耐震基準適合証明が出るマンションのメリット

マンション築25年超、戸建て20年超の物件は、耐震基準適合証明の取得により税金の軽減・控除等の措置を受けることができます。

登録免許税、住宅ローン控除等、不動産取得税の軽減などを受けることができ、コスト以上に還付が期待できます。

住宅取得後に証明を受けるのでは遅く、住宅取得の日の前2年以内に出された証明が必要です。つまり、旧オーナーの名義で取得を要します。

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耐震基準適合証明のメリット

住宅ローン控除などの税金の軽減には、面積要件、築年数要件、居住者要件など、いくつかの要件があります。このうち、耐震基準適合証明の取得により、築年数の要件の緩和を受けることができます。

築年須とは、具体的には、マンションならば26年以上、木造ならば21年以上の建物については、耐震基準適合証明の取得により、下記の税金等の控除・軽減を受けることができますので、大変お得です。

なお、既定期間以下の建物であれば耐震性は備えているとされ、耐震基準適合証明の取得が不要です。

登録免許税の軽減

耐震基準適合証明の取得により、登録免許税の軽減を受けることができます。登録免許税とは登記申請の時に課税される国税です。登録免許税の軽減をうけるには、市区町村が発行する「家屋証明」という書類が必要なのですが、そのための添付書類となります。実務上は司法書士が家屋証明を取得しますので、司法書士に耐震基準適合証明を提出すると軽減を受けることができます。

詳しくは登記費用の軽減の記事を作成しましたのでそちらもご覧ください。

住宅ローン控除・住宅取得資金の贈与税の非課税限度額

耐震基準適合証明の取得により、住宅ローン控除と、住宅取得資金の贈与税の非課税限度額の拡大を受けることができます。

住宅ローン控除や贈与税の軽減は確定申告として行うものです。耐震基準適合証明は添付書類として国税の税務署に提出します。

不動産取得税の軽減

耐震基準適合証明の取得により不動産取得税の軽減を受けることができます。

不動産取得税とは「土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、取得した方に対して課税される税金」であり、都道府県税です。不動産取得税は昭和56年以降の建築の建物であえれば自動的に不動産取得税の軽減を受けることができますが、それ以前の建物の場合に、耐震基準適合証明の提出をすることができる物件ならば、不動産取得税の軽減を受けることが可能です。

取得した住宅の名義変更を行った後、3~6か月の範囲で不動産取得税は自動的に課税されますが、名義変更を行い新しい名義の登記簿を取得できるようになってから、不動産取得税の納付書が届く前に、申告を行う必要があります。申告書と一緒に提出します。

根拠となる法令

もう少々詳しく言いますと、『耐震基準適合証明』とは租税特別措置法施行令42条1項2号その他で定める、「国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に掛かる基準に適合するものであること」を証明機関(民間建築確認機関)ないし証明技術者(建築士)が証する書面です。建築技術的には、建築基準法施行令第3章~5章で記載された、耐震構造面の基準を満たす建物であることを確認した書類となります。

家屋証明 租税特別措置法施行令42条1項
住宅ローン減税 租税特別措置法施行令24条の2第3項1号、同26条2項、40条の4の2第2項、同24条の5第2項
不動産取得税 地方税法施行令37条の18第2項

耐震基準適合証明を利用する上での注意

耐震基準適合証明の取得方法について

耐震基準適合証明を発行は、建築士事務所や指定確認検査機関等、登録住宅性能評価機関又は住宅契約不適合責任保険法人に依頼します。実務上では建築士事務所のほうが割安で、建築士(所属する建築士:1級2級木造)に依頼することが多いです。依頼先がどの専門家でも、税務署での効果に差はありません。

後述しますが、耐震基準適合証明を受けるには、引き渡しが生じるまえの時点(ここを間違えると悲劇になりますので注意が必要です。)にて、建築士等の調査をさせ、耐震性があることを確認させなければなりません。発行自体は旧所有者の名義にて行います。発行と取得は一戸建ては一棟ごと、マンションは一室ごとに行います。もっとも、実務上の費用負担などは買主にて行い、手配の指図は買主側の仲介業者などが対応します。

ローン控除制度は有名でも、耐震適合証明については、一部の不勉強な不動産業者では、まだよくわからない人も、いるかもしれません。

簡易・応急な耐震補強には注意

不動産販売のチラシにおいて「耐震補強工事済み」との記述がある場合は注意が必要です。処置が一時的、応急的な耐震補強に留めている場合があります。たとえば、柱に鉄板を巻きつけるなどの処理があります。一時的、応急的な処置はは廉価なので、よく取られる手法です。このような処理を実施するにとどめた場合、ある程度の耐震面の効果は発揮するとみられますが、建築基準法施行令第3章~5章の基準を満たさない場合があります。同施行令の基準を満たさない場合は、耐震基準適合証明の対象とならない場合があります。耐震基準適合証明ご購入の検討にあたっては注意しましょう。

