宅地建物取引士賠償責任保険とは?

宅地建物取引士賠償責任保険

宅地建物取引業法は消費者保護の意識が強くなっているので、不動産業者に責任がないことを不動産業者が証明できない限り、損害は不動産業者が弁済する可能性が高くなります。このようなケースに備え、宅地建物取引士賠償補償制度保険があります。

もちろん、弊社(株)ロータス不動産でもこの保険に加入しております。

専門職業人賠償責任保険としての宅建士保険

宅地建物取引士賠償責任保険の保険は、宅地建物取引士(以下、「宅建士」という。)が、宅地建物取引業務に基づき遂行する業務に起因して損害賠償が生じた場合、被害者に対して支払わなければならない賠償金が支払われる保険です。宅地建物取引士賠償責任保険は各宅地建物取引業者(不動産業者)が加入する業界団体(全日本不動産協会、全国宅地建物取引業協会など)を通して、事業者を加入者とし、宅地建物取引士を被保険者として加入する保険です。事業者の使用者責任に対応します。

宅建士の仕事は、法律、建築・土木、金融等で広範であることが特徴です。専門分野においては専門家には深さではかないませんが、かなりの広がりがあり、宅建士は不動産取引の水先案内人としての仕事が期待されています。多くの事項の知識が必要です。専門性がある仕事は一定の責任が生じますから、宅建士保険は専門職業人賠償責任保険の一つとして利用されています。似たような制度には、お医者様が加入する「医師賠償責任保険」や弁護士の先生などが加入する「弁護士賠償責任保険」などがあります。

高額な取引である不動産取引

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証書の例。
加盟する業界団体を経由して団体加入します。

もちろん、宅地建物取引士が的確な業務をしていれば、通常は事故は起こりません。ただ、不動産業務は一般的に金額が大きくなりますので、いったん賠償事故が生じれば、ときに数百万円を超える可能性が生じます。

言うまでもなく、弊社は不動産仲介に関する業務の精度には万全を期しており、これまでの実績では当社は賠償すべき事故に直面したことはありません。

「専門ライセンスだけを頼りに生きる美人外科女医のドラマ」ように、「私、絶対失敗しませんから!」と言いきれればいいのですが、人間が行うことである以上ゼロリスクにはできません。率直に言えば、これが命のある人間の現実です。そのため、消費者の皆さまからみれば、しっかり仕事の上に、さらに補償の体制を整えておいてくれれば、安心ではあります。このように、弊社ではお客様・当社ともに直面する可能性があるリスク負担の軽減のため、「宅地建物取引士賠償責任保険」に加入しております

なお、この保険は現状では任意加入の保険ですので、あらゆる不動産会社が加入しているわけではありません。不動産屋さんを選ぶ際には、このようなバックアップ体制がとっているかを通しても、経営者の目線が見えてくるかもしれませんね。

宅地建物取引士賠償責任保険の補償内容

この賠償責任保険では、宅地建物取引業法第35条及び第37条に規定する業務について、補償されます。

宅建業法第35条

契約成立までに宅地建物取引士が行う重要事項の説明および書面の交付。登記上の権利の種類・所有者名、法令上の制限、私道負担、水道・電気・ガス・排水施設整備状況etcの説明。宅地建物取引業法第35条に基づき行う業務となります

宅建業法第37条

宅地建物取引業者交付した契約に関する書面について。契約当事者の氏名、所在地、建物の種類・構造、代金支払方法、引渡時期、移転登記申請時期などの記述です。宅地建物取引業法第37条に基づき行う業務となります。

補償額

  • 1請求あたりの支払限度額は1億円
  • 保険期間中の支払限度額1億円
  • 免責金額3万円

不動産取引は非常に高額ですから、理論的には負担が大きな場合もありえます。第一にお客様のためではありますが、当社のためにも宅地建物取引士賠償補償制度保険に加入させていただいております。

適用例

たとえば、このような例に適用されます。

重要事項説明書への誤記が原因の例

土地の売買に係る重要事項説明において、宅地建物取引士が必要な調査をしたにも関わらず用途地域を誤った売買契約を締結し、その後買主の予定していたアパートが建設できないことが発覚。売買契約は無効として代金の返還とアパート建設の為に支出した費用につき損害賠償請求を受け、裁判で2,500万円の支払い命令が出た。

※弊社では、「あいおいニッセイ同和損害保険株式会社」による「宅地建物取引主任者賠償補償制度保険」に加入しています。

中古住宅の瑕疵保証保険

中古住宅と瑕疵保険を取り巻く現状

いま、政府の政策は新築から中古の売買に軸足を移していて、中古物件の流通を促進しようとしています。その一環として、契約不適合責任保険の制度を固めています。契約不適合責任保険の主な目的は、保証をつけることで安心を促して、中古物件の販売を促して、日本の不動産の資産価値を下落させないようにするという意図があります。

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瑕疵保証保険の仕組み

政策的な税制メリット

中古物件の流通促進に力を注いでいますので、瑕疵保証保険の付保証明をつけることで各種の税制優遇が付随的なメリットを設定しています。優遇は以下のようなものがあります。

なお、耐震基準に適合する建物であれば、保険をつけなくても、耐震基準適合証明により税制優遇の適用を受けることができます。税制的な優遇に着目するのであれば、他の方法でも同等の効果は得ることは可能です。

