なぜ、あの人のマンションは売れなかったのか?

査定も業者の選定もしっかり調べた。けれど期待と違う結果に。その理由を解説します。
売却で業者を選ぶことは、あなたも心配で心配でしょうがないと思います。売却の委託は大金を預けるのと同じですから。

しっかり査定したはずなのに、じっくり業者を選んだはずなのに、販売が長期化することがあります。それはなぜか。答えは簡単です。物件がしっかり宣伝されていないからです。

当たり前ですが、宣伝が少なければ物件が認知されず、両手で売れるまで、ダラダラと時間を過ごしていきます。さらに、売主に付け入るスキがあれば、買取として買いたたかれる。これが皆様ご存知の囲い込みです。

だから、当社はあなたの家を違うやり方でセールスします。

お客様からお預かりした物件は、当社が広告をするだけでなく、あえて他社の広告もオープンにします。するとあなたの家の物件情報は拡散して、売れる確率はグンと高まります。

囲い込みってどんな風に展開すると思いますか?

囲い込みという概念が初耳な方は、この先を読まず、少しショッキングかもしれませんが、リンク先で確認してください。

「不動産の囲い込み」のリアルストーリー

当社が体験した話を紹介します。囲い込みをされたお客様の実話です。

物件価格は事実と少しずらしていますが実話です。登場人物は2人の仲介業者ですが、真の主役は「売主」と「買主」です。


年度が押し迫ったある日。8,880万円の中古マンションに対して、転勤のため住居を確保したく早々に購入したいと、遠方からの反響をもらいました。

お客様:実は、前の出張のときに現地も見ていて、いろんなサイトを比較して、ほぼこの8,880万円の部屋がええかなと思うてます。

当社:そうなんですね。お問い合わせありがとうございます。

お客様:ほんとのこと言いますと、最初は広告を出している元付業者に最初は問い合わせしたんです。けど、対応がどうもスローでアカンので。新人で要領を得ないんですかね?

当社:なるほど。怪しい部分も感じますが、まずは状況を調べてみます。

調べてみると、現時点での物件広告は元付業者からのみ。このタイプは囲い込みの可能性が高いので、話の流れに不安はありました。

ただ、その物件は売出開始から6か月。この時期なら、元付業者も囲い込みしないかもしれないと判断しました。客付けとしてさっそく担当者にアプローチします。

当社:「○○ハウス8,880万円ですが、ご紹介可能でしょうか?」

元付の担当者:「この物件は買い替えの売主さんのため、来週には内見可能になります。」

当社:「急ぎ購入を前提に内見したいとのことですが、東京の方ではないので、内見可能になる前に、まず事前審査を先にやりたいと考えています。資料を送っていただきたいのですが、よろしいでしょうか」

元付け業者の担当者:「承知しました」

・・・さて、土日を挟んで待つこと3日。資料は来ません。きっと忙しいに違いないと思い、申し訳ないと思いつつ、確認の電話をします。

当社:「資料はいかがでしょうか?」

元付の担当者:「忘れていました!送ります!」

と。しかし。火水を挟んでさらに3日待っても資料は来ません。これは囲い込み確定か。

この時点では結末を知る由もありませんので、忙しかっただけの可能性も考えました。いずれにせよ、この状態では物件を囲い込んでいるのと同じです。状況を報告して手を引きました。

囲い込み例1
その時の販売図面です

その後、思い出したのでレインズをチェック。物件は売れてなかったようで、2か月後、なんとその物件は8480万円に価格改定。やはり囲い込みだったのかな。お話の一番最初、「対応があかん」というのも符合します。

やっと申込が入ったもようです。

当社:「400万ダウンか。ちょっとまぁ売主さんは気の毒だけど、選んだ相手が悪かったか・・」

※このストーリーはもっと続きがありますが、気持ちが暗くなるというお客様からのコメントがありまして、割愛いたします。かいつまんで言うと、最終的には売主さんは、買取業者へ物件が卸されていきました。金額に当事者のみが知りますが、通常は相場の1~2割ダウンで売られていると想像します。


不動産売却には闇がある

なお、これは珍しいケースかというと、そうでもありません。元付業者は大手の仲介業者でした。

業者側もスグに売れると思ってない

多くの方は「大手に依頼すれば安心」「不動産売却査定サイトで相場よりも300万円高い高額査定が出た」「テレビに出てる会社なら大丈夫」とか考えているかもしれません。

しかし、実際にはそんなことで早く高く売れることはありません。不動産業者の側でも、あなたの物件がスグに高く売れるなどとは、1ミリも思ってはいません。

高額査定の罠

ではなぜ、売れないとわかっているのに物件を預かるのでしょう。不動産会社の本音は、他社ライバルからあなたを奪い、独占してから理由をつけてあとで料理をすればよいと考えているからです。そもそも、不動産業者も会社です。会社は利益を最大化するのが目的です。売主個人とは目線が違います。

元付業者が囲い込みをしないと明言する戦略ならば、売主の損失も少なくなったでしょう。

ただ、囲い込みをしないと明言する会社は極めて少ないのが実情です。当社ももう少し有名なら、影響を及ぼせたのですが、力不足を感じます。

囲い込みをする会社には近づかないほうがいい

囲い込みをする会社には、できれば近づきたくないところですが、売却で避けるべき業者のチェックリスト(メールアドレスだけの匿名、無料ダウンロード)を作成しました。よろしかったらご活用ください。

しかし、囲い込みをしない戦略といっても、そのような業者を見分けるには、どうすればいいでしょうか。

小さな会社が考えた属人的な業務に陥らない工夫が盛りだくさん