大手の施工業者なら安心か??

分譲業者と施工業者は違う

ゼネコンの仕事

日本語では「総合建設業」といいますが、ゼネラル・コンストラクターを略してゼネコンと呼びます。建物の工事は多岐にわたります。まず、建築、設備、その他に分かれ。建築は躯体、内装にわかれます。建築は昇降機、給排水などに分かれ・・・とドンドン枝分かれしていきます。それぞれの業者は専門性を持っています。これらの専門施工業者を統括するのがゼネコンの仕事です。

それでは具体的にはゼネコンは何をしているかというと、取り纏めの仕事をしています。総監督として、進行管理、予算管理、安全管理を行っています。実は、ひとくくりにゼネコンと言っても、工事実績に得意分野があり、建築と土木で得意が分かれています。

責任を負うのは分譲会社

日本の住宅分譲のシステムは、まず不動産会社というのがいて分譲を企画・実行します。その会社が発注する先として施工会社がいて、下請けとして位置づけられます。品質の確保を促進する法律では、新築や中古の10年保証の期間内には、アフターサービスの範囲内です。アフターサービスについて、直接、購入者(入居者)に責任を負うのは売主(分譲会社)になります。施工会社は分譲会社に対して責任を負ってはいますが、「適切な施工をすること」以上の責任はありません。たとえば、地盤に関する事項などは、分譲業者の範疇になる可能性が高いと思われます。また、管理会社は維持管理をしているだけですので、こちらも無関係です。

ゼネコンの「組」

ゼネコンでしばしば見る「組」という社名ですが、これは反社会勢力とは関係はありません。かつて、江戸時代からの話ですが、親方とその配下の職人が形成する施工者チーム「組」といっていましたが、個人事業の大工の親方を発祥とすることが多い日本のゼネコンではそのまま伝統として受け継いでいるものです。他に、港湾荷役業者にも、このような伝統があります。いま、かつての反社会勢力で「組」という呼称が多いのは、かつて、取り締まりから逃れるために請負業者の看板を掲げるようになったからというのがいきさつであるようです。そのため、まっとうな工事業者は反社会勢力とは無関係です。

大手の施工業者なら安心か

実際の中古住宅の販売現場では、施工業者を気にする人は少数派であるように感じます。完成してからしばらく経過していますので、実際に居住をしていて「稼働」の実績があります。また、時間が経過すれば、アフターサービスは無関係になってしまいます。

大手ゼネコンならば施工管理の体制はしっかりしていることがあり、可能性としては安心度の可能性は高まるかもしれません。ただ、その分コスト高でもあります。とはいえ、実際の仕事をするのは専門施工業者であり、施工の良しあしは専門業者の技術力・丁寧さに依存します。そして結局のところ、ゼネコンが発注する先は同じです。ゼネコンよりも優れた専門業者を確保できたかどうか、つまり発注時の予算の潤沢さが影響するかと思います。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコン:完成工事高上位5社。マンション建築に限らず手広く手掛ける。技術力が高い。スーパーゼネコンは特段マンションに頼らなくても多様な収入源があります。平たく言うと、「仕事を選ぶ」という傾向があり、小規模な物件などは採算で選別しているようです。大手分譲業者とタッグを組んで、都心や駅前一等地などのグレード感がある物件多いです。小規模な物件でその名前を見ることは少ないはずです。物件がもつ「風格」なども、安心感と感じてしまっているのかもしれませんね。ただし、進行管理は厳しく、一般的には良質な下請けを抱えています。

スーパーゼネコンとは以下の業者を指します。

  • 鹿島建設
  • 清水建設
  • 竹中工務店
  • 大林組
  • 大成建設
  • 準大手・中堅ゼネコン

    準大手とは優れた技術力があり、得意分野をもち、売上高も1000億円以上のクラスです。下記のなかでバブル崩壊後も金融支援を受けないゼネコンというのが何社かありますが、たしかに業務の気風は堅実な印象を受けました。ただ、準大手以上であれば管理体制もしっかりしており、一定の水準は期待できるはずです。

    このなかでマンション建築として異質なのは、長谷工コーポレーション。以前は長谷川工務店と称していましたが、マンションに特化した業者で、数百戸の大規模物件が中心です。日本のマンション用地の候補の7割は、長谷工が認識しているともいわれます。昭和のころのかつては、安普請などと言われていましたが、価格競争力を上げるため、直床工法などを多用しており、実際にそうかもしれません。ただ、構造面はシンプルで堅実でもあり、旧耐震の時期でも耐震適合にする確率が高いように思いますので、捨てたものでもありません。

