違法建築か調べる方法

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違法建築とは読んで字のごとく、建築基準法等に違反している建築物です。

違法建築のなかには、建築確認を取得していない建築物、建築計画と違う建物物、建築後に増改築を行い違法になった建築物などが存在します。

違法建築物は住宅ローンの取り付けが難しいので、現金で売買を行うか、ノンバンクの住宅ローンの利用となるでしょう。

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違法建築・既存不適格・再建築不可の違い

違法建築

違法建築とは読んで字のごとく、建築基準法等に違反している建築物です。建築確認を取得していない建築物、建築計画と違う建物物、建築後に増改築を行い違法になった建築物などが存在します。

たとえば有名な「沢田マンション」という建築物がありますが、建築確認を取得しないまま建築してしまったので、こちらも厳密には違法建築です。※沢マンは筆者も一度は訪問してみたいです。

Sawada_Mansion

沢田マンション(高知県)

既存不適格

違法建築と似て非なるものとして、「既存不適格」というカテゴライズされる建築物が存在します。建築当時は合法だったものが、法令の変化により不適法になったものです。容積率オーバー・建ぺい率オーバー、斜線規制(高さ制限)などでよく問題が浮かび上がることもあります。

既存不適格も厳密には違法と言えますが、建築当初は合法であり、違法につき悪意ではないということから、公的機関の補助金や融資における取り扱いはおおむね穏やかです。

再建築不可

再建築不可とは建物ではなく、土地に対して行われる呼称です。接道幅が少なかったり、市街化調整区域などであったりすることで、建築を許容しない敷地のことを指します。再建築不可の土地の上に立っている建物を違法建築ということができます。

建築物の違法性を確認する

建築確認証・検査済証の保存を確認する

少なくとも建築確認証と検査済証が確認できれば、違法建築ではない可能性が高まります。書面のタイトルに明確に記載があるのですぐにわかるはずです。既存不適格かどうかの断定はできませんが、これがあれば明確に違法建築ではないと断定できます。

しかし、これらの書類は紛失をしてる可能性もあります。

台帳記載事項証明を確認する

建築確認証・検査済証は紛失をしてる場合には、「建築確認台帳記載事項証明」を調べましょう。

台帳記載事項証明書とは、行政庁が建築確認ならびに完了検査の情報について、台帳にて管理する事項の内容を証明するものです。建築当時の確認番号や検査番号のほか、建築主、地名・地番、規模・構造等ような基本的な情報が記載されてます。古い建物となると、確認済証や検査済証を紛失していることもありますが、確認済証と検査済証交付の記録が記載されていれば行政処分が実施されたことが確認できるので、確認済みや検査済みの代用となることもある証明書です。

建築確認を取得している建築物ならば、市区町村の役所に出向くと、「建築確認台帳記載事項証明」という証明書を発行してくれます。この証明書に「建築確認日付」と「検査済日付」の記載があるか確認しましょう。既存不適格の可能性はまだありますが、違法建築ではない可能性が高まります。

台帳記載事項証明を取得するときには、ついでに「概要書」も取得できるか確認しましょう。これは建築確認申請書のダイジェスト版です。「台帳記載事項証明」よりも詳しいデータを見ることができおます。

検査済証の日付が打たれていない台帳記載事項証明書は要注意です。完了検査を受けていない建物です。断定はできませんが、違法建築の可能性があります。このような建物はマンションですと昭和40年代の建物で、一戸建てでは、平成11年以前の建物で、時々見受けることがあります。

なお大規模建築物なら都道府県庁です。年度にもよりますが、東京都の場合、昭和50年度~まらば5,000平方メートル超で昇降機の付属する建物、平成12年度以降の10000㎡以上が東京都庁の保管です。

建築確認台帳 記載事項証明
建築確認台帳 記載事項証明の例

目視や図面で状況を確認する

台帳記載事項証明で検査済みの日付があったとしても、最終的な確認にはなりません。違法な増改築があるからです。検査済証が出ている物件であれば、後の違法性は増改築だけですので、設計図と現況の違いを照らし合わせることができれば違法建築かどうか確認できます。平成11年とは以前の一戸建ては、実は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行された年度で、これ以前の建物は、違法な増床を実施した物件は意外と多くあります。

ただ、この方法はマンションだと難しいかもしれません。違法に増床した分譲マンションは滅多に見かけませんが、かつて賃貸マンションだったものをオーナーが小分けにしたようなタイプは、その可能性があります。

登記簿の記述を確認する

マンションの違法な増床を確認するには「登記簿」の確認が良いかもしれません。「登記簿に存在しない階」などが現実の建物にあったりすると違法建築の可能性が高まります。これらは注意深く見ている確認をすることができます。

違法建築物の売買

違法建築の住宅ローン

違法建築であることが明白な場合、一般的な銀行の住宅ローンの利用は道が閉ざされます。そのため非常に物件価格としては安くなります。購入を希望する場合には現金によるか、ノンバンクなどの利用をすることになります。もっともノンバンクの利用においては金利は4%内外で自己資金も2~3割が必要となりますので注意が必要です。

「ボロ戸建て投資」は出口の見極めが重要

当然、再建築不可の土地とその敷地に建つ建物も同様です。

最近、いわゆる「再建築不可のボロ戸建て投資」というのをよく聞きます。この投資法は出口がある建物かどうかの価格の見極めが重要となります。この手の投資は「買った金額と同額で売れれば利回りの分トクをする」という投資です。つまり買った金額で売れなければなりません。通常の住宅ローンでは売れないのですから、出口の金額はかなり安くなることを想定しなければなりません。プロ的な投資メソッドなので、流行の対象になるのかどうか、慎重に考えたほうがいいと思っています。

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既存不適格の売買

既存不適格の物件の売買は前述の通り、元々が違法でなかったことから、不適格の程度がはなはだ甚大でない限り、金融機関等の取り扱いは緩やかです。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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