おとり広告の見分け方

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おとり広告とは広告した物件以外のものを購入するように仕向けるための客寄せ広告のことです。あとで料理をするという方針のもと、不当に来店を促します。わりと古典的で手法です。

「限定物件」などのキーワード、実際には物件が存在しない架空物件や、売却済みまたは他人の物件を無断で広告するもの、物件はあるが広告主がこれを販売する意志を持っていないもの等があります。いずれの場合も価格を著しく安く表示する傾向があります。

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おとり広告の定義

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おとり広告とは売る意思のない物件、実際に存在しない物件をネタに、不当に集客をするための広告です。つまり来客をよぶためのエサです。釣り広告とも言えます。おとり広告に出る物件ををおとり物件といいます。契約済の中古マンションをホームページにずっと掲載していたり等が、これに該当します。おとり物件の目的は、巧みなセールストークで他の物件を紹介して、契約するよう促すためです。愉快ではないお話ですが、実際これにハマるお客さんも多いのが実情です。不動産屋の思うつぼといったところです。おとり広告は宅建業法32条及び不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)21条に違反する、明らかな違法行為です。

いづれにせよ、不動産業者としては悪質な営業手法で、業者の行為は明らかに宅地建物取引業法違反です。営業担当者としては、そのことを知りつつ営業している営業マンですので、平然とできるであれば病んでいるともいえます。物件数が多い賃貸分野のほうが多いようですが、売買分野でもしばしばみられます。

売却と確認のタイムラグ

不動産セールスにおいては、広告をしている仲介業者が売主(貸主)とは限りません。また、売主(貸主)から受託をした会社とも限りません。他社の管理物件を自社で広告して、共同仲介で物件を決めることもできます。しかし、不動公正取引規約では、物件の契約済みのチェックを、2週間に1回チェックすることが求められています。具体的に言うと、インターネット広告における「情報登録日又は直前の更新日」及び「次回の更新予定日」の記載を義務づけており、この期間を2週間にするよう求めております。まれに、売れたばかりで確認ができていなかったということもあります。この場合はやむを得ないと言えます。

ただ、不誠実な業者は確認を怠り、販売後、1か月以上にわたり掲載したままにしている場合があります。この場合は釣る広告として意図しないせよ、質が低いといえますので、近寄らないほうがいいかもしれません。ご参考にしてください。

おとりのケース

おとりのパターンにはいくつかのパターンがあります。

  1. 存在しない物件
  2. 売主が販売する意思のない物件
  3. 販売する意思のない価格設定
  4. 意図的な取引態様の詐称
  5. 意図的な記載内容の間違え(間取りを実際の物件以上にいいものにするなど)

誇大広告等の禁止

不動産業者が広告をするときは、著しく事実に相違する広告や、無根拠に著しく優良若しくは有利であると表示する広告をしてはなりません(宅地建物取引業法32条)

表示規約21条

不当景品類及び不当表示防止法により、①存在しない物件に関する表示、取引の対象となり得ない物件に関する表示、取引する意思がない物件に関する表示を禁止しています。

おとり広告の弊害

おとり広告の弊害は幻を相場判断に基準にしてしまうことです。おとり物件に執着をしてしまうと、しばらく不当に安い相場判断の基準が形成されます。おとり広告は人の射幸心につけ込む麻薬みたいなもので、最悪の場合、何が正しく何が誤りなのか判断できなくなるお客様もいました。おとり広告は触らぬ神に祟りなしといえます。

おとり広告の見分け方

おとり広告は格別の魅力的な物件をネタにお客様を釣るのですから、それなりの特徴があります。

1)確たる理由もなく相場に比べて安い。

嘘を嘘と見抜けない人はネットを使うのが難しいと言った人がいますが、そのまま放置してしまうと修羅の国になってしまいますので、法律で規制をしています。ただ、「世に盗人の種はつくまじ」ともいうように、悪い人は一定の確率で発生するのも確かです。

都庁のホームページにも書いてある通り、「不動産に格安物件はありません」。(⇒http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/490p10-11.htm)。でも、予算が相場よりも低くならざるを得ない場合、物件が探すのが困難になると、お客さんの心理はどんどん煮詰まってきます。巧妙なおとり広告は、このような心理状態にはたいへん響くようです。気を付けましょう。

不動産業者が広告を読むときは小さな部分から読み始めます。これは、小さな文字こそ例外的に大事なことが書かれているからです。不動産広告は規制が厳しめになっており、全く整合性がなく安いのは、不当な何かあると考えるべきです。不動産が相場よりも安いのであれば、その理由を予測させる記述が、小さな文字で書かれています。しかし、何もないのに安い物件は、まずおとり広告の可能性を疑うべきです。インターネットはモノの調べが簡単ですので、昔よりは嘘はつきづらい環境ですが、意図的に嘘をついているのであれば、うまく隠してきます。

2)1社しか扱っていない

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そもそも存在しない物件ですので、良心的な他の会社では、扱いようがありません。1社しか扱っていない物件は疑わざるを得ません。ただ、売主が売却依頼先の業者を1社に絞ってしまうと、広告は1社しか出ないこともあります。この場合には、頼みやすいお気に入りの不動産業者にお願いして、その会社が仲介できるかどうか、確認してもらうのも手です。不動産業者専用のネットワーク(指定流通機構・レインズ)があり、法律により、不動産業業者には当該ネットワークへの掲載義務があります(宅地建物取引業法 第三十四条の二)。正当な物件であれば、法律に基づいて、ネットワークに掲載しており、不動産業者なら確認できます。

3)やたら「未公開」「当社限定」「あなただけ」を強調する

希望の選択肢がやたら狭くなる厳しい条件である場合、物件がなかなか出ませんから、心理的に煮詰まってきて、お客様の心は家さがしに疲れてきます。こうなると、「未公開」「当社限定」という、あおりのキーワードに感応的になります。上記2)と関係しますが、おとり広告の性質として、必然的に射幸心を煽るキーワード比率が高くなります。

4)来店を迫る。現地集合ができない

そもそも存在しない物件をもとに集客をすることが目的ですから、見学はおろか、現地集合もできません。さらにいうと、おびき寄せるためですので、不動産会社の店頭に来てもらわないと始まりません。店頭に出向くと、他の物件の紹介を受けることになります。

5)住所などの詳細な事項の明記がない

そもそも存在しない物件をネタにしていますので、存在するかどうかを確認されると困るわけです。

参考

http://www.sfkoutori.or.jp/portal_bukai/info/jirei/2015/201508.html

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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