    準大手とは以下の業者を指します。

    • 長谷工コーポレーション:
    • 戸田建設:バブル崩壊後でも金融支援を受けない好財務体質
    • 五洋建設
    • 前田建設工業:バブル崩壊後でも金融支援を受けない好財務体質
    • 安藤ハザマ
    • 三井住友建設
    • 西松建設:バブル崩壊後でも金融支援を受けない好財務体質
    • 東急建設
    • 熊谷組;高い技術力
    • 奥村組
    • 鴻池組(非上場企業)
    • 東亜建設工業
    • 鉄建
    • 淺沼組
    • 東洋建設
    • 飛島建設
    • 錢高組:江戸時代の創業。

築古マンションのメリットやリスク

築古物件とは

築古とは築浅の反対です。築浅とは建物ができてからまだ日が浅いことを意味しますので、築古とは建物ができてからまだ時間がたつことを意味すると考えられます。「築1年以内でかつ未入居物件」という明確な基準がありますが、築古にしろ築浅にしろ定義は特になく、何を以て築古とするかは難しいところです。各種調査を見ると、築浅は5年以内と考える方が多いようですが、不動産広告を見ていると、10年以内であれば、このワードを使っているものと感じます。

一方で、表題のように築古となるとリスクを感じる方も出始めます。実際のところ、リスクは丁寧に検討すれば恐れることもないのですが、リスク的な要素も勘案しなければならない部分もあります。そこで、本稿では各種税控除の境目となる年代で、二回目の大規模修繕が想定される、築25年~30年以上を想定します。

リスクは大別すると耐震と配管(給水・排水)ではないかと思います。

キッチンや照明など、設備の古さなどもリスクと認識することも可能ですが、形あるものはいつか壊れますので、自分で対処できることはすぐに対応できますので、リスクとして認識する必要はないと思います。

耐震について

新耐震ならびに新耐震同等

耐震適合
耐震適合マーク

築古物件で、まず気にしなければならないのは耐震です。ただ耐震については評価すべき項目と確認方法が明瞭ですので、リスクを気にする必要がないところまで調査が可能です。新耐震であれば、リスクは気にすることはないと言ってよいでしょう。昭和56年6月以降に着工した物件を新耐震といいます。

時期的に旧耐震でも耐震診断をしており、is値が全フロアで確認できれば、リスクは軽減できます。耐震改修促進法等では耐震指標の判定基準を0.6pt以上としており、倒壊、又は崩壊する危険性が低いと判断されています。この数値を全フロアで出していれば、新耐震相当と判断できます。ちなみに、この数値は、昭和43年の十勝沖地震及び昭和53の年宮城県沖地震で中破以上の被害を受けた建物群のis値分布の検討により導出されています。

耐震診断のない旧耐震

築古マンションの検討の際、悩ましいのは耐震診断をしていない物件です。以下の2つのタイプは

鉄筋コンクリート造壁式工法の物件

以下のような物件は鉄筋コンクリート造壁式工法(プレキャスト鉄筋コンクリート造)の可能性があり、実際には耐震性が高い可能性があります。

○5階以下
○ようかん型の箱型・四角い建物
○階段タイプ
○柱の出っ張りがない

非常に判りやすく言いますと、「団地」です。団地タイプの建物は鉄筋コンクリート造壁式工法(プレキャスト鉄筋コンクリート造)の可能性があります。部材が工場づくりでコンクリートで精度が高く、箱型というのが重要で、箱型エレベータシャフトがないため、地震の応力にバランスが良いそうです。壁面は工場づくりですので、一定間隔のパネル風になっています。一定間隔の目地があれば、可能性を検討できます。さらに言うと、鉄筋コンクリート造壁式工法(プレキャスト鉄筋コンクリート造)の場合には簡易な壁量計算とコンクリート強度の軽易な診断で対応でき、新耐震と同等として、耐震基準適合証明書により、ローン控除等の税控除を受けられる場合もあります。

3階建ての低層住宅(第一種低層住宅専用地域の低層住宅)でも壁式工法を採用するケースが多いようです。周辺の建物が2~3階建ての戸建てであれば可能性は高まりますので、確認をお勧めしたいです。

