中古の10年保証の期間内には、アフターサービスの範囲内です。

アフターサービスについて、直接、購入者(入居者)に責任を負うのは売主(分譲会社)になります。施工会社は分譲会社に対して責任を負ってはいますが、「適切な施工をすること」以上の責任はありません。たとえば、地盤に関する事項などは、分譲業者の範疇になる可能性が高いと思われます。

管理会社は維持管理をしているだけですので、こちらも無関係です。

ゼネコンの仕事

ゼネコンの仕事は工事の統括です。ゼネコンは日本語では「総合建設業」といいますが、ゼネラル・コンストラクターを略してゼネコンと呼びます。

建物の工事は建築、設備、その他に分かれ、建築は躯体、内装にわかれます。建築は昇降機、給排水などに分かれ・・・とドンドン枝分かれしていきます。それぞれの業者は専門性を持っています。これらの専門施工業者を統括するのがゼネコンの仕事です。

ゼネコンはこれら専門業者の取り纏めの仕事をしています。総監督として、進行管理、予算管理、安全管理を行っています。実は、ひとくくりにゼネコンと言っても、工事実績に得意分野があり、建築と土木で得意が分かれています。

ゼネコンの「組」

ゼネコンでしばしば見る「組」という社名ですが、これは反社会勢力とは関係はありません。かつて、江戸時代からの話ですが、親方とその配下の職人が形成する施工者チーム「組」といっていましたが、個人事業の大工の親方を発祥とすることが多い日本のゼネコンではそのまま伝統として受け継いでいるものです。

かつての反社会勢力で「組」という呼称が多いのは、かつて、取り締まりから逃れるために請負業者の看板を掲げるようになったからというのがいきさつであるようです。そのため、まっとうな工事業者は反社会勢力とは無関係です。

大工

大手の施工業者なら安心か

中古物件の場合には、完成してからしばらく経過していますので、実際に居住をしていて「稼働」の実績があります。また、時間が経過すれば、アフターサービスは無関係になってしまいます。

セールスポイント

実際の中古住宅の販売現場では、スーパーゼネコン5社の施工物件は一つのセールスポイントになる傾向はあります。しかし実際にはスーパーゼネコンの「作品」は多くはありませんので、施工業者を気にする人は少数派であるように感じます。

大手の施工管理体制

大手ゼネコンならば、ヒューマンエラーを防ぐ仕組み、多重のチェック体制などで、施工管理の体制はしっかりしていることがあり、可能性としては安心度の可能性は高まるかもしれません。ただ、その分コスト高でもあります。

実際の仕事をするのは専門施工業者であり、施工の良しあしは専門業者の技術力・丁寧さに依存します。そして結局のところ、ゼネコンが発注する先は同じです。ゼネコンよりも優れた専門業者を確保できたかどうか、つまり発注時の予算の潤沢さが影響するかと思います。

実際、大手の施工物件で施工不良が見つかることもあります。立て直しが利くのが大手の資金力のすごさではありますが、近時の工事は人手が足りないことによるうっかりミスなども多い気がします。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコンとは完成工事高上位5社のことで、以下の業者を指します。

  • 鹿島建設
  • 清水建設
  • 竹中工務店
  • 大林組
  • 大成建設

スーパーゼネコンは技術力が高く、手広い工事分野に対応できるので、マンションに頼らなくても多様な収入源があります。平たく言うと、「仕事を選ぶ」という傾向があり、小規模な物件などは採算で選別しているようです。

大手分譲業者とタッグを組んで、都心や駅前一等地などのグレード感がある物件多いです。小規模な物件でその名前を見ることは少ないはずです。物件がもつ「風格」なども、安心感と感じてしまっているのかもしれませんね。ただし、進行管理は厳しく、一般的には良質な下請けを抱えています。

準大手・中堅ゼネコン

準大手とは優れた技術力があり、得意分野をもち、売上高も1000億円以上のクラスです。バブル崩壊後も金融支援を受けないゼネコンというのが何社かありますが、筆者がサラリーマン時代に訪問した先の会社では、たしかに業務の気風は堅実な印象を受けました。

準大手以上であれば管理体制もしっかりしており、一定の水準は期待できるはずです。準大手とは以下の業者さんを指します。

  • 長谷工コーポレーション:
  • 戸田建設:バブル崩壊後でも金融支援を受けない好財務体質
  • 五洋建設
  • 前田建設工業:バブル崩壊後でも金融支援を受けない好財務体質
  • 安藤ハザマ
  • 三井住友建設
  • 西松建設:バブル崩壊後でも金融支援を受けない好財務体質
  • 東急建設
  • 熊谷組;高い技術力
  • 奥村組
  • 鴻池組(非上場企業)
  • 東亜建設工業
  • 鉄建
  • 淺沼組
  • 東洋建設
  • 飛島建設
  • 錢高組:江戸時代の創業。

このなかでマンション建築として異質なのは、長谷工コーポレーションです。以前は長谷川工務店と称していましたが、マンションに特化した業者で、数百戸の大規模物件が中心です。日本のマンション用地の候補の7割は、長谷工が認識しているともいわれます。昭和のころのかつては、安普請などと言われていましたが、構造面はシンプルで堅実でもあり、旧耐震の時期でも耐震適合にする確率が高いように思いますので、捨てたものでもありません。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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