AI査定は信頼できるか

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AI査定というと、AIディープラーニングによる自己学習のようなイメージがありますが、不動産のAI査定とは違います。取引事例の収集がコンピュータの主な役割です。

標本とする事例が個別性があるにもかかわらず、標本数が少ないため、正確に判断することができません。

よって、AI査定では、まだ売却、購入などで、重要な判断を下すための材料になりえません。

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

不動産査定とAI査定の違い

実は、人間がやる査定もAI査定も、実は、基本的な手法自体は変わりません。コンピュータがマンションや戸建てなどの不動産価格を、自動算出してくれるシステムをAI査定と称しています。

不動産査定はどうやる?

不動産査定の手法はいくつかありますが、マイホーム用の不動産の査定では、取引事例比較法という手法を用います。「相場」というやつです。類似物件の売買履歴を主に参考データとして活用し、一部条件を訂正しながら、査定価格を算出しています。

過去の取引データに対して、立地や階数、方角などを考慮しながら適正価格を推定します。たとえば、南向きであれば5点とか、東向きでは2.5点などの形でデータに対して補正を加えて、事例のバランスを取りながら、目的の物件の査定を導き出します。

AI査定はどうやる?

AI査定においても基本的な流れは同じです。類似例から情報を引き出し、査定価格を求めます。

ただし、AI査定においては、コンピュータに独特の役割が2つあります。一つはインターネット上にある類似物件の販売情報や過去の取引事例(売却データ)を収集する作業です。もう一つは、所定の計算方法に基づいて、AIが当該不動産の推定成約価格を導き出すことです。

AI査定の強み

このような業務を定時・長期・大量に行い、延々と続けてくれるということが、コンピュータの強みです。

データを自動収集

コンピュータのすごさは膨大な情報を自動で集めてくれるところです。AI査定における情報収集は、不動産ポータルサイトなど、インターネットで公開されている販売情報などをクロール(コンピュータによる巡回)して、もれなく集めてくれるところです。

ネット上の情報には重複して掲載されている物件情報もありますが、少し不動産取引に慣れてしまえば、着目点などすぐにわかりますので、同じ情報だと判断できます。このようなデータの正規化もコンピュータが自動で行います。ただ、クロールして情報を集めるという行為はデータの剽窃ではないかと問題視する向きも見られます。

AI査定というと、査定価格をディープラーニングによりAIが算出した計算式で算出しているように想像しがちですが、不動産業界が”AI”と言っている部分はこの情報収集の部分です。

本当は、AIというより、ロボティック・プロセス・オートメーションと言った方がいいかもしれませんね。

データ処理の即時性

また、集めた情報を瞬時に処理できるところもすごいところです。机上査定といえども、人間のやる査定では、情報収集をするだけでなく、後述のように取引の背景を考えながらやりますので、1~2時間くらいはかかってしまうかもしれません。コンピュータなら数秒で処理します。

ただし、データ処理のアルゴリズムのほうがミソです。どれほど瞬時にできても、計算式が誤っていれば、正しい計算を導き出すことができません。ここにこそ、AI査定の信頼できるかという答えがあります。

AI査定の不十分なところ

Ai査定の不十分なところは、参考にするべきデータが不当なものだったりすると、査定価格も不当なものになってしまいます。しかも、これがかなりの高頻度で発生します。

物件が変われば相場も変わる

例えば、あるマンションの査定をしたいと思っても、必ずしも同じマンションで事例が見つかるとは限りません。そこで近くのマンションを調べるのですが、新築マンションと違い、中古マンションは時間に経過により成長もすれば劣化もします。同じ地域のマンションでも、管理状況で相場が変わると考えるのは、不動産の世界では常識です。

さらに、近くでも事例が少なく、標本とすべき事例が遠くに求めるようになります。遠くに標本を求める場合、地域による補正係数をかけることで計算をするのですが、その補正係数自体が信頼できるかわかりません。そもそも、AIでは補正をしているのかどうかも和怒りませんので、査定価格ではさらに信ぴょう性が低下します。

人間であれば顧客の顔を想像しながら、「体感」によって微修正をしながら判断していきますが、AIに「体感」はありません。

情報収集が不正確

不動産の取引の実務では、参考とすべき取引事例がそう多く出てくるものでもありません。日本人が家を買うのは1回か2回、多くても3~4回くらいです。比較対象とすべき査定事例がそんなに多くないわけですから、求めようとする査定価格は個別の取引によりブレが生じます。

たとえば、このデータが売り急ぎ価格だったりすれば、売却価格はおのずと下がります。あるいは事故物件であれば、相場よりも安くなることもあります。逆に、売り急いでいなければ、高い物件価格のデータになることもあります。リノベーションにより物件に付加価値が付いていれば、売り出し価格は自ずと金額は高くなります。

AI査定が収集している事例には、このような個別の売却事情が反映されていません。人間の目が入らないため、誤っているかどうかも判断できません。

個別の事情が反映できなくても、標本数が多ければ「大数の法則」が生きてくるのですが、1事例か2事例では、大数の法則により安心できるような事例数とは言えません。ディープラーニングするには教師データが少なすぎるというわけです。

影響要素が多すぎる

不動産の価格に影響を及ぼすのは、外部要素も多くあります。経済政策、金利、急激な経済変動なども影響します。新型コロナウイルスの蔓延によりほんの一瞬不動産の動きが止まりましたが、その後大きく上がったのは記憶に新しいと思います.

これは不動産だけの特徴ではないかもしれませんが、不動産そのものに備わる変数だけでなく、外部の変数が常に加わったり、なくなったりするのも、不動産価格の見極めに大きく影響します。

AIによる査定が活用されているのはアメリカのほうが事例としては多いですが、Zillow(アメリカのSUUMOのような存在)が買取事業を一時撤退というニュースが流れたました。まだ不安定な手法だといえるでしょう。人生に影響を与えるような場面で使うツールとして頼りにするのは、まだ時期尚早ではないかと思います。

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