都立家政シティハウス外観
低層住宅は耐震バランスが良いことが多い

フラット35適合証明が取得可

フラット35とはローンの商品ですが、公的団体によるローンで、物件にも技術基準があります。技術基準に合致することを証明する書面がフラット35の適合証明です。この基準なかには耐震に関する評価もポイントとなります。フラット35=新耐震ではなく、その意味ではフラット35の利用可否が全幅の安心の目安にはなりませんが、少し期待をしてもいいでしょう。

技術基準というのはどのような点を評価してるかというと、独立柱(耐力壁がなく孤立している柱)がないこと、ピロティ構造ではないこと、形状のバランスが良いこと等が挙げられています。以前段落で箱形・四角の建物が望ましいと記述しましたが、フラット35の技術基準でも同様の評価をしています。ただし、L字・凹の物件の場合については、エキスパンションジョイントで接合して、地震力が分散可能な形状が望ましいです。フラット35ではそれは厳密には見ていないようです。

通常の旧耐震

フラット35の利用可否の明記は無くても、記述基準の適用可否は目視で推測できますので、お付き合いのある不動産業者、建築士等にご相談されるとよいでしょう。

配管の劣化

配管の劣化は具体的には漏水のリスクです。漏水は給水管のさび、排水管の目詰まりによって起こります。地震・耐震のような事項とは異なり目で見えない部分です。そのため不動産業者の重要事項の調査では浮き彫りにしにくい項目です。建物診断(インスペクション)を利用すれば情報を取得できるところでもありますが、5~10万円のコストとがかかりますので、見学物件全てを診断して回るのも難しいでところです。

ただ、日ごろの点検・清掃で配管の劣化は回避できる部分でもあります。つまり管理状況が配管面の肝心となります。管理状況が良ければ劣化の進行を止めることができます。また、終局的にはリスクをゼロにすることはできないので、保険で対処していただくことになります。

古い配管の部屋

管理状況のチェックポイント
管理の重要事項報告書の記載内容
修繕積立金の残高
管理規約の有無
修繕履歴・長期修繕計画の有無
共用部の清掃状況、劣化状況(チラシが散乱している・掲示が古いなどから始まり、使いづらいにも関わらず余りにも古い設備等々)
メンテナンスの状況(小さなクラック(ひび割れ)程度なら気になりませんが、重度の鉄部のさび、配筋の露出等は気にしたいところです)

その他のリスク

管理費のアップ・一時金の追徴

修繕積立金の残高、長期修繕計画の確認でリスクの回避も可能ですが、あまりにも安い場合、将来の値上げを気にしなければなりません。ただ、中古マンションの場合は実際に住んでる人もいて、住んでいる人たちの自主性(管理組合の自主性)によって決定していくものです。突然大幅な値上げを判断することもまれです。極めてまれに、意識的に新築時に値上げを決断する組合もありますが、多くは、10年くらいに1.5~2倍、20年くらいに同様に1.5倍くらいになるイメージはあります。自主性で判断されるものなので、けして一様ではありません。

建替のリスク

分譲マンションの場合は一棟の建物を所有者が全員で一部づつもっているという不動産です。管理会社が保有しているわけではありません。建替えとなった場合には持分に応じて建築費の負担をするのが原則です。

築が古い集合住宅では多様な利用形態、所有者年代が交わってきますので、建替えをしようにも利害が錯綜します。日本には1950年代から始まった分譲マンション文化は発展し、平成30年を前にして、600万戸以上となりました。しかし、実際に建替えが成功したマンションは、平成28年230棟弱です。たったこれだけということもできるレベルです。区分所有法の規定に基づき、全区分所有者の4/5以上の賛成が必要であるため、なかなかそこまでたどり着けないというのが実情です。強制的に建替え巻き込まれるリスクは気にすべきポイントではないと言えるでしょう。

なお、提案が始まれば管理会社が把握できますので、不動業者の重要事項調査によって把握できます。また、実際に建替えを決断しても、実際に建替えの着工に到達するには複雑な権利関係の調整と交渉が必要になります。作業は10年~20年という長いスパンのものなります。

建替え

建物躯体・リフォームの制限

天井高が低かったり、柱や梁が出っ張っていたり、古いマンションは設計の古さから起因する要素があります。好きな位置に水回りを変更したり、天井高を調整したりすることは難しくなります。これはリスクというより、気を付けなければならないことですが、リフォームの制限となりえます。

