コロナで不動産相場は大暴落するか

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リーマンショックのとき、株価は半減しましたが、不動産の下落は10~15%くらいでした。コロナでは株価は25%ダウンです。

経済危機があっても、不動産では突然暴落することはなく、価格改定による1~2%の価格調整と取引件数が減少により、市場は調整します。

価格改定により調整も完了しており、物件は買主が複数現れるという現象があることがわかってきました。

不動産で重要なファクターは景気やイベントよりも金融政策です。概ね売れ行きはもどり、居住用物件の自粛は終わった印象を受けます。

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週刊誌やネットの記事など、巷間では、不動産の相場は今後は半値だとか7割減だとか言われます。ほんとうでしょうか。よく「都心の不動産価格は日経平均と連動する」と言われています。リーマンショック(2008年)のとき、株価はショック発生以降、最安値では半値(7000円台)になりました。今後の不動産相場では、経済に大きな影響が発生したとき、実際には、どのような動きになるのでしょうか。

売却の相談にしろ購入の相談にしろ、油断はいけまえせんが浮足立つことはないですし、暴利もむさぼれないのではないかと感じます。

答え合わせ

不動産は売出数と日々の価格改定で調整?

「一部当たり」です。

2020年の取引状況は、中古マンションは成約件数が減少が見られました。しかし中古戸建、新築戸建ては前年を上回っています。価格はマンションは上昇、新築戸建て、中古戸建は横ばいです。

2020年の夏前は、非常な「コロナショック」ともいえる状況で、成約件数も減少していました。しかし2020年ころから市況は盛り返しています。

オリンピックがあっても同じ? コロナショックによる調整幅がある

オリンピックによる影響は感じられませんので、あたりと言えます。

コロナショックによる調整は大ハズレでした。コロナショックにより中期的には15%くらい(当初予想。のちほど8%程度と修正)の調整があると考えていましたが、大ハズレででした。

金融緩和が進むと上がるのか?

当たりです。

半信半疑ではありましたが、コロナショックのあとに、金融緩和による不動産の上昇もありうると考えてはいました。しかし、コロナの戦いの最中にそれが来たのが意外でした。ある意味、政府の経済対策なども奏功していると言えるのかもしれません。

ただ、経済対策のみならず、新型コロナがライフスタイルの変化に与えた影響も見逃すことができません。「巣ごもり需要」「リモートワーク」などと言われるものです。世帯状況の変化などほかのきっかけと重なって、多くの方が、広い部屋やグレードアップした部屋に移住している傾向を感じました。

リーマンショック以降の動き

23区の不動産は5つのベクトルに分解することができます。つまり都心城東・城南・城西城北の5つのエリアです。これらの地域はリーマンショック以降どのような動きを示してきたのでしょうか。気になりましたので、グラフを作成しました。下記のグラフです。

相場変動
(レインズ:「マーケットデータ」より抜粋して作成。http://www.reins.or.jp/library/)

このグラフは、1)左軸で、2009年1月を100としたときの都内各エリアの変動比率を表現 2)右軸で日経平均株価を表現しています。

「リーマン」のとき都内不動産の下げ幅は10~15%

これによると、実は、リーマンショックのときでも、東京の不動産価格は、概ね1割の下落でした。城西・城南・城北は同様の変動率を示しています。もっとも、地域によって変わりますが、その後の東日本大震災を経て、不動産価格はさらに5%~1割ほど下がりました。「リーマンショック」というバブル崩壊の事象を境目として、15%~20%ほど下がったと考えることができます。

10~15%の不動産価格の下落と言えば、3000万円のエリアで300~450万円の変動幅ということで、6000万円のエリアならば、600~900万円の変動幅となります。おおむね不動産実務の感覚に近いのではないでしょうか。

その後、不動産の価格は最も安いときから比較すると4割上がりました。4割上がるということは、3000万円のエリアなら4200万円になるということです。東日本大震災の後から比べると、不動産実務の感覚に近いかもしれません。ただ、東日本大震災の時の不動産価格が正常な不動産価格かといえば、そうは考えづらいと思います。アベノミクスが始まった初期ぐらい、2014~2015年の空気感と比較すれば、東京の不動産価格は1割ぐらい上がったと言えるかもしれません。

城東エリアは値上がり・都心エリアは振れ幅大

ちなみに、この期間でも城東エリアではむしろ値上がりをしています。これは変化が著しい湾岸エリア(江東区)がありますし、スカイツリー効果もあると思います。ただ、よく言われている、もっとも大きい要因は、少子化と所得減少に伴うライフスタイルの変化かもしれません。