住まい給付金

瑕疵保証保険の付保証明の金銭的なメリットには、もう一つ、住まい給付金があります。すまい給付金は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担をかなりの程度緩和するために創設した制度です。消費税率10%時は収入額の目安が775万円以下の方を対象に最大50万円を給付するものです。

瑕疵保証保険の現状

新築住宅ですと、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)という法律をもとづき、10年保証の義務化と一体となり、瑕疵保証保険の制度が運用されています。このシステムも、出来てからもう10年近くに及びます。例の耐震偽装事件がきっかけととなり、出来た制度です。しかし、中古住宅の瑕疵保証保険ができたのがこの数年です。最近やっと立ち上がった制度で、義務化されていない側面もあり、中古住宅の瑕疵保証保険は、まだ浸透していないのが実情です。

インスペクション

瑕疵保険と密接な関係にあるものとして、インスペクションがあります。中古住宅が瑕疵保証保険を受けるにあたっては、必ず物件のインスペクションを行います。インスペクションとは物件の検査のことです。保険を受けるために保証責任がある企業が物件に適合性があるかどうかを確認するために行われます。

インスペクションだけのサービスも請け負う、検査専門の事業者もあります。インスペクションというサービスは10年くらい前から既に存在していましたが、海外の事例を知っている人が意識的に取り組んでいるレベルだけで、こちらもまだまだ浸透していないのが実情です。アメリカなどの海外はインスペクションサービスは一般的で必ず行うものとされていますので、差があるのが現状です。この点は今後の日本の課題です。

インスペクションも瑕疵保険も、義務ではなく任意で行うものとされています。インスペクションも瑕疵保険も、我々不動産業者の義務は制度が存在する情報の提供と、実施履歴の有無についてお客様に説明すればよいというだけです。

瑕疵保証保険に加入したい場合

それでは、瑕疵保証保険に加入したい場合はどうしたらいいか、見ていきましょう。

事業者が販売する物件で保険に加入したもの

事業者が販売する物件では、売主が加入すべきものとされています。事業者が販売する物件とは、具体的に言うと新築戸建てやリノベーションマンションです。この分野に意識が高い事業者は、契約不適合責任保険に自ら進んで加入していて、その前提としてインスペクションも行っています。安心に対する一定の措置がなされているとみていいでしょう。

新築一戸建ては品確法により保険に入ることがほとんどなので、特に心配はないでしょう。

事業者物件のうち保険に加入していない場合

事業者物件は保険に売主が自ら加入すべきものとされていますので、事業者物件のうち保険に加入していないものは、交渉が必要です。物件への保険の前に事業者が会社として保険手続きをしないといけません。事業者の対応により保険の可否が分かれます。

付保のための準備ができている事業者は、買主の費用負担で経費を支払え対応してくれると思います。会社として準備をしていない事業者との交渉は骨を折ることになると思います。なかには面倒くさがって交渉を拒否するところも出ると思います。

個人間売買

居住中の中古マンションなど、個人間の売買の場合は別の制度が用意されています。個人間売買では、インスペクション検査会社が被保険者となり、保険会社がこの検査会社のインスペクションの精度を保証するという建付けで、保証制度が用意されています。ただ制度としても浸透していませんし、売主に義務がありませんので、自ら進んで費用を負担して保険金を支払う売主はいないのが実情です。

個人売買の物件で瑕疵保険を付ける流れ

まずインスペクションをしなければなりませんが、その実施のタイミングは、大まかな商談が成立したあと、売買契約前に行います。実務上は大まかな商談が成立すると、契約の前に、ローンの審査や具体的な商談を詰める作業を行いますので、その期間を利用することになると思われます。

売買契約が成立したあと、決済までに、保険に加入します。

インスペクションの結果、問題がある場合の修復費用の負担は交渉になると思われます。

費用負担について

売主にインスペクションや保険の費用負担を求めるのは難しそうです。この点はアメリカでは「買主の息のかかった人を雇う」という考え方で、買主が負担するものとされています。保険に入れなくても、買主が負担することになると思います。

売主に費用負担を求めるのは売主が敬遠することになります。インスペクションをすれば物件の差別化につながるなどの慣例もありません。したがって、売主はインスペクション自体を受け入れないという判断をすることになります。

契約段階でルールをがっちり取り決めて、契約成立後にインスペクションをするという交渉も自由ですが、自ら物件の価格下落につながる作業を意欲的に取り組む売主はいません。

懸念点

アメリカでは修復費用を見積もって値下げ交渉という処理になるのですが、日本ではインスペクションに関係した慣行や制度が確立されていません。一般的な処理対応も確立されていません。値下げをするくらいなら売却中止という売主が出たり、欠陥があるなら買わない買主が出ると思われます。

大手仲介会社等の独自の保証

大手仲介業者では両手仲介手数料を取るための独自のサービスの一環として、独自に建物の検査や保証の制度を設定している業者もいます。ただ、当社が中小の業者だからdisるわけではありませんが、多くは保証期間が1年で、保証の上限となる金額が250万円程度のようで、内容がチープなものになってしまっているようです。また、対象とする中古住宅の種別や範囲などは会社によっても異なります。なにより政府の監督のない独自の保証制度ですので、税制の優遇がありません。また、中立性も疑問になりそうです。仲介会社の息がかかったインスペクションと保証になるからです。