昭和40年代・50年代のマンションだとスラブ下配管というのが一般的です。これはコンクリート床の下の部分(下層階の天井裏の部分)に配管が通っている建物を指します。下層階の方の協力を得ないと交換できないので、メンテナンスが行き届かなくなりがちになり、漏水のリスクが高くなります。

メリット

築が古いことによるメリットもあります。リスクにより想定される事象をメリットが上回る場合、売れる物件ということになります。

価格的安さ

築が古い物件は築浅と比べると価格が安い傾向にあります。そしてリノベーションをすることで価値がいくらか回復していきます。

好立地

昭和30年代、40年代前半のむかしには渋谷の駅前にもマンションが建っていて、東京湾の汽笛の音が聞こえたそうです。そのような時代に立ってるマンションもあります。さすがにそんなに古いマンションばかりではないですが、いまは都内の立地は開発が進み、マンション業者の新規取得は困難になっています。これらも新築マンション価格が上昇する一因になっています。好立地にある築古物件は、先行者利益と言い換えることもできます。

物件・管理の状況が確認可能

「管理の重要事項調査報告」を取得すれば管理状況のデータはおおむね確認できます。お隣さんの状況は調査することはできずとも、様子くらいなら確認することはできます。これらは建っているからこそ確認できるメリットです。

中古の大規模マンションのメリット・デメリット

大規模マンションの定義

実は、大規模マンションの定義というのは、まだありません。俗に40戸未満を小規模、40~100戸を中規模、100戸以上を大規模ということが多いですが、法的・建築的なものではありません。「100戸くらいあれば、販売戦略上、大規模と言っても差し支えないだろうから大規模と言う」ぐらいの感覚です。

大規模のほうが資産価値が高いとか、まことしやかに言われますが、実感としては、大規模だから資産価値が高いということはなさそうに感じます。マンションの資産価値は第一に立地・環境、第二に建物・躯体(変わらない部分)、第三に管理によって方向性が決定づけられます。これは規模にか変わらず同じです。大規模であるがゆえ、建物のメリットが増して資産価値に影響を与えることはあります。しかし、大規模だったら何でもよいということではないので、注意が必要です。

しかし、新築では大規模マンションが売りやすい傾向にあるのも事実です。何故新築が売りやすいか。マンションの販売を経験してきた立場からすると、経験的にはマーケティング(販売促進)の優位性です。

アクロシティ

アクロシティ(荒川区)全7棟。隅田川沿いのランドマーク的存在です。

多額の広告費をかければ、「すごい物件感」が演出できます。かつて、タワーマンションの販売広告で歌手のマドンナさん、俳優のリチャードギアさんが登場したこともありました。世界クラスの超大物のエンターテナーを起用できるのも数百戸~千戸の相当の広告費(数億~数十億)があるから。

さらに、広告のプロを起用して、分厚いパンフレットにイメージビデオを視聴し、「すごい物件感」が演出されます。そういったなかでマスに販売され、セールス面のアオリが利く局面で、いつの間にかハンコを押してしまうような販売シナリオで進めていきます。冷静に見れば、すごい物件を買う自分に酔っているいる側面はあるのかもしれません。

30戸のマンションの販売戦略では、大物どころか無名のモデルさんも登場しません。また、1戸の中古マンションを売るのにリチャード・ギアは登場しません。つまり、中古になってくると物件の力が明確になってきます。しかし、落ちついてマンションの良しあしを分析することができるのは、中古の検討のメリットです。

大規模マンションの形態

都内の大規模マンション

都内の例で言うと、23区の場合、大規模マンションは明治通り(環7)の外郭部に多いように思います。明治通りの内側は江戸市中ですので、昔からすでに以前に土地が細分化されていました。環七の内側は戦前に宅地化しました。具体的に言うと、千代田区、港港、中央区、渋谷区、新宿区、文京区、台東区あたりと、豊島区、中野区、杉並区、品川区、目黒区の一部です。です。昔からの地名がある新宿・千代田、山の手の武家地だった文京、碁盤の目になっている台東区などです。土地が細分化されているところでは、おのずと大規模マンションの用地を取得することが難しくなり、供給が少なくなります。江戸の名残があるところでは、大規模マンションは少ないはずです。後述の大規模マンションのメリットが生きるため、相対的に希少感はあるように思います。

また、東京以外でも、歴史のある町については、同様のことがいえると思います。

麹町三番町マンション

麹町三番町マンションは千代田区にある1971年築の110戸のマンション。築年を感じさせません。

郊外の大規模マンション

都内では大規模マンションの立地は、明治通りより外郭部のエリアに多くなるように思います。バブル前は農地だったところが、バブル後は工場が撤退した敷地などが、大規模マンション用地供給の主力です。具体的には、江戸川区、葛飾区、足立区、板橋区、練馬区、世田谷区、太田区、杉並区、中野区の一部などです。ただし比較的高額な後者4区は、バブル前の建設が多いと思います。

タワーマンション

超高層マンションは大規模マンションの新たな形態です。タワーマンションゆえに、タワマンなどとも言います。高級感があり、みんなの憧れのようになった感があります。いまのタワマンの流れを形成づけた嚆矢として名高いのは中央区のセンチュリーパークタワーと川口市のエルザタワーです。とくにセンチュリーパークタワーは周辺の相場が250~300万/坪とされていた時代に、350万円となっていました。都心では希少な優れた眺望もあるため、プレミア感の演出にも成功しました。このように、周辺と比べても数割は価格が高いマンションでしたが、市場のなかでも特殊な位置づけがされていました。

通常の大規模マンションが横への広がりなのに対し、タワーマンションは縦方向に開発を展開した大規模マンションとして見ることができます。バブル崩壊後、都心回帰という傾向が強まり、都内への需要が強くなるという時代背景もありました。そのため、ある程度まとまった敷地があり、高さへの規制が緩和されていればタワーマンションにすることができます。都心で高級感をまとって建設されるタワーマンションは、時代の流れの必然とも言えます。

山形県の上山市にはスカイタワー41というマンションがありますが、同物件の位置づけは少し特殊かもしれません。

スカイライトタワー350211

大規模マンションのメリット

それでは、大規模マンションのメリットとデメリットについて考えていきましょう。

共用部が充実

まずはよく言われることですが、共用部の充実が挙げられます。集会室は基本として、ゲストルーム、キッズルーム、スタディルームはもちろん、物件によってはプール、映画室などを備えているものもあります。土日の物件案内に参りますと、キッズルーム、スタディルームなどの設備は実際に使われていることも多く、活用されている施設だと感じました。

複数の棟で形成される大規模マンションは公園などの形成が行われていて、すでに好ましい環境が形成されています。

また、「ブリリアマーレ有明」などの湾岸タワマンでは、バー、ジム、プール、スパ、セラピールーム、屋上テラスなどの共用部を最上階に持ってくる等の斬新な提案もされていて、おおむね支持されてています。

ブリリア有明スカイタワー292211

ブリリア有明スカイタワー

ただし、後述の通り、共用部の充実はデメリットにも転化する可能性を秘めています。

管理費が安い

これもよく言われることですが、管理費・修繕積立金が割安である傾向があります。母集団が多いので、安くなる傾向があります。管理人さんの人件費、電気代、メンテナンス費用はどうしてもかかる経費です。これらの経費は総戸数が多くなるほど、負担割合も下がります。

規模が大きいということはスケールメリットもあります。修繕積立金もどんどん溜まっていき、財政の自由度が高いマンションも多いようです。このあたりは管理体制の良好さに反映されていきます。

コミュニティが形成

ある程度は分散するものの、おおむね子育て世代が入居するものですので、似たような境遇となります。幼稚園から始まり、高校・大学まで同じような所得水準で、同じような境遇の方々が多くなりますので、生活上の課題を共有することも容易です。ご近所づきあいが苦手ではない方には、好都合といえます。

また、世帯数が多いと見識のある方が何人かは出てくるもので、住民意識が高くなる場合もあります。見識のある方々のなかには不動産に関する、知識がある人、会計に見識がある人、建築に見識がある人、法律に見識がある人も含まれます。このような見識を備えていれば、管理会社を上手に使いこなすこともできるようになります。とくに、強いリーダーシップのある名人が管理組合の理事長になると、管理会社的には苦しいですが、マンションの資産価値は高まるでしょう。

(経験上)耐震性能がよいことが多い

重要事項説明のための物件調査をしていると、旧耐震の年代の大規模マンションでも、耐震診断の評価が良いために新耐震同等と評価ができる物件があることを経験的に多く見つけることができます。これといって主な耐震改修をしていないにもかかわらずです。ここでの評価とは、多額の費用をかけて科学的な耐震診断をしていますので、データ的には信頼ができます。

雁行タイプや独立柱があるマンションでは耐震性は期待できませんが、そのような凝ったもの以外では、生産性が高く建設をしやすマンションにするために、形状をシンプルな四角いようかん型にすることが奏功して、建物の強度や靭性が高まったのではないかとみています。つまり、コスパを高めるのが狙いだったのが、シンプルに決まって耐震面でも奏功しているのではないかとみています。ただ、経験的なものですので、実態は不明です。

このような条件に合致する大規模マンションでも、地盤の悪いところなどでは、東日本大震災では袖壁がせん断破壊していたマンションも見受けられます。一概には言えませんので、あくまで経験的な傾向です。

南篠崎スカイハイツA棟外観

写真は南篠崎スカイハイツ(耐震基準適合証明取得可)です。四角タイプで耐震性状は良好です。

大規模マンションのデメリット

大規模マンションの場合、メリットはデメリットに転化する可能性を秘めています。

リーダーシップがないとまとまらい

「船頭多くして船山に登る」といいますが、多くの人々がいるということは、話がまとまらないことが多くなります。

話がまとまらないのだけならまだよく、無関心が恒常的になると、マンションとしては少し厳しかもしれません。財政規模が大きいだけに、外部の管理会社が甘い汁を吸う可能性が高くなります。前段で申し上げた通り、人が多いと見識の高い人が出ることも多いため、このようなマンションは意外と少ないですが、ないわけではありません。

メンテナンスコストが増大する

居住者にとって利用価値のある共用施設は、基本的な施設です。集会室や駐輪場といったものが該当します。郊外では駐車場も含まれるかもしれません。ゲストハウスも便利です。

華美や目新しさで訴求する共用部のなかには、そのうち飽きてしまうものもあります。リゾートマンションの温泉などを見ているとよくわかります。また、日本のマンションは似たような世代属性が多く入居する傾向がありますので、年齢が増すにしたがい利用頻度が下がります。高齢者だけのマンションでキッズルームは不要となるでしょう。また、カーシェアが日常的な都心部では車の所有率が下がる傾向にありますので、機械式駐車場は廃棄のためにも負担になる可能性を秘めています。

同じような時期に売出しが重なる

規模にかかわらず、マンションの場合、5年目で一巡目のライフスタイルの変化の節目、15年目くらいで二巡目の変化の節目が来ます。このときに売りブームが来るようです。一巡目は子供さんが出来て大きな住まいが必要になったような場合です。二巡目には転退職、創業・引退、実家の介護などでの転機のタイミングです。マンションの価格が下がる場合、このようなタイミングに顕在化します。近頃は、2020年のタワマンの暴落をささやかれていますが、タワマン暴落論は極端にしても、似たようなライフスタイルであれば、似たような時期に売出しが出ますので、注意が必要です。

ただ、高額タイプの大規模マンションに顕著ですが、仮に売出しが多くなっても、売り急ぐ必要がない人も多くなります。そのため、マーケットを観察する限り、いきなり暴落することもないようです。むしろ規模も大きいため、仲介業者は売り物件をよく知悉していることも多く、紹介機会は多くなり、注目を浴びることになります。一方で、少しでも条件が悪くなると、長期間にわたり買い手がつかないという現象に直面することもありえるため、厳しい側面もあります。

ちなみに、売りものが出る時期を過ぎると、売出し件数は収束して、安定するように感じます。注目を浴びるメリットは享受できます。

かえって不便なことも

外出・帰宅は「長い共用廊下」を歩くことになるため、表面上の駅徒歩分数と比べても、ドア TO ドアの長さは実感では長くなります。シャフト数が少なめの設計ですと、エレベータ待ちなどはよく聞く話です。実際にイライラすることになります。

建物の死角

前の段落で「長い共用廊下」と記述しましたが、コーナーなどが多くなりますと、死角が多くなります。人の目が届かない共用部も多くなります。強盗、暴行、盗難の死角になることもあり得ます。また、他者のお部屋まで含めると何かしらの心理的瑕疵を認知する可能性もありますので、一分の瑕疵も許容できないという方には向かないかもしれません。中古では、共用部の様子も含めて検討できますので、中古の大規模マンションを現物で検討できるメリットです。