城東エリアは利便性に比べて、城西・城南エリアと比べると価格が安い傾向にありますので、安・近・短が見直されたためだと言われています。

またこの期間は都心エリアの値下がり率が最も著しくなりました。これは、高額である分、価格が振れる幅が大きいためだと思います。人気があるがゆえに上がる幅も大きいが、下がる幅も大きかったということです。

都心のケースで言えば、最も安い時期から比較すると50%増という展開になっています。

なだらかな一戸建ての動き

以上のお話はマンションの話です。それでは一戸建てはどうでしょうか。一戸建ての相場の動きは、リーンショックでは1割ほど下がりましたが、その後の動きはなだらかです。おおむね安定した相場になっています。上がれば反動の下げも厳しいですが、安定していれば、下げの影響はあるにせよ、大きく影響を受けることも少ないと見られます。

このことを示唆する有名なデータですが、国土交通省が集計している「不動産価格指数」というものがあります。「首都圏」と言える南関東のデータを見てみると、マンションがドンドン上がっていき、一戸建ての価格変動は緩やかだったということが見て取れます。むろん、新築・中古の別、人気エリア・普通エリアの別はあると思いますが、おおむねなだらかな状況だったとは言えるでしょう。

住宅価格指数

不動産は相場の動きが緩やか

株も不動産も身近な市況商品(相場でかわるもの)ですが、値動きは少し違います。一つ大きな経済イベントがあれば、ドンと市場の変化が起こるのが株式です。株価はリーマンショック起こると大きく値下がりをして、アベノミクスが始まれば大きく値上がりしました。コロナによっても、市場は大きく変化しました。

nocorona

不動産は売出数と日々の価格改定で調整

不動産は価格で調整するのではなく、むしろ、現場すぐに反応があるのは、まずは取引量による調整です。価格が上がれば、取引件数が少なくなることで調整をします。具体的に言うと、取引量がさがるということであり、売り出し物件が減るということです。価格が下がれば取引量は増えます。

むろん、コロナの影響で人々の気持ち沈むと、需要が減るわけですが、いきなり価格が下がるわけではありません。不動産市場では、売り出し物件が減るという動きが生じます。また、個々の取引では、将来の下落を予想して、人気物件を除き、100万~200万円の幅で日々の価格改定により価格調整が行われるようになります。価格調整後の価格設定は次の新規発売に影響を与えて、新規売出価格が下がります。

なお、日々の価格改定により価格調整がすすんでいることから、価格交渉が決まることは意外と少なくなります。むしろ価格改定がなされており、調整は終わった印象をうけます。いまは買主が群がるようになるので注意です。

ご所有物件の売却を検討されている方は、表立って価格が下がるかどうか、見極めが大切です。

良質で価格的にも適正な物件は、このような事情でも比較的人気の高くなります。買主による購入競争さえ、行われることもあります。質が劣る方の物件は価格で勝負をする作戦をとりますので、相場を下げる主導役となります。値段が出てくれば値ごろ感は出て契約が決まっていきます。しかし、数年単位で見ると、質が劣る物件の値下げに誘導されて、良質な物件の売り出し価格が下がります。デフレスパイラルです。しかし、一気にデフレになることはなく、このような動きを半年・年単位で進めるようになります。

オリンピックがあっても同じ

2020年に予定されていた東京オリンピックが延期となりました。筆者自身も楽しみにしていたので残念なことではありますが、世界がこうなってしまったのですからやむをえません。

仮にオリンピックがあればどうなっていたでしょうか。コロナ前、週刊誌やネットの記事などを通して、世間では大幅な暴落があるなどと煽っていましたが、コロナの前の不動産の実務者の感覚では、「あまり関係ない」というところだったと思います。建築費が下がらず、土地価格が下がらなければ、不動産価格が下がる道理はありません。もっとも、上がることもなかったと思います。

コロナショックによる調整幅はどれくらい?

しかし、株価と不動産は同列には比較はできません。一方、不動産価格は何かのイベントで大きく値上がり・値下がりするということはありません。不動産は価格に反映されるの時間がかかり、経済変動の変化にゆっくり追いついてきます。大きな経済変動が起これば、不動産は株とは異なり毎日頻繁に価格が公開されているわけではありませんので、激しい値動きはありません。

コロナショック後、株価は17000円台まで落ちましたが、その後、経済政策の発表と緊急事態宣言により株価は戻して、2020年4月上旬の時点では、株価はおおむね19000円台です。つまり、ショック前は24000円台でしたから、株価は2割下がりました。批判はいろいろあるにせよ、平成バブル、リーマンショックと同じことは繰り返したくないと思いますので、従来よりはスピーディで思い切ったと同じ日本人として感じました。

それはともかく、これを暴落とみるのであれば、不動産はも影響はありそうです。日経平均と連動するのだとすれば、コロナショック発生から半年から1年の時間をかけて、8%くらいは下がるかもしれません。8%くらいの調整であれば、3000万円の物件が2760万円になり、6000万円の物件が、5520万円になるということです。

ただ、落ち着いてみれば、このレベルならば、日ごろの不動産が値下げしてや価格交渉で価格調整しているのと同じようなレベルが、顕在化してくるだけかもしれません。当社では「マンションカタログ」というページには物件ごとに価格履歴を掲載していますが、ご確認いただけると思います。

そして、後述のように、今後は空前絶後ともいえる金融緩和がありますので、いづれ2018年・2019年のレベルに復元して、行ったり来たりするのではないかと思います。

住宅はいわば息の長い投資です。「住宅を買う理由」という記事でも記しましたが、住宅は感情がこもった資産でもあります。投資であるだけでなく、一家のヒストリーが刻まれる資産です。現下の情勢でも、長期で考えれば、価格は復元することも考えられるので、気に入った物件、必要な物件については、現時点での適正価格であると見極めができれば、十分検討すればいいんじゃないかと思います。

新築は広くなる

新築の下落が進むとすれば、床面積単価の下落が進む方で進みます。販売総グロス価格が下がるのですが、都心など集客ができるエリアでは、面積が広くなる方向で修正が進むかもしれません。

金融政策で変わる不動産

融資(ローン)が出るから物件が上がる

不動産相場は経済の大きな流れに沿って変わっていきます。ジワジワと影響を及ぼしていきます。最も大きな経済の流れとは金融政策です。不動産の価格は金融政策で価格が少しづつ変わっていく。バブルの崩壊も経済イベントとしては大きい変動ではありますが、そのときに生じる需要の増減で変わるわけではありません。

これを、もっとわかりやすく言えば、「銀行がお金を貸してくれるか相場が上がる」「お金を貸さないから相場が下がる」ということです。

下のグラフは日本銀行が発表するマネタリーベースの推移です。要するにどれだけお金が銀行に出回っているかの数値ですが、うなぎのぼりです。つまり、金融緩和がドンドン進んでいます。日経平均も不動産価格もこちらに連動していると考えた方が自然かもしれませんね。

マネタリーベースの推移

ローンは業者が借りるプロジェクト融資と消費者の方々が借りる住宅ローンがあります。業者は信用力に応じて、際限なく借入額を上げることができます。コロナ前、新築マンションはドンドン値上がりしていましたが、今の時世に新築マンションを出せるのは、財閥とそれに次ぐ大手だけです。このような企業は信用力があるので、たとえ荒唐無稽な販売価格になろうとも、借りたければ資金はどんどん出ます。つまり、高いか価格で販売することになります。

一方で、消費者が借りることができる住宅ローンは所得の範囲が上限です。所得の上限を超えた価格設定になってくると、その地域では相場の調整が起こります。2018年・2019年の相場上昇の頭打ちは、このような背景があったのではないかと思います。

金融緩和が進むと上がるのか?

コロナショックをきっかけに、日本以外でも、アメリカ、ヨーロッパ、中国と、世界的には金融緩和がドンドン進んでいます。これは金融から景気を下支えするためです。今起こりつつあるコロナショックの特長は、金融機関は健全であるということです。

「ばい菌」であるコロナはしつこく長引くとは思いますが、いつかは終息します。コロナが終息した後には、金融マーケットを中心に溢れるようなマネーが残されるわけですから、それらは再び不動産や証券投資に向かいます。

つまり、生き残った不動産屋さんには、「借りてくれ」「借りてくれ」と来るようになります。消費者には住宅ローンを借りる敷居が下がります。日本人は新しいことは苦手ですが、学習は得意です。平成バブル、ネットバブル、リーマンショック、東日本大震災と、大きな経済難を経験してきました。今後、お金がさらに借りやすくなった結果、再びバブルが燃えあがり不動産価格が上がることも、視野に入れるのも大切かもしれませんね。

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