耐震基準適合証明の取得時期

耐震基準適合証明を取得するには、時期が重要です。引き渡し後では手遅れです。よく知恵系のサイトでは何とかならないかと尋ねる投稿がありますが、気をつけましょう。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14138722609

この制度は、取得時点で既に耐震性を満たしている物件ならば、各種の税控除、軽減措置を受けることができるというのが発想の原点です。そのための証明が必要で、住宅取得日の前の2年以内に実地調査を行い、証明書を入手する必要があります。つまり、制度上は、売主の名義で適合証明をとる必要があります。

なお、中古戸建などで、引き渡し後に耐震改修を行い耐震性を確保する場合に限り、取得後未入居の時点での証明取得で耐震基準適合証明が利用できます。

類似の制度

住宅契約不適合責任保険法人が発行する「契約不適合責任保険証」、指定確認検査機関等、登録住宅性能評価機関等が発行する「性能評価(耐震)」は税金の軽減のためには同様の働きをします。これらがある場合は改めて耐震基準適合証明を取得する必要はありません。

証明のための耐震性の有無の確認方法

専門家による証明には、当然ながら、耐震性の有無を確認する必要があります。以下のポイントを理解していただければ、適合の有無はご自分で判断できると思います。

年代による確認

新耐震の建物の場合は耐震性ありとされます。新耐震の建物とは1982年6月以降の着工物件です。目視による設計図書との差異や、建物の劣化等を建築士等が視認で確認すれば対応できます。したがってよほど管理状況が劣悪でなければ、新耐震の場合には自動的に対応できます。

耐震診断による確認

販売図面や建物登記簿謄本を見るだけでは何も情報はわかりませんので、1983年より前の建物では旧耐震の可能性があります。また、外観を見ただけでは建築士等も耐震性を判断できません。そこで、耐震診断を基本に耐震性の評価をします。

ここでいう耐震診断とは、登録資格講習を終えた建築士が主体行うもので、設計図に基づく構造計算やコンクリート抜き取り試験を行い、科学的な分析でN値を算出したものを実施します。かような耐震診断を経たものであれば、現行の耐震基準と同等と言えるのは、ほぼ間違いありません。

耐震基準適合証明を発行する建築士は、これらの資料を確認したうえで、当該耐震診断をした状況との差異や、建物の劣化を視認で確認して判断します。

なお、この耐震診断は数百万~のコストがかかります。そのため、気軽に行うことができるものでもないのが残念なところです。計画的に予算を計上して、マンションの管理組合として対応しなければなりません。そのため、耐震診断の履歴があって耐震基準適合証明を取得できることは、耐震性は問題ないことといいのはもちろん、ストーリー的な良さも感じられるので、管理状況などの見極めにも重要な参考になります。なぜなら、維持管理をしていこうという姿勢が明確だからです。

維持管理をしていこうという姿勢が明確だからです。

耐震マークによる確認

東京都の場合でいうと、「東京都耐震マーク表示制度」というものがあります。平成24年4月からの制度で、建築知識が少ない方々でも、地震に対する安全性をすぐに見ることができる表示です。

上記の「耐震診断結果報告書」等の結果や「台帳記載事項証明」の記述情報に基づき、新耐震、耐震診断済み、耐震改修済みの状況に応じて、東京都で内容を確認して、下記のようなマークを交付しています。

shintaisin_tekigou昭和56年6月以降に建てられた建築
耐震診断により耐震性が確認された建築物
kaisyuuzumi耐震改修により耐震性が確保された建築物

詳しいシステムは以下のリンクをご確認ください。

http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/topic09.html

プレキャスト鉄筋コンクリート造

ちなみに、鉄筋コンクリート造壁式工法(プレキャスト鉄筋コンクリート造)の場合には簡易な壁量計算とコンクリート強度の軽易な診断で対応できることもあります。

○5階以下
○ようかん型の真四角な建物
○階段タイプ
○柱の出っ張りがない

わかりやすく言いますと、昭和時代の団地のような建物が該当します。このような建物は部材が工場づくりでコンクリートで精度が高く、真四角でエレベータシャフトがないため、地震の応力にバランスが良いそうです。壁面は工場づくりですので、一定間隔のパネル風になっています。一定間隔の目地があれば、可能性を検討できます。

この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。デリードコーポレーション(現株式会社セレコーポレーション)でマンションのマーケティング・商品企画を、ヤマト住建株式会社で建売分譲の開発と販売を経験